キングオブコント2022感想〜展開かパワーか〜

キングオブコント2022もついに終わってしまった。
時間が空いてしまったが昨年同様感想を上げていきたい。
まずは1組ずつ感想を上げながら最後に大会の総括を行う。

1組目 クロコップ 460点

ケイダッシュステージ所属でオードリーの後輩。準決勝での配信がされておらず、どんなネタなのかと思ったら遊戯王の音楽に乗せてあっちむいてホイのホイだけやる凄いネタで大爆笑。
トップバッターとして大会を大いに盛り上げる最高のネタであった。
事前ライブでホイの向きが合ってしまうトラブルを避けるように注意したという話で笑った。
本人らは前年トップバッター蛙亭の461点に届かなかったと話すが、小峠さんの94点という点数があることの方が価値が高い気がする。
コンビ結成は2013年のようだが荒木さんだけ高卒で松竹にいたようで、よしもと換算だと芸歴が何年目なのだろうか。。
オードリーとの今後の共演に期待したい。

2組目 ネルソンズ 466点

結婚式へのちょっと待ったや小学生は足が速いとモテるというありきたりなシチュエーションとあるあるの2つを掛け合わせただけなのにここまで面白くできる和田まんじゅうさんのキャラパワーと彼らのストーリーメイクに感動。
本人らはこれまで何度も決勝に来て優勝を逃して悔しいだろうが、テレビ界の賞レースファイナリストへの傾倒は2019年M-1以降からかなと思っているので、今年こうして4位の結果になったことは非常に大きい実績になると思う。

3組目 かが屋 463点

慣れない女王様とそれを喜ぶM男 二人の表情、心の動きの繊細な表現がバッチリ観客に伝わりウケており非常に良かった。
かが屋が今後優勝するにはどうしたらいいんだろう。
何かパワー要素をもっと入れないといけないのか。かが家のスタイルを通したまま優勝できる日を心待ちにしている。

4組目 いぬ 459点

我らがニューヨークの同期こといぬ。ウケてよかった!!!
個人的には二本目でやる予定のネタが準決勝の全組全ネタの中で1番面白かったのだが、このネタの方がインパクト残せてよかったんだろうな。
いつかテレビで見れる機会があると思うと楽しみで仕方がない。
キスが禁じ手は確かにそうかもしれないが、そんなの気にせずガンガン今後も汚いコントを磨いてほしい。
ちなみに、私の姉の2歳の息子はまだあまり話せないのにこのネタを理解してハマり、姉に馬乗りになって手を叩いているようで姉が嘆いていた。

5組目 ロングコートダディ 461点

こういうどうしようもなく言葉が通じない人をこんなに上手くネタにできるの素晴らしい。自分もたまにめちゃくちゃ緊張してテンパってこういう状況に陥ったことがあるような気もする、でも笑えるんだよな。
今年の大会の審査においては、いぬの直後だったこともあってか、発想一本のアホ天丼繰り返しが評価されない空気のため点が伸びなかったが、今後も兎のキャラを最大限生かしたアホコントをどんどん作ってほしい。

6組目 や団 470点

準決勝でこのネタ見て相当ハマってゾクゾクした。決勝進出が決まりまたこのネタがまた見れると喜びながら、観覧の女性にドン引きされてウケないのではないかと懸念していた。が、めちゃくちゃウケていて本当によかった。
ソニー所属の苦労人で、彼らもまた芸歴が謎。ロングサイズ伊藤さんは結局見取り図と同期扱いらしいが、元々は東京NSC6期に入って辞めたと言っておりよくわからない。中嶋さんのポンコツさ加減もなかなかな感じがして、今後の平場もすごく楽しみ。錦鯉と違ってキャラのないおじさんが売れるという意味ではや団さんが一番のおじさんドリームになるのではないか。
いろんなメディアに出て売れていってほしい。

7組目 コットン 470点

浮気証拠隠滅バスターを結婚発表の翌日にやるかねというところだが、きょんの女性演技に西村のワードを刺していく、コットンらしさ全開で本当に良かった。嶋佐もきょんもキャラ憑依がなんでこんなに上手いんだろう。
エレパレやしくじり先生での改名、オードリーのオールナイトニッポンでの西村いじりなど、あとは賞レースの結果だけというところであったので、結婚も準優勝も本当におめでたい。
ニューヨークに継ぐ仕切りもいじられもできる東京吉本の正統派 みたいな感じで、ドンドン売れていってほしい。

8組目 ビスケットブラザーズ 481点

正直この一本目のキラキラりんは、準決勝で見たときはキャラが濃すぎてちょっと胃もたれしていた。しかし「濃厚特盛ファンタジア」のキャッチコピーの名のもとめちゃくちゃウケていた。それにしてもこのキャッチコピー、彼らの濃いキャラクターを表していて非常に良いと思う。
彼らの魅力はまた大会総括で後述させて頂く。

