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自分でかけた呪いがしぶといもので

考えてみると、“恋愛がうまくいかないキャラ”になったのはいつの頃だっただろうか。ちゃんと彼女がいたのが2016年の大学3年生の半年だったから8年くらい認識しているパートナーはいないわけだけど、その8年の間に何もなかったかといえばそうではなく死屍累々の失敗話が転がっている。

大学院の先輩に恋をしそうになったけれど趣味の重なるところがまったくなくて進展がなく終わった話とか、留年時代(実質ニート)に何もうまくいかなさすぎて優しくしてくれた後輩を好きになり告白して付き合えたものの2日後に「やっぱり付き合えないです」と言われた話とか。近年はマッチングアプリをはじめて、まあ色々なことがある。付き合えそうだった人が結局ほかのひとと付き合った話とか付き合う前にセックスをして、そのあとなんか違うぞ???となった話とか。

どうにもうまくいかないことが多くて、最初はそれを飲みの場で話すことで苦しさを昇華していたのだけど、そのうち道化のように振る舞うことが増えてきた。

飲みの席で、初対面のひとがいる場合だと、周りから「コイツは恋したいんだけど、全然できなくてねえ」と半笑いでネタにされることも増えた。

あと1年と少しで20代も終わるというこの最中、結局うまくいかないキャラに仕向けてきたのは自分のせいだ。20代前半、自信がなくて選ばれなかったことをネタにしていたが故にいつしか自分の首を絞めることに繋がった。

「爽やかなんだから。自信持ちな」と言われたり「イケメンだね」と言ってもらえることも近頃では増えてきた。でも、選ばれなかった頃の自分の幻影がそこらじゅうに残っている。

「これからどうするの?」という質問に答えられなかった、実質ニート時代の大学留年期や25歳で新卒社員として入り全然給料が低くて同世代に全く追いつけないと思っていた頃は、そこそこ女友達もいるし大丈夫だというプライドと心の底で絶対自分みたいなやつが誰かと付き合えるはずがないというドス黒い感情がぶつかり合っていた。

いま思うと、よくこんな境遇を経てミソジニー的な意識を持たずにいられたな……と思う。そのあたりは周囲へ発散していたから自意識が肥大化せずにいたのかもしれない。

条件や周りからの客観的な評価が変わっても、自己評価というのはなかなか変わらないのだと痛感する。自分が誰とも付き合えないという自虐的な発想は、もしかしたら20代に入ってからの失敗という以前に中学生の頃の告白してもしても誰とも付き合えずモテなかった頃の体験から引き摺っているのかもしれない。モテないという経験だけでなく、10代の頃の人間関係を根拠に自分は誰からも愛されない人間であるという認識。

一度刷り込んだ呪いは簡単には抜けてくれない。

たとえアプリのプロフィール写真を変えていいねの数が激増したとしても、それは他者からの評価であって自分の中で決めている評価ではない。

自分の評価は良くも悪くも現実に追いついてくれない。いまの自己評価は5〜10年前の記憶で止まっているのではないか。

先日、会った2歳年上のひとと昨日2回目のデートをした。横浜で映画を観て、夕方までお茶をしたり、一緒に本を読んだりして過ごした。

昔地元にいたときの友人に声が似ていて聞き馴染みのある懐かしさがフラッシュバックした。笑ったときの顔が素敵で、本屋に寄ったときに本を読みながら笑うときの顔と声を見ていると本当にいいひとなんだなと思った。好きかもしれない。

マッチングアプリの話は聞けた。聞くと、自分と会った時期にマッチングアプリを続けるのが面倒になり退会していたのだと。自分も相手と会って、LINEを交換した時点でアプリのメッセージは非表示(返信する人をわかりやすくするために)にしていたので、退会していたことに全然気づかずにいた。会ったひとの話、気持ち悪いと感じたひとの話などなどいろいろ話した。

やはり、笑顔と声が絶妙にいいひとだなあと横顔をみていて昨日も思った。

でも、どうなんだろう……前よりも話せたと思っているけれど、マッチングアプリを辞めたという時点で自分と会っているのはある種消化試合として会ってくれているのかもしれない……という疑念が捨てきれず、次もどこかに行きませんかと誘えずに帰ってきてしまった。もしかしたら、解散した後にLINEがブロックされているかもしれない、など。

これもまた自己評価というかなかなか抜けない呪い故なのかもしれない。

結果的には、解散した10分後くらいにLINEが来た。

何ターンか会話をした後に「また〇〇(本)読んだら感想共有したいです」と来ていた。てっきり、もう次がないのかと思っていたのでとても嬉しかった。

おそらく最低限でも好意がなければ、向こうから次のことも話してはこないのだと思うけど、僕のなかでは疑心暗鬼なのである。友人にこのことを話したら、こちらの好意を伺っているんだと思うと言われたけれど、自分からすると2回目・3回目と会ってくれること自体が降って湧いたような感覚でいるので、正直恋愛に展開できるかどうかをあまり考えていなかった。

そういうところもまた自己評価の低さ故なのだろうなと思わせられる。

いやはや、そろそろ恋愛がうまくいかない負のスパイラルから抜け出したい……。

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