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サブカル大蔵経183 川添愛『コンピュータ、どうやってつくったんですか?』(東京書籍)

 このnoteはいつもスマホで書いていますが、毎日スマホに向かい、デジタルにどっぷり浸かっている自分だからこそ、本書の内容はあらためて刺さりました。

 本書は、川添先生が、可愛いイラストとともに、コンピュータの正体である二進法からわかりやすく解説していますが、ゼロと1しかない世界、これをデジタルというんですね。その間はないのかな?

 少し、仏教と数字の関連を夢想します。インドで生まれた仏教は、三千大千世界とか、経典に数学の概念を入れています。ゼロを発明したインドの古語サンスクリットではゼロを〈シュンヤー〉といいますが、インドの大乗仏教では〈空〉という概念も〈シュンヤー〉と表します。

 〈無〉を〈シュンヤー〉ではなく、有るでも無いでもない〈空〉という概念を、龍樹という人は〈ゼロ=シュンヤー〉と表しました。ゼロは〈無〉ではないということなのでしょうか。というか仏教は〈無〉を認めてないのかも。

 慈悲を柱とする仏教はアナログの権化かと思いきや、実はデジタルなのかな?それをアナログに再変換させたのが、龍樹が打ち出した〈空=縁起〉という概念なのか。〈縁起〉はそれひとつでは成り立たないということみたいなので、それはまさにデジタルそのものような気がします。溶けていく世界。マトリックスの世界。

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数字で情報を表す。二進法では1と0だけで数を表すのだ。2から9までは使わない。1より大きい数は10を使うしかない。10の次は11。11の次は3桁に桁上がりするしかない。それで100になるp.28

 基底に数字がある。

0:0
1:1
2:10
3:11
4:100
5:101
6:110
7:111
8:1000
9:1001
10:1010
11:1011
12:1100
13:1101
14:1110
15:1111
16:10000
17:10001
18:10010
19:10011
それぞれの桁の数字は、2の累乗がいくつあるかを表す。
1011は、
2の3乗つまり8が1ある+2の2乗つまり4が0ある+2の1乗つまり2が1ある+2の0乗つまり1が1ある。
1011は8×1+4×0+2×1+1×1=11
p.29

 ゼロと1で全てが表せるのかあ。

コンピュータにとっては表現しやすい、区別しやすい。電気のオンオフとか電圧の高い低いという2つの状態を区別しやすい。それを二進法の1と0に対応させている。p.31

 それが〈速さ〉に繋がるのですかね。速さは、十進法との決別なのでしょうか。

電気がエネルギーから情報を表すものになった。p.33

 情報は〈電気〉だったのか…。

二進法の数字を使って文字や色に識別番号を振る。
A 01000001
B 01000010
C 01000011
D 01000100
E 01000101
F 01000110
G 01000111
p.39

 仏教の〈色〉は〈ルーパ〉といいますが、形や物資も表します。全ての形に識別番号がある世界。ちなみにルーパとは〈わたしが見えるモノ〉であり、本質そのものではなさそうです。私が見ているコンピュータ上の景色や情報もそういうことなのかなんですかね。

アナログはそのまま。デジタルは細かい値を切り捨てたとびとびの値。近似値。p.61

 デジタルとは、そのものではなく、フェイクなのか。

デジタルは編集しやすい。p.62

 たぶん、編集という言葉が全ての鍵を握っていて、デジタルが編集と相性が良いことが、ここまでコンピュータが発展した理由なのかもしれません。

コンピュータには真空管が必要。真空管が半導体に代わられた。導体と絶縁体の中間、そこそこ通す。p.121

 そこそこ通す〈半導体〉。なんか可愛い^_^〈中途半端〉が世界を包んだのかな。これも仏教的な感じもします。

二進法の言葉で機械に命令する。p.131

 コマンドは二進法。〈私〉の思考もいつのまにか二進法になっているのだろうか。

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