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サブカル大蔵経164『初代ゴジラ研究読本』(洋泉社)

「水爆怪獣ゴジラ」が神GODになる過程。なぜゴジラはここまで人を惹きつけるのか。

 私もこないだAmazonプライムで初めて初代ゴジラを見たばかりです。

 なかなか現れない演出。ゴジラの悲しみの声。人間たちの絶望と妙なコメディ感。

 特撮というサブカルチャーが、一線を超えたのか。その背景を丁寧に追う。ギリギリ間に合ったインタビュー満載の労作。

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昭和27年、世界映画事情視察から戻った東宝重役の森岩雄が円谷を晩餐に誘う。チーズはそれぞれの国では喜ばれるが、腐った臭いがすると嫌がる人もいる。映画も同じで日本で良いだけではなく、世界に通じる作品を作ろうと。間髪入れず円谷はそれまで温めていた大蛸が暴れる作品を提案。p.20

 チーズ説法から大蛸プレゼン。

 これで世界が変わった。

60年を経て新吉と政治の苗字が山田と判明。p.35

 あの兄弟に名がついた。

重大だからこそ発表すべきだ!菅井きんの怒号。p.48

 顔も土井たか子に似ていたが、誰かモデルがいるのかなあ。

破壊検証。松坂屋・服部時計・数寄屋橋・有楽町日劇・参議院会館・平河町テレビ塔p.50

 破壊されるとブランドになる倒錯。

本多監督、原爆への憎しみがゴジラを動かすのに迷いをなくした。ゴジラは原爆を象徴。ただの動物ではない。時代が生んだ。イギリスではラドンが一番素晴らしいって、第一ラドンが可哀想だって、ただ大きいだけで…p.56

 切通理作『本多猪四郎無冠の巨匠』などで〈本多幻想〉が高まる。

宝田明。これで焼き鳥屋にポスター貼って合成の二級酒盛大に飲める!p.59

 見た目とは違う、庶民派で反体制派。

アメリカに都合の良くない要素p.65

 あからさまではないが、ビキニ水爆実験批判が込められている。アメリカ批判のゴジラが、40年後にアメリカで神GOD-ZILAとなる。


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