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「休日気分」の魔法

わたしが勤めている会社は、祝日も稼働日である。
祝日の朝は電車もガラガラで、オフィス街はまるでゴーストタウンのように静かだ。
今朝、いつも通りの時間に電車が来なかった。さらに、電車はスッカスカである。ここでわたしは、「あ、そっか。今日は休日だ。」と思い出す。
今日は会社の人たちも、有給を取ったり、半休を取ったりしていて、オフィスの中はいつもと少し違う空気が漂っていた。少し、浮き足立ったような空気。わたしの一番近くで働いている同僚も、今日から休みを取っていたので、なぜだかわたしまで休日気分のわくわくした気持ちになってしまった。お昼休み、同僚たちと一緒に初めて行くお洒落なカフェでランチをした。ランチのお値段は、いつもより高かった。「あ、そっか。今日は休日だ。」とまたしてもここではっとする。「なーんか休日気分になってしまうよ!」と、いつもは賑やかなのに、今日はやけに静かな通りを同僚たちと歩きながら、言ってみる。共感の嵐。普段あまり行かない場所でランチをしたから、さらにお休みモードのスイッチが入ってしまったのだろう。
どうして祝日も稼働日なのかと、連休を楽しんでいる周りをみて恨めしく思ってしまうところだが、わたしはこう思ったのだ。休日気分で仕事も、悪くない。
実際、休日気分の楽しい感じがあれば、休日だろうと平日だろうと楽しく1日が過ごせる。休日気分の、「何か楽しいことがありそう!」という気持ちで、1日仕事をすると、全然辛くないのだ。めちゃくちゃいいじゃないか。わたしは家で過ごす時間が好きなので、土日も大抵家で過ごす。本を読んだり、ぐうたらNetflixを観たり。そういうのんびりした休みが好きだけど、そういった休日に、休日気分のわくわくした感じは、正直必要ない。休日気分は、何も休日のためだけにある気分ではないのだ!
だから、休日気分だけ味わって、楽しい気分で電車に乗って、だけど実は仕事です!みたいに頭を騙す祝日出勤は、嫌いじゃない。

帰ったら、花瓶の花が入れ替わっていた。我が家には、頻繁に新しい花がやって来る。一緒に住んでいる彼が植物や花が好きで、近所の小さなお花屋さんで、綺麗なものを見つけると買ってくる。季節を家に持ち帰っているようでいいし、何より元気に開く花や、むくむく真っ直ぐに育っていく植物たちが側にいるのは、心地がいいものだ。
花瓶に入った新しい花を見つけて、にやりとしながら、今日も1日頑張った自分を褒める。
わたしの休日まで、あと1日。わたしは明日も、休日気分を味方に、1日楽しく仕事をするだろう。

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