体と言葉のあいだ、あるいは周縁へ思想 尹雄大 『脇道にそれる: 〈正しさ〉を手放すということ』

(2020年の11冊目)武術などを経由して語られる身体論を展開する作家、尹雄大のエッセイ集。刊行当初に買っていたのだが2年近く寝かせてしまっていた。

彼の身体論にも通じる《わかること》のわからなさや、無媒介のコミュニケーションの不可能性などが説かれている。身体から放たれる言葉(のようなもの)を汲み取るような仕事。そこから本書は、さらに正しいこと、真っ当であること、中心であることから離れるような生のあり方へと向かっていくようである。

同じ著者の『FLOW』について、過去に自分が書いた感想を読み直すと、この著者がここにたどり着いているのは必然という感じもする。今の哲学的モードの先取り、あるいは社会の息苦しさへの態度の先取りがすでに2006年の著作には刻まれている。

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