サブカル大蔵経92得地直美『本屋図鑑』(夏葉社)
日本全国各地の本屋の風景。ついこないだまで当たり前だった存在が、希少な風景になっていくのかもしれない。店内の景色もイラストで紹介。レジ裏のドラえもんのポスター、子供の時と今を結ぶ情景。
本屋経営の厳しさと店主たちの力強さ。本を媒介にした地域。丁寧な取材。論議でも提案でもなくガイドでもない。素敵なイラストと文章が両立している貴重な名本。
【サンブックス浜田山】ちくま学芸文庫全点フェア、平凡社品切れフェア。p.10
くすみ書房を思い出します…
【高知の帯屋町にある金高堂】は常連でいつも賑わう活気のある店だ。岩波文庫、ちくま文庫、講談社学術文庫など固めの文庫がずらりと並び、岩波新書、中公新書などの老舗の新書も充実している。夕方になると地元の高校生たちがこの新書棚の前で熱心に本を選んでいる。p.22
高知の学生うらやましい。帰りに本屋。
【和歌山県新宮市、荒尾成文堂】があったから作家になれた。中上健次のその言葉は街の本屋への最高の讃辞である。p.60
街の本屋の存在。
【埼玉県行田市忍書房】店を入ってすぐ左に文庫を中心にした店主の特選コーナーがある。並んでいるのは高野秀行、山田風太郎、内田百間なのである。p.62
のぼうの城の里。いい品揃え!
【鳥取市定有堂書店】棚で全てを語る必要はないと思うんです。店にはどこかのんびりとした明るささえ漂う。p.74
語りすぎる棚の重苦しさ。棚の思想。
【五島列島福江、菊屋書店】約100年前からこの島で本を売っている。本屋さんで働いていて良かったと思う事はそんなになかったですね。でもいろんなお客さんと毎日会えることが嬉しいと言ったら嬉しいです。あと、朝8時から夕方6時まで毎日ずっと風に吹かれているので風邪をひかなくなりました。p.76
島と本。風と本。人と本。
【京都市三月書房】ニッチの本である。p.118
閉店、残念だけど、ありがとうございました。お疲れ様でした。
【高松市・宮脇書店総本店】の三階に行けば、必ず、誰もが驚く。p.130
一度本店行ってみたいですが、旭川支店は本が死んでいるような独特の雰囲気。
【書泉グランデ・東京堂書店・三省堂書店】の三店が織りなす駿河台下ダイヤモンドフォーメーション。p.139
帰りにすずらん通りの餃子かカツカレー。キッチン南海も閉店とのこと。
【谷島屋聖隷浜松病院売店】料理本は、退院したら子どもや旦那さんにつくってあげようって、みなさんそんな風に思うみたいですよ。p.148
病院の本屋さん。すごい。病院の食堂や床屋さんには興味持ってましたが、病院の本屋さんも貴重な存在。患者と見舞い客。そういえば、私も初めて買ってもらった本は、病院に祖父を見舞いに行った買ってもらった『ドカベン』35巻でした。今思い出しました。
【利尻島本庫屋書店】佐藤さんは毎日朝9時に店を開け、10時を過ぎると港に本を取りに行く。その本をカブでお客さんの家へ配達し『週刊少年ジャンプ』一冊から配達している)、書店に戻って帳簿をつける。そのあと今度は文房具を配達に行き、それから夜の9時まで店に立つ。p.150
島の本屋の比重はすごい。利尻行った時行けば良かった…。
【長門市ロバの本屋】月曜日だったが、お客さんが絶え間なくやってきていた。p.158
山の中の本屋。田舎の本屋の可能性。
【稚内市クラーク書店中央店】最北端ならではのロングセラーはありますか?と聞くと、河野さんは、たぶんないです、と笑う。p.165
^_^素敵なセリフ。ここもいつか行ってみたい。
【TSUTAYA一号店】は、枚方市。お客さまにとってはたくさんあるツタヤの一つに過ぎないかもしれませんが、中で働く者にとっては、枚方駅前本店は、やはり特別なお店なんです。p.178
一号店、行きたい!店員さんの秘めた矜恃がかっこいい。
【あがた森魚】67.8年頃の新宿は、いつも街中がザワザワしていました。紀伊國屋は、なにか毅然としつつもさりげなく若者たちに語りかけてくる。p.180
紀伊国屋書店。元炭屋。建物と通路を合わせた空間の利便と美しさ。
人口わずか24,000人の町にオープンした【三省堂留萌ブックセンター】。p.203
先週久しぶりに行ってきました!留萌出身の掟ポルシェの本が地元作家のコーナーに積んであったので購入したら、店員さんに「お知り合いですか?」と聞かれた^_^
私は寺に生まれ暮らし、今、寺を預かる中で、本屋さんとお寺を重ねています。本屋もお寺も何のためにあるのか。守る人がいて、支える人がいて、通う人がいて、ふらりと立ち寄る人がいて。お寺は外に出て月参りするけど、本屋さんも月参りしてみるもか?でもやはり待つ仕事なのかなぁ。
本を買って読みます。