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音喜多駿議員の福島の甲状腺検査と過剰診断に関する国会でのご質疑(参議院2022年2月9日)

音喜多駿議員の国会でのご質疑

参議院 2022年2月9日
資源エネルギーに関する調査会


できるだけ文字起こしをしてみました
聞き取りにくい部分もありますので、
本来の国会の動画がでていますので、そちらをご覧ください

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

音喜多駿(日本維新の会)
8番目
2時間18分目から

音喜多駿議員

日本維新の会の音喜多駿です
私から、まずはじめに
福島県の県民健康調査における甲状腺検査、過剰診断の問題について質問させていただきます
先月27日、細川護煕氏、村山富市氏、小泉純一郎氏、鳩山由紀夫氏、そして現職の菅直人衆議院議員の元首相5人の連名で原発推進は未来を脅かす「亡国の政策」だと批判し、方針撤回を求める書簡をフォンデアライエン欧州委員長に送られました。
原発政策の是非について意見を表明することは思想信条の由政治活動の自由ですから止めることはできません
しかし、その書簡の中に明らかに科学的事実に基づかず、とりわけ福島のこどもたちに、風評被害をあたえるような内容がありました。
『多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ』という文言です
福島県の「県民健康調査」検討委員会や原子放射線の影響に関する国連科学委員会 UNSCEARなどは、福島県のこどもたちの甲状腺がんについて、放射線被曝との関連はみとめられないとしています
福島県で原発事故由来の甲状腺がんがふえているという事実はない
というのが、今の時点で確認されている科学的事実です
こうした科学的な知見を一切無視し、断定的な表現で、福島及びその子どもたちへの差別や偏見を招きかねない、元首相たちのこの一文は看過できるものではありません
これについて 2月1日に環境大臣も元総理5人に対して、こうした誤った認識を正す文章を発出したことは承知しており
これは評価をいたします
しかし、これに加えて、環境省としても
元首相が書簡をだした欧州委員会あてにも、正式な釈明と我が国の立場を表明する文章を発出するなど
具体的なアクションをおこすべき、と考えますが
まず環境省に現状の取り組みについて伺います

2時間21分目

環境省 神ノ田 (かみのた)環境保健部長

お答えいたします
ご指摘の元総理5人の書簡には、ご指摘の通り『多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ』という記述がありますが
この記述は福島県のこどもに放射線による健康被害が生じているというあやまった情報をひろめ、いわれのない差別や偏見を助長する懸念があることから、適切ではないとして
山口環境大臣から2月1日に書簡を送付したところでございます
また2月2日には山口環境大臣がPatricia FLOR駐日欧州連合大使にお会いした際に、元総理5名に送付した書簡の内容について
直接伝えるとともに2月3日には同大使あてに、Letterを送付しフォンデアライエン欧州委員長への伝達を依頼したところでこざいます

2時間22分

音喜多駿議員

大使を通じて欧州委員会にも書簡を送付したということでした
しかしながら、この書簡は元首相五人に送付しているものとは違い
環境省のホームページ等では公開をされておりません  (注釈1)
これは日本の立場を 正式に表明する必要な文章と考えます
ですので、これは 外交文章であることは承知をしております
環境省の取り組みとして、これを公開して、しっかり強調していくべきだと考えますが、これは政治決断になるとおもいますが
副大臣いかがでしょうか

務台俊介環境副大臣・内閣府副大臣

ご指摘の環境大臣が送付した駐日欧州連合大使あてのレター、この内容は環境大臣が2月1日に五人の総理経験者に送付した書簡の内容について欧州委員長への伝達をお願いする内容でございます
きわめて事務的なものでございます
Letterを送付した旨、これについては環境省のホームページに記載しておりますが、Letterそのものについては外務省とも調整した上で相手方のあることなので
外交儀礼 国際儀礼上、公表を差し控えさせていただきたい
そのような結論になっているところでございます