9組目 ニッポンの社長 455点

準決勝では一番ウケていたし自分も好きだった。
ニッポンの社長におけるキングオブコントは、彼らの持つ奇想天外な発想を万人が見てもわかる形にどう落とし込むかの作業なのだと思っている。
2020年のケンタウロス、2021年のバッティングセンターを経て今回で更にわかりやすい形ができたと思い、非常に期待していた。
が、ロングコートダディと同様に発想一本のアホ天丼繰り返しが評価されずで結果的には最下位になってしまった。
しかしその後の平場の機転によりうまく笑いを取り、あらゆるメディアで暗転ボケを多用しており本当に流石である。
東京進出してさらに色んなメディアで辻さんのボケを観たい。

10組目 最高の人間 462点

吉住さんと岡野さんのユニットで、どんなネタになるのかと思ったが、非常にサイコパスで良いネタであった。岡野さんが緊張していたことはプロ同士ではすぐわかるようでそこで点数が下がったようだが、私のような素人には全然わからなかった。
このネタの準決勝のカメラワークは吉住が途中で岡野の存在に気づきゆっくり振り返りながらピントが徐々に奥の岡野に合っていく最高のものであった。決勝でも同じカメラワークを期待したが違う形になって残念であった。
二本目でやろうとしていたのもとんでもないものであったため、またいつか世間に披露してくれる日を心待ちにしている。

ファイナルステージ1組目 や団 473点

二本目の天気予報士も非常によかった。天気予報士が天気外すということをいじったのは神無月さんの石原良純モノマネ以来な気がする。YouTubeチャンネルで他にもたくさんのネタが上がっているので見てみようと思う。

ファイナルステージ2組目 コットン 474点

去年のABCでやっていた煙草のネタをここまでブラッシュアップできるのは流石すぎる。ビスブラと11点差がついていてもう厳しいと思っていたなんて後日談で語っているが、11点なんて一人2点ちょいなので十分調整可能であきらめる必要なんて全然ないのになと客観的には思ってしまう。まあ二本目のビスブラを知ってるからこそなんだと思うが。
終盤で音楽を使うパワー要素もあり、鮮やかなネタであった。

ファイナルステージ3組目 ビスケットブラザーズ 482点

このネタが準決勝からまあ好きで好きで仕方なかった。このネタを持ちながら圧巻の点数を取った時点で勝ち確だった。
オチの最後の一言も足してて良くなってたし、絶妙なキモさが爆笑だった。
ネタの意味や展開の有無などで言えばコットンが優勝だなんて声もあるが、キャラのパワーの剛腕さで優勝をもぎ取っているのは爽快だし、大きな意味があると思う。
おめでとう。

大会総括

昨年の審査員変更の時から漂う、起承転結の明快なストーリーないしは、同じことの繰り返しだけではなく「展開」を求める空気は今年も明確にあった。
恐らくこれはハイレベルな大会だからこそ起きる、加点要素での差別化ができないが故の、目に見える減点要素の排除にあるのかなと思う。
2021年M-1決勝のハライチの時間オーバーみたいな。

「展開重視」別に間違ったことではないと思う。ただ、普段お笑いを観ない人の声が大きくなる賞レース決勝で、審査員が繰り返し「展開がないから」と減点してしまうと、「展開がないコントってつまんないんだ」って勘違いされそうな気がして、そこが個人的に懸念しているポイントだ。
綺麗な起承転結とか、そんな風潮をぶち壊して優勝したビスケットブラザーズは本当に素晴らしいと思う。

ただ同時に、どぶろっぐやビスケットブラザーズほどの素のパワーがない限りは、基本的には起承転結を作って、転や結の部分で音楽を流して劇的な展開やパワー要素を演出するのが優勝するのに必須な条件なんじゃないかと思う。
去年の記事と全く同じことを書いているが、賞レースは賞レースの評価基準だとしても、もう少し細い一筋の発想一本鎗が評価されてもいいのかなとは思う。
あと強引なパワー要素なしでは優勝不可能なのもどうにかして欲しいが。

そして私が懸念しているもう一つのポイントは準決勝と決勝で評価基準違くない?というところだ。
これは本当に素人推測だが、準決勝の審査のポイントはM-1も含めて、ネタの種類を複数パターンに分けて、その上でパターンごとに進出者を決めていないか?と思ってしまう。(あとは東京と関西とか事務所のバラけ方なども)
鮮やかな展開で言えば金の国やGAGなんて決勝で物凄く評価されそうなものだったが落ちた。(本当に素人意見で申し訳ないが)代わりに上がったのはキャラ要素のあるネルソンズと、関西枠で同じことの繰り返しのロングコートダディだ。
彼らの決勝進出にケチをつけたくはないのだが、明確に展開だけを重視するなら彼らの方が優れていたのでは?と感じてしまうのだ。

M-1と違って音響等の観点から準決勝から決勝でネタを変えることもできないのに基準が異なるのはどうなのか。

他にも全組2ネタできてたらとか、色んなたらればはあれど、ビスブラは準決勝時点でそれらをぶっ壊すパワーがあったのは間違いない。

後味悪く申し訳ない。
ひとまず新たなスターの誕生をお祝いしたい。
本当におめでとうビスブラ。そして沢山の面白いネタをありがとうキングオブコント。

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