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クラフトビールの提供シーンを考える

日本でクラフトビール文化がもっと醸成されることを夢見てイギリスから帰国して1年強、正直、それに向けて何かアクションはできていませんが、日々、