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本来あるべき審査の形

前回の記事で散々PDMAの審査がザルと言いましたので、当業界の規制審査の審査書(規制側が審査結果を取りまとめた報告書)をご紹介する
https://www.da.nra.go.jp/view/NRA077004285?contents=NRA077004285-002-002#pdf=NRA077004285-002-002

1.判断基準

当然のごとく、どの文書で明確に示された基準と照合し適合性を判断したかを書いている(基準もないのに審査できるわけがない
ちなみに10以上の文書に亘って各判断項目に対応する基準が存在する

2.評価結果と判断基準との照合


例えば、プラントが事故を起こした場合でも安全性を確認するために安全解析を実施するが、その審査の一例は以下のとおり。

まずは、当該審査に関する判断基準を示し

Ⅳ-1.2.1 炉心損傷防止対策
第37条第1項は、発電用原子炉施設は、重大事故に至るおそれがある事故が発生した場合において、炉心の著しい損傷を防止するために必要な措置を講じたものでなければならないと要求している。
同条同項の設置許可基準規則解釈において、「炉心の著しい損傷を防止するために必要な措置を講じたもの」とは、炉心の著しい損傷を防止する対策に有効性があることを確認するという要件を満たすものとしている。「有効性があることを確認する」とは、以下の(a)から(d)の項目(以下「炉心損傷防止対策の評価項目」という。)を概ね満足することを確認するとしている。
(a)炉心の著しい損傷が発生するおそれがないものであり、かつ、炉心を十分に冷却できるものであること(※19)。
(b)原子炉冷却材圧力バウンダリにかかる圧力が最高使用圧力の1.2 倍又は限界圧力を下回ること。(筆者加筆:当該プラントの最高使用圧力は8.62MPa)
(略)
(※19)「炉心の著しい損傷が発生するおそれがないものであり、かつ、炉心を十分に冷却できるものであること」とは、以下に掲げる要件を満たすものであること。ただし、燃料被覆管の最高温度及び酸化量について、十分な科学的根拠が示される場合には、この限りでない。
(a)燃料被覆管の最高温度(筆者加筆:PCT)が1,200℃以下であること。
(b)燃料被覆管の酸化量は、酸化反応が著しくなる前の被覆管厚さの15%以下であること。

つぎに解析結果との照合を実施

② 解析結果
申請者が行った解析の結果は、以下のとおりである。
a. 給水流量の全喪失の発生後、原子炉水位が低下する。原子炉水位低(レベル2)における主蒸気隔離弁の全閉により、原子炉圧力容器内が高圧状態となるが、逃がし安全弁(逃がし弁機能)の作動により原子炉冷却材圧力バウンダリの最高圧力は約7.69MPa[gage]に抑えられる。また、逃がし安全弁(自動減圧機能)による原子炉圧力容器の減圧に伴い、原子炉水位が低下し、炉心が露出することにより燃料被覆管温度は上昇するが、低圧代替注水系(常設)(復水移送ポンプ)による炉心の冷却により、PCT は約859℃に抑えられる。また、燃料被覆管の酸化量は酸化反応が著しくなる前の燃料被覆管厚さの1%以下となる。

このとおり、解析結果と判断基準の照合が以下のとおり明確になされている
解析結果7.69MPa<判断基準8.62×1.2MPa
解析結果859℃<判断基準1200℃
解析結果1%以下<判断基準15%

3.まとめ


普通、審査ってこういうものなんでしょうけどねw

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