2時間23分

音喜多駿議員

環境省として福島県における甲状腺検査についてどのように考えているのか
国民が知ることができる重要なきっかけになるとかんがえますので
この打ち出し方についてはしっかりと公開の検討もふくめて
もう一歩ふみこんだ検討をしていただきたいとおもいます
続いて
過剰診断の問題について伺います
福島県でおこなわれている県民健康調査については学校内でなかば強制的な形でおこなわれているのではないか
それが過剰診断にもつながっているのではないか
そういった懸念があり、
私も本調査会などの国会質疑で一昨年以来何度も指摘をさせていただいているところです
この問題については昨年小泉進次郎前環境大臣が
『学校内で甲状腺検査が行われていることにより、任意性が担保されていないというこの問題について、この状況の改善として、できることがあるか考えたいと思います。何ができるかを議論したいとおもます』などと国会答弁で発言されました
その後、環境省の省内ではどのような検討がなされ、どのような対応がなされたのか
現状を環境省に伺います

2時間24分

環境省 神ノ田 環境保健部長

お答えいたします
甲状腺検査につきましては、
検査のメリットデメリットを理解したうえで、検査を希望する人が受検でき、希望しない人が受検しないことを自然と選択できるようにすることが重要であると考えております
昨年 福島県及び福島県立医科大学が作成した検査のメリットデ・メリットという冊子を令和2年度以降対象者に配布をしております
(注釈2)
さらにご指摘の小泉前環境大臣の国会答弁以降、学校を介しておこなわれていた同意確認書の回収をとりやめるとともに
環境省が作成した甲状腺検査の任意性をあらためて説明するリーフレットの配布によりまして
(注釈3)
自分の意思で検査をうけるか受けないかの選択ができることを周知しているところでございます
今後とも甲状腺検査の任意性が担保されるよう 福島県と密に連携して適切に対応してまいりたいと思います

2時間25分

音喜多駿議員

学校における同意確認書の回収をやめたということで一歩前進であるとおもいますが
これにより、検査の受診率がどのようにかわったのが、現時点で把握されていますでしょうか
また、同意確認書の回収をやめたと
ただ、私たちが問題にしていたのは授業の時間帯を使って、学校の校内で検査が行われるということもかなり問題だとおもっています
学校の中で授業の時間帯で検査をすること自体がとりやめられたということはあったのでしょうか
この2つお伺いしたい。環境省 お答えください


2時間26分


環境省 神ノ田 環境保健部長

お答えいたします
学校を介した同意確認書の回収のとりやめは今年度から開始したばかりでありまして、その後の受検率の変化については現時点では確認できていないということでございます
学校の授業の時間帯をつかった甲状腺検査につきましては現在も継続して行われていると承知をしております

音喜多駿議員

今、ご答弁いただいたように、小泉前環境大臣には期待した方も多かったのですが、結局ところ
学校で授業内に甲状腺検査がおこなわれているという実情はかわっていない
任意性が本当に確保されているのかどうかということについては依然として疑問が残ります。
来年度末にでてくる受診率のデータ
これはしっかりおいかけて分析をしていただくとともに、
甲状腺検査について、今後もかりに継続するということになるのであれば
最低限は行うにしても、学校以外、授業の時間帯以外でやっていただくなど
さらなる任意性の確保
この方向性はしっかり環境省にも福島県にも示していただきたいというふうに要望をいたします
そもそも 元首相五人の書簡のような誤解がうまれるような背景に福島県が継続的におこなってきた甲状腺検査があるわけです
甲状腺の検査は、検査をすればするほど(甲状腺がんが)多発見されること、これは医学界では常識となっています
ゆえに、県民健康調査における甲状腺検査のデータによって、こうして差別や偏見のような一文がはいりこんでしまう
こういったきっかけをつくってしまうわけです
この点を指摘し今後の対応を見直していくことが重要であると考えます
そこでまず大臣が元5名に発出した文章について『放射線の健康影響に関する差別や偏見ににつながるおそれがある』という文言がありますが
その差別や偏見の遠因として、検査をすればするほど多発見される(甲状腺がんの)過剰診断の問題が存在している そういう意味あいのことがこの文章にふくまれているのか環境省にうかがいます


