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サブカル大蔵経813伊集院静『無頼のススメ』(新潮新書)

「頼るな、倒れるな。」の帯。

初読した時はめくるページみんな名言に見えました。周りの方の言葉をただただ伝える、という姿勢にも素敵さを感じました。

一見冷たいようでいて、優しさと哀しみが根底に漂う。

つながりや、助け合いを否定することの意味。その言葉は本当に正しいのか。人は人を助けることはできるのだろうか?

実は、釈尊や原始仏教もこんな感じだったのでは?と思いながら。

伊集院さん的な考えは、懐かしいような、何となくイスラム教的にも感じたり。

現代からいつの間にか遠くなった思考が、頼りになる。いや、頼るな、か。

現代の経典のひとつかと思います。

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頼るものなしと最初から決めていると、まず他人に対して楽でいられる。p.4

 なぜ私は楽になれないのか。の解。

無頼は、自分の駄目さ加減をよくよく知っておくこと。p.7

 愚禿と無頼の関係。親鸞聖人は無頼系?

手っ取り早く知ったことは、手っ取り早く忘れてしまう。p.36

 人生を噛み締めるように。

私の父は、人に物乞いをしたら、もう廃人と同じだ。と徹底していた。p.72

 頼ることを、簡単に考えてはいけない。

どうしようもない人を無用と思うことはあまりない。いい人の方が大きな害をなすことがあるのが世の常。p.107

 たしかに、いい人ほど、厄介かも。

誰でも事情を抱えて生きている。ほっときなさい。p.113

 事情という、大人の必須語。ほっとくしかない。助けることはできない。しかし、ほっとけないこともあるような。

祖母曰く、男三人育てれば一人は人を殺すかもしれない。女三人を育てたら一人は身体を売らなきゃいけない立場になることもある。だから決して人殺しやパンパンを蔑んではいけない。p.114

 はからいを超えていくのが、事情。

とにかくウロウロしていく。p.156

 委ねるより、自分で悩み続けていい。

技術とはそんなにいいものであるはずがない。p.173

 哲学者、木田元の言葉。最新の技術に頼らない。

事故死した弟の墓を受け入れてくれた和尚に、神さまっているんですかね?と聞くと、わしも会ったことはないが、いた方が何かと都合がいい。p.188

 和尚さん。神仏に頼る、とは。あらためて想う。

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