〈練習問題③〉 長短どちらも 答1

※『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』(フィルムアート社)の課題用に書いたものです。

 Aは明らかに不機嫌だった。部屋中の空気が張り詰めていた。取り巻きたちも距離を置いている。普段なら機嫌が直るまで待つところだ。だが、今日に限って取材時間が短い。心の中で思わずため息がこぼれる。素知らぬふりをしてAに声をかける。こちらを一瞥するが、返事はない。しかも眉間には深い皺が寄っている。その様子に胃がキリリと痛み出す。だが無視をされていないだけマシだ。時間切れが怖いので、質問を始める。Aは相変わらず外方を向いたままだ。

--

途中まで試しに書いていたのが、以下。

 ワオキツネザルは群れで暮らす。ゆえに群れ同士の争いも起きる。縄張りを巡る争いは非常に熾烈だ。侵入者を容赦なく彼らは追い払う。跳躍しながら、鋭い爪を敵に向ける。まさに肉弾となって敵を襲うのだ。また移動速度も、驚くほどに速い。飛び、引っ掻き、ときに櫛歯で噛む。その迫力は、映画顔負けである。

『ナショナル ジオグラフィック TV』のワオキツネザル動画をベースにして書こうと試みたのだが、「語り」にならなさそうだし、200〜300文字におさまりそうもないので断念。