2時間28分
環境省 神ノ田 環境保健部長

お答えいたします
ご指摘の環境大臣が送付した書簡には、議員ご指摘の差別や偏見の遠因には過剰診断が存在したという意味を含むものではございません


音喜多駿議員

あくまで風評被害にかかわることにつき
今後の検査の特質、過剰診断かどうかという点については、踏み込んでいただけておりません
しかし、世界保健機関 WHO傘下の国際がん研究機関なども、福島における甲状腺検査については、過剰診断。この問題を指摘した上で
(注釈4)
これ以上することについて
非推奨 推奨しないという見解を繰り返し示しています
ほとんどが一生気づかれず、本来みつけなくてもよかったがんをみつけてしまうことで
これが差別や偏見そして、その後の生活におけるデメリットを
あたえてしまうからです
福島県以外でも同様の調査を行えば
同じような他発見のデータが出ることは、これはもう自明です。
(注釈5)
もはやこれは 私は政治決断の時が来ていると思います
これを機に県民健康調査における甲状腺検査については
全面的に見直していくべき
と考えますが
副大臣の見解をおうかがいします


2時間30分

務台俊介環境副大臣・内閣府副大臣 

さきほど部長が答弁に引用した福島県が作成した検査のメリット・デメリットという(冊子の)
記述がありますが、その中にメリットとしては
『検査で甲状腺に異常がないことがわかれば、放射線の健康影響を心配している方にとってはそれによって安心、それによる生活の質の向上につながる可能性がある』
一方で デメリットとしては
『将来的に症状やがんによる症状をひきおこされないがんが診断されて 治療してしまう可能性がある』
そういう指摘があります
いずれにしても、甲状腺の検査については
当事者である福島県とよく調整しながらやっていく必要がありまるというふうにおもっておりまして
本年度 令和3年度からは学校をかいした同意書の回収をとりやめるなど
希望をする方は受検できて、希望しない方は受検しないことを自然に
選択できる そんな環境整備を したところでございます
これによって一定の任意性が担保されるというふうに理解しておりますが
引き続き問題意識を持って検討していきたい そんなふうに考えております


音喜多駿議員

引き続き問題意識を持って検討していただけるということでご答弁いただきありがとうございます
繰り返しになりますが、国際的にも奨励されていない検査を
福島のみで行い続ける限り
今回の元首相五人が出したような差別と偏見につながる非科学的な風評被害が再び生じてしまうことにもなりかねません
本件については 検査を継続するのであれば、まず最低限
学校での検査を中止するなど更なる任意性の確保を行なっていただきく
そして、中止をふくめた抜本的な改革 見直しを検討いただきたきますよう
引き続き予算委員会でもとりあげていきたいと思いますので
副大臣よろしくお願い申し上げます
次に我が国における原子力分野の‥

ここからは略です


(注釈1)
福島県における放射線の健康影響について(風評払拭に係る環境大臣の書簡[令和4年2月1日])  https://www.env.go.jp/chemi/rhm/post_174.html

(注釈2)
放射線医学県民健康管理センターホームページ
「検査のメリット・デメリット」を詳しく説明する小冊子
https://fukushima-mimamori.jp/thyroid-examination/uploads/merit_demerit_booklet_01.pdf

(注釈3)
第43回「県民健康調査」検討委員会 議事録p23
神ノ田昌博 委員
『環境省の取組でございますが、それに当たっては、検査のメリット・デメリ ット、それをしっかりと理解していただくということがまず大事ですので、甲状腺検査に関連した情報をまとめた分かりやすいリーフレットを作成しまして、 既に一般会場での配布を開始しているところです。』
実物のリーフレットは検討委員会に提示されず、リーフレットの内容については議論されなかった
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/486384.pdf


(注釈4)
世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)専門家グループの提言
https://www.env.go.jp/chemi/chemi/rhm/thelancet%20_oncology_comment_Oct19_2018.pdf


(注釈5)
福島県外3県における甲状腺有所見率調査でも、甲状腺がんが発見されています 
福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果について(お知らせ)
https://www.env.go.jp/press/16520.html
甲状腺結節性疾患追跡調査事業結果(速報)について(お知らせ)
https://www.env.go.jp/press/press.php?serial=17965