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【リアル】保育園建設反対運動の現実

一昨日、江戸川区南小岩で私が個人として(一応法人)進めてきた保育園建設計画が、住民の反対運動によって【選定外という結果】が出た。

区から指定された条件は全て満たしてにも関わらず、近隣住民の意見に屈する判断が為された。

この結果を受け、昨今様々なメディアで保育園の反対運動に関しての意見はありつつ、当事者として意見はあまり見かけないので、今回は当事者として起きたこと、思ったことを書き残しておこうと思う。

〜長文です。お時間ある時にどうぞ〜

はじめに

私は現在品川区にあるインターネット付随サービス関連の会社で経営側として勤めている。

その傍で、父が経営していた不動産関連(ほぼ資産管理会社)を相続という形で承継し、5年前から経営している。

不動産関連の経営は会社といっても従業員もおらず、所有する土地や不動産の管理運営がメインのため月次の収支確認や管理を委託している会社からの確認・対応のみで、業務といった業務はほとんどない。

不動産は駅から10分以内の地域にある【駐車場】とマンション、近隣の借地と少し離れた地域のロードサイド借地といったところだ。

今回、この駐車場地を舞台に、保育園建設の反対運動が起きた。

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江戸川区の公募

9月初旬に江戸川区での認可保育園建設の公募が公開された。

私自身、2歳の子供を持つ親として待機児童問題は認識していたが、正直言って当初は「保育園って民間でも建てられるんだー」程度の認識だった。

そんな中、公募が公開されたと同時に所有する駐車場地に保育園を建てたいという業者が複数社、週替わりで幾度となく提案に来るようになった。

かねてから顧問税理士から「駐車場は更地評価となっていて固定資産税も高いから、事業用地として運用した方がいい」ということは言われていたが、本業に忙殺される毎日で事業化など考える余裕がなかった。(という言い訳)

そんな私だが、業者から毎週のように提案をもらう中で、次第に保育環境の重要性を理解していくようになった。

・子供を産まない要因として経済的な理由が大きく、共働きで担保しようにも預けるところがない。
・子供が地域で育つ事によって消費が生まれ、いずれは労働人口として街の歳入となる。
・街の継続・発展には子育て世代の充実が必要不可欠である。

ニュースや新聞などで見ていただけの話が、現在の自身の状況、周りの友人の状況とリンクして、自分ごととして捉えるようになっていったのだ。

「街の未来のため」というと綺麗事に聞こえるかもしれないが、今のまま駐車場にしておくよりも公益性が高く、もちろん収益面のメリットもあったので、検討に検討を重ねた結果、保育園建設事業をおこなう意思決定をした。

そうと決まれば、やることは山ほど出てきた。設計図のやり取り、運営事業者の選定、現地での確認や予約契約書の弁護士レビュー、締結など本業の傍で週末や帰宅途中などの時間をフルに使って一つ一つ慎重に進めた。

因みに、予定地の駐車場は隣接道路は2車線。図面では園庭も十分に取れ、非常口も2箇所(2方向は叶わなかったがしっかりと10m以上離れている)。駐輪場も併設し、防音フェンス、防音窓の設計となっている。

