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サブカル大蔵経359半村良『産霊山秘録』(祥伝社ノンポシェット)

「麒麟がくる」を観ていると、半村良の本書を思い出します。光秀の真の姿。

〈ヒ〉の一族の時空を超えた物語。

光秀、天海、高虎、一豊、龍馬、新撰組。大河ドラマは〈ヒ〉がお好きかも。

半村の〈伝奇〉は風太郎より乾いている。月まで行くのが半村流か。

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比叡も日吉も古訓はひえである。p.30

 焼き払われた比叡山。その後に現れると日吉丸。聖なる数珠つなぎ。

光秀は何か巨大なものに裏切られた気がして、立っているのがやっとだった。p.64

 「麒麟がくる」も光秀の苦悩の物語。

ヒの力をあやまって用いればネが生ずる。p.101/ネとは動きじゃ。里者の世にヒの力が加わりすぎたとき、時として生ずる世の動きじゃ。p.103

 ネは原発のような。

彼はいつしか自分が清和源氏、土岐下野頼兼の後裔であると名乗るようになった。ヒを捨てて里者の幸福に浸るのも悪くない。そう思った。p.123

「麒麟がくる」も、光秀がそろそろ土岐の源氏に目覚めるのではないかという松村邦洋さんの見立て。たしか、母親の石川さゆりにそう呼び掛けられたシーンもあった。

産霊山秘録によれば、ヒの与右衛門こと藤堂高虎は、豊臣家の血脈を一手に抹殺した人物とされている。p.161

 謎の男・高虎。

淀君はあくまで主家の娘。豊臣は倒してもその母子の命は長らえさせるつもりだったのだ。p.243

 淀君とは何者か。高虎主筋、浅井の娘。

ヒの宿が訛って日野宿。家康はここを天領とした。そこに育った天然理心流の指導者が、あの伊吹の怪剣を持つ近藤勇。p.348

 まさかのヒノ一族。

天皇は何もしてくんなかった。やめろとも悲しいとも言わない。/俺は神様じゃないだと…。たくさんの日本人が神様だと思い込んで死んじまった後に、俺は神様なんかじゃないと…p.418

 半村が、言わせしめたこのセリフは、戦後すぐ国民のマッカーサー宛の手紙にも記されていた。ある意味事実に基づいた声。

半村の歴史観の要諦は日本の権力構造がじつはこの異人に支えられてきたというところにある。p.501

 岩明均の作品にも通じるような。太田龍説の爬虫類人地球征服も全くデタラメな発想ではないのかも。

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