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サブカル大蔵経692斎藤環『承認をめぐる病』(ちくま文庫)

承認は少な目

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この三者の関係性/徹頭徹尾「承認」をめぐる物語である。p.41

 エヴァンゲリオンについて

若い世代の間でいかに「コミュ力」が重視され、あるいは過大評価されていることの傍証p.158

 〈芸人〉スター化の弊害、ではなく、一億総二十四時間SNS交信時代の弊害か。

筆者の精神療法の基本は「現状維持」である。/「劇的な改善」が起こったときは、常に「何が犠牲になっているか」を慎重に確認しておく必要がある。/「ぜんぜん臭わないよ。まあでも僕は鼻、悪いんだけどね」と答えて笑いで納めたたことがある。/筆者の考える「現状維持」とは、例えばそのような感覚である。p.169.172

 すごく大事な視点だと思いました。仏教でも変わることを優先するとおかしなことになるかも。変わらないことで変わっていく世界。

キレる人は、どこかで必ず、自分にキレてしまうこと許しています。p.222

 私自身が、そうです。

彼らの怒りが「損をしたくない」という消費者意識に根ざしていることp.232

 おそらくすべてこの価値観で世間は動いている。なぜ自分だけが損をしたのか。

多くの思春期の子供たちにとって最大の関心事は、学校空間内で「キャラとして承認されること」だ。キャラを与えられないことは、事実上、教室の中に「居場所」がないことを意味する。p.291

 恐らく全てのキーワードは〈居場所〉。居場所のために全神経を注ぎ、命を削る。それが、教室という戦場でしょうか。そして、自分のキャラに殺されるのだろうか。

私は仏教では〈縁覚〉という言葉に居場所を感じました。自分の力で悟った気になっているという存在です。この言葉に出会った時、これ私だ、私の居場所、仏教の世界にもあった、とホッとしました。

いわゆる「手のかからない良い子」がなぜ問題か。それはあくまで"親にとっての"良い子だから。p.316

 親のためという人は、親のせいにする。

「友達から言われた最もイヤな言葉は? ①まじめだね ②おとなしいね ③天然だね ④個性的だね ⑤マイペースだね」の問いかけに対し、一番多かったのは「④個性的だね」だった。/生徒「個性的と言われると自分を否定された気がする」「差別的に受け取られるかも」p.330(土井隆義解説) 

毎日新聞小国綾子さんの中学校訪問記事

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