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「女子」の響きだけで強くなれる気がしたよ。

前から公言しているけれど、高校生の会話が好きだ。

なので、つい、高校生の会話に耳をそばだててしまう。

今日、某コーヒーチェーン店で家に帰る体力をつけるために糖分を摂取していたとき、隣の隣のテーブルに男子高生たちがやってきた。

4人とも坊主頭にエナメルバッグだったので、野球部だと思う。

テーブルがほんのり離れているので、4人の会話はハッキリと聞くことができなかったが、あるワードだけはコンスタントに聞こえてきた。

あるワード、それは「女子」だ。

それが聴こえてくるたびにレモンをからあげにかける瞬間のような、爽やかで酸っぱい香りがフワッと香る気持ちがした。
(例えが『からあげ』の時点で爽やかさとは程遠いけど)

そして、
(最近、『女子』って言葉、聞いてないなぁ)
としみじみした。

私が日頃、耳にしたり目にする「女子」は、主に「女子トイレ」の「女子」であり、隣の隣のテーブルの男子高校生が言うそれとは似て非なるものだ。

お父さんが「シュトーレン」のことを「パン」って言うくらいの違いがある。

彼らが発する「女子」という言葉には、聖域(私、中二病だから『サンクチュアリ』って読ませたいです読んでください)に似たような、神聖な響き、甘やかな憧れが明らかにこもっている。

「女子」がコンスタントに聞こえてくるだけで、「ザ・青春」という感じがして、オバちゃん泣きそうになった。

と、その時、店の外に別の坊主が現れた。

彼らと違う坊主だ。

どう違うのかというと、その坊主の隣に「女子」が立っていたからだ。

どうやらその坊主、店内の4坊主の後輩のようだった。

後輩坊主と「女子」はこちらの坊主ズと目が合って、少しはにかんだように「ぺこり」とお辞儀だけして去っていった。

こっちの坊主たち、口をぽっかーーーんと開けていて、時が止まったようだった。

オバちゃん、心配なって、やたら大きな音で唾を飲み込んだらむせた。

私が「ゲェッホ!!ゲホゲホ!!」としていた時、坊主たちに時が流れ始めた。

「女子だ・・・」
「女子だな・・・」
「女子といた・・・」
「あぁ、女子だったな・・・」

後輩坊主の隣に立っていた「男子」ではない人物の正体をしつこく確認し合っていて可愛かった。

店内では、私が生まれるずっと前から歌われている、「去年のクリスマスに女に振られてまだそれを引きずっている男」の曲が流れていた。

がんばれ、坊主。
もうすぐクリスマスだ。

私も頑張る。

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