※メディアを賑わせた目黒区や杉並区などを参考に配慮。

申請の締め切りが12月上旬ということもあり、慎重に進めつつも約2ケ月強で全ての対応を終えなくてはならず、その間はずっと気持ちが休まることはなかった。

期間中、買物以外の外出をほとんどさせてあげられなかった娘と妻には改めて謝りたいと思う。

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江戸川区への申請・反対住民の決起

そして12月上旬、選定した事業者が区への申請をおこなう期日が迫ってきた。事業者側が申請に必要な書類を揃え、申請要件最後の対応として「近隣住民への案内」を行った。

近隣住民への案内は2日間に渡って戸別訪問をおこない、不在宅には案内書面をポスティングしたとのこと。

この時点では私は同席はしていない。

事業者側の担当者からの話では、戸別訪問時にネガティブな意見は出なかったとのことだ。

もっと言うと概ね、賛成の意見であるということで、区への申請が完了した報告を受けた。

一安心といったところだ。

それから1週間ほど経ってからだろうか。

事業者より、一部の近隣住民から説明会の申し出があったということで報告を受けた。

そして同日、近隣住民から直接私宛に連絡が入り、反対の意向を表明された。

事業者と区と私で説明会を開いて欲しいとのことだ。

私は一旦答えを保留にし、念のため、事業者側へその旨を報告した。

事業者側からは「区は選定前のため説明会の開催は行わないスタンス」とのことで、戸別訪問やポスティングなどの窓口、近隣住民の意見反映可否判断は事業者側にあるということで私の同席は不要ということで指示を受けた。

私は事業者側の指示に従い、近隣住民へ説明会の不参加意思の表明とその理由を説明した。

今思えば、この対応が最初のしくじりであったと思う。

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反対者住民の加熱と暴走の予兆

そして12月下旬、事業者が単独で行った説明会の結果報告を受けた。

内容としては散々たるものであったとのこと。

私は参加していないため、以下は報告を受けた内容を転記する。

・参加者5名
・全体的に反対の意見
・申請をすぐに取り下げるよう要求
・子どもの声の問題
・駐車の問題
・駐輪の問題
・区と土地所有者を含めて説明を要求

この報告を受け、今後の対策を運営事業者と協議していた矢先、説明会参加者の反対住民一名から区長や区の保育園担当窓口、事業者の代表、担当者、私宛に建設反対意見書送られてきた。

内容は「決定ありきの建設に反対」、「事業者の信頼性が無い」、「保育園をビジネスとして捉えている点が不快」、「土地所有者の身勝手判断」といった感じ(騒音だったんちゃうんかい。。。)

※今も書面は大事に保管しているが、かなり過激な内容だったので転載は控える。

私は、その内容を読んでみても反対する理由が理解できなかったため、一度近隣の意見を直接聞いてみようと、先方の要望に沿う形で私も戸別訪問と説明会に同席することにした。

それが12月28日、29日。本業の納会を終えた翌日のことだ。

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近隣説明会のカオス

昨年末の12月28日、私は運営事業者と共にまずは反対者説明会参加者以外の近隣へ1件1件戸別訪問をおこなった。

予定地の周り10件程度(行政からの指示範囲)ではあったが、訪問するとネガティブな意見は全くと言っていいほど出てこなかった。

むしろ応援するような声すらも頂き、反対者の考えも単なる杞憂なのではないかと思うようになった。

そして翌日12月29日の説明会本番。杞憂だと思った自分がバカだったと思い知らされた。参加者は地域の町会役員とその奥さん(保育経験者)、隣接地地男性住民、隣接地親子の5名。

私は開口一番に不信感を与えた事の謝罪(意思決定の謝罪ではない)本件の意思決定経緯と今後の方針について説明した。

冷たい目、明らかに敵視している表情、録音機の横でひたすら私の発言に対してメモをとっている人。

新卒時代に飛び込み営業をしていた時の数倍はキツイ状況だった。(社会人ってなんだかんだでわきまえてる)

そんな事を思いながら説明を終えると堰を切ったかのように罵詈雑言が飛び交い始めた。

・勝手に決めて何考えてるの?
・騒音に関してどう保証してくれるんだ?
・地価が下がったらどう保証してくれるんだ?
・60年かけて作ってきた環境を壊すお前は【犯罪者】と同じだ
・待機児童は減ってきてる。もういらないでしょう
・保育園じゃなくてマンション建てろ
・事業者の保育園運営方針が信頼できない。保育ビジネスで子供が育てられない
・ここに作る必要性が感じられない
・そちらの都合でこちらが迷惑するのが気に入らない
・コンビニエンスストアやマンションであれば何も言わなかった

そして、数々の罵詈雑言を受けたうえでも私が申請の取り消しを行なわない意向を示してからは一層カオスな状況となった。

それぞれが言いたい事を言いたいように話始め、収集がつかず「こちらにも考えがあります」と言い残して帰っていった。

私はその言葉に一抹の不安を抱えつつ、先方の気持ちを吐き出させ、こちらの意向を表明したことに一定の成果は感じ、なんとか帰路についた。

私は本業において、常々事実ベースで語るように心がけており、スタッフにもそう言っている。

がしかし、事実とは異なる想定を生み出し、更に想定を重ね、そのまま言葉としてぶつけてくる人間はやっぱり大勢いるわけで、そんな人たちと相対した時に適切な対処ができなかったことは反省し、今後の課題として受け止めようと思った。

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反対署名の提出と行政のハシゴ外し

悪夢のような年末を終え2020年を迎えた。正月は自分の実家と妻の実家へ行き、あっという間にすぎていった。

その後は本業も始まり、その間何の音沙汰もなかったため、事態は収束に向かっているように思っていた。

そうして1月中旬に運営事業者から連絡が入る。

「反対住民が反対署名を140名以上集めて区に提出したとのことです」

署名は私と事業者が回った周辺だけではなく、予定地から大きく離れた住所からも集まっているとのこと。

また、理由として「騒音」などだけでなく、「図面が規定に沿っていない。作為的な設計」などといった事実と異なる記載があったという。

署名は反対住民である町会役員から持ち込まれたらしく、図面は戸別訪問先と反対住民にしか渡していないため、町会役員がネガティブキャンペーンで収集したことは容易に想像できた。

(署名自体はもちろん閲覧不可のため、区の担当から事業者に伝わった話を聞いた程度でがある)

※後日談だが、署名を求められだが断った人から聞いた話。署名欄に町会長の個人名があったという事で数の合点がいった。

町会の役員が反対の立場である以上、そのコミュニティでの合意形成は容易であろう。

正直愕然とした。

署名が出た以上、こちらから戸別に働き掛けをおこなう事はでき無い。(脅迫とかになるので)

あとは行政の判断に委ねるしかないという状況となった。

それでも私は「街の未来のため」、「区が推進する事業」である以上は署名内容をしっかりと精査し、行政として慎重な判断をしてくれると信じていた。

そして一昨日、業者から連絡が入った。

「今回の保育園建設計画は選考されませんでした。理由は反対住民による影響とのことです」

終わった。

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まとめとして

以上が私が経験した当事者としての保育園建設反対運動の一部始終である。もちろん私の主観であり、私の立場から書いているので反対住民から見たら別の認識がある事は承知している。

こういった反対運動をNIMBY問題(Not In My BackYard)というらしい。

今回の件、私自身は決して間違った事はしていないと思うし(犯罪者と言われたけど。。。)、反対住民も自分たちの主張が正しいと思っている事だろう。今更結果が覆る事はないし、どちらが正しい、間違っているという議論をするつもりもない。

立場や状況によって意見が違うのは当然だから。

ただ、相対する主張に関して、今回の行政判断はとても残念だ。

面倒が起きるとハシゴを外すのが行政のスタンスというのを間近で感じたことが非常に残念だ。

何故、一度でいいから保育園の必要性、該当地域を指定した理由などを行政から説く機会を与えなかったのか。そのうえで判断してもよかったのではないだろうか?

今回発生した近隣住民とできたしこりは今後も消えることはないだろう。その一因を作ったことを深く受け止めてほしいと願う。

私には地方創生を掲げ行政と一緒になって地方で地域を盛り上げている友人がいる。今回、柄にもなく街の事を考えたのは、その温度感に触発された部分があるかもしれない。あの街のようにイキイキした街づくりに自分が関われると。ただ、前提としてその想いを遂げるには街が本当に好きである必要があると思う。

説明会でも言われた「街の事は政治家がやることで、あなたがやる必要はない」という意見が今の自分の街の状況を表している。

この言葉、この結果を受けて、わたしはこの先、地元を好きになれるだろうか。中途半端に都内だからこそ、胡座をかき、街づくりの芽が消えていくのかもしれない。

少なくとも私は現時点で、この街を誇ることはできないのだから。

最後に、南小岩という街で待機児童問題に悩んでいる子育て世代の方々の期待に沿えなかったことを申し訳なく思ってます。今後も駅から少し離れた場所などでは、まだまだ保育園が作られるかもしれません。

希望を捨てず、子供の成長を見守っていきましょう。

保活中の全てのお母さんが無事にお子さんを入園させられることをお祈りしております。

※2020.02.10更新

たくさんのご意見誠にありがとうございます。一つ一つのお言葉をありがたく、真摯に受け止めております。

また、当時の状況を思い返しながら書いておりましたので、感情が抑えられない部分があり、反対者住民の方々への配慮が足りなかった点、誤解を招くような表現をしてしまったことを心よりお詫びさせて頂きたく、本日一部記載内容を訂正させて頂きました。(自身の感情面についてはご指摘頂いている通り、少なからず傲慢さがあったのかもしれません。ですが実際に声に出したという事実はなく、本件でお伝えしたかったことの意図からも逸れるため省かせて頂きました)

ご不快にさせてしまった皆様誠に申し訳ありませんでした。

上記にも記載させて頂いている通り私としては辛い意見はありつつも、反対者住民の方々の主張自体を否定している訳ではございません。

今回の私の記事によって、本当に嫌な想いをされていらっしゃる方が萎縮し、今後声を上げ辛くなる事態は本意ではなく、あくまでご意見・ご主張は真摯に受け止め、行政の意向を前提として、対等かつ建設的な議論をおこなう機会を設けて頂きたかったという想いで記事化させて頂きました。(双方共に、しこりが残ったまま今の環境に住み続けるしかない現実を行政の方には知って頂きたかった)

反対者住民の方々の意向を蔑ろにするような表現をし、議論の発散を招いてしまった点も合わせてお詫びさせて頂きます。

現実問題として、行政側のご事情ももちろんあるかと思います。区役所の担当課やそのご担当者様だけで判断できないことであるという事も重々承知しております。

また、一番は本件のような反対運動があるまま計画を強行した場合、運営する保育園の園長先生や職員の方々、そして何より保護者・お子様に危険が及ぶ懸念があるという事も少なからず理解しております。

だからこそ、行政だからこそ認識されている【真の当事者】である該当地域で保育園の預け先を探されている方の事情を共有し、限られた条件の中で最善を尽くしていただけるような仕組みづくりと、街づくりを地域全体でおこなっていくための主導役として一歩踏み込んだ対応を行っていただけることを切に願っております。

本件は皆様のご関心のおかげで、行政の方にも届いているようですので是非とも改善するきっかけとしてご活用頂ければ幸いです。

なお以降は、あくまで皆様のお考えを深める材料として、また、今後保育園建設をお考えの方の参考材料としてご閲覧頂ければと思いますので、よほどのことがない限り本アカウントでの更新を控えさせて頂くことをお許しくださいませ。

最後になりますが、ご意見頂いた皆様、本当にありがとうございました。多くの応援を頂き、心から涙し、とても励みになりました。

これに懲りず、また前を向いていきたいと思います。

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コメント2件

目の前の私情的なメリットを求めるために、街単位、社会単位で結果としてデメリットになってしまっている事はたくさんありそうですね。
勉強になりました。
ありがとうございます。
保育園開設に伴う地域住民の方々との軋轢はけっこう問題になっているところではありますね。心中お察しします。事業者側としては、開設時だけでなく運営時も地域住民との関係性を重視する必要があります。個人的にもすごく重要だと思います。こども・保護者・保育士・栄養士・調理師などがきもちよく保育園に携わっていくためにはすごく重要だと感じています。とはいえ待機児童問題そしてその先に待ち受ける保育・教育の問題それらに取り組みたいと個人的には思うところです。
もしよろしければひとりよがりではありますが後学のためにいろいろ伺いたいです。
よろしければメールなどのやり取りでも大丈夫ですので私のプロフィールからご連絡いただけると幸いです。
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