菊地成孔 大谷能生 『アフロ・ディズニー2: MJ没後の世界』

(2020年の41冊目)2010年に刊行された菊地成孔・大谷能生のコンビによる講義録。『アフロ・ディズニー』のほうは刊行後すぐに読んだ記憶があるが、『2』はだいぶ寝かしてしまった。でも、そのおかげで内容は熟成してまた読みごろになっており、アフロ・ディズニー、つまりは黒人カルチャーとオタクカルチャーの接近をテーマに掲げた本書は、Flying LotusやThundercatの大ブレイクを予言するかのようである。巻末の著者ふたりによるあとがき的対談にしても「近所で飲もう」とか言ってる。ステイホームへのニアミスである。

さて、『2』のほうではオタク方面や美学、精神分析、ファッション、そして松尾潔、と錚々たるメンツがゲストとして召喚されているのだが、なかでも村上隆の回が面白い。ちょうどヴィトンやカニエとのコラボレーションで話題になった後であり、そのコラボレーションに対して村上がどう答えたのかの内情が意外とも言える顛末で今なお価値ある記述といえよう。

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