『Number PLUS: 野村克也と名将の言葉学。』

(2020年の32冊目)ムックなので年間の読書カウントに含めるか含めないか微妙な感じだが、面白かった。故・野村克也の監督時代の節目節目で行われたインタビューの再録、野村監督の教え子たちの言葉、そして他の名監督と呼ばれた人たちを取り上げた記事を集めたもの。ぶっちゃけ野村関連以外の記事は、落合や権藤ぐらいしか面白い記事はないのだけれど、野村ヤクルト黄金時代を知り、スワローズの浮き沈み(もちろん沈みの期間のほうが長い……)を見守ってきたファンは必読であろう。

しかしながら、死後こうして聖人めくほどに名将扱い、というのもなんだかな、という感じである。選手に対してプロとして立派な人間であるべきだ、と説きつつも、自分は野村沙知代がらみ、あるいはカツノリがらみで清廉潔白とは言い難い人物であったのだから。「清濁併せ呑む昭和の野球人」というのが正確なところだろうし、本書のように濁の部分はほぼオミットしてしまうのには問題を感じなくもない、というか、濁のところがあるからこそ面白いわけで。そう考えると、野村沙知代死後に語られた「良い夫婦」的な良い話も、めちゃくちゃであるよなぁ、と思い出される。今さら「あたしゃ、許さないよ!」的なことを言っていても仕方ないとは思いつつ。

いただいたサポートでさらに良いアウトプットを出せるようインプットを高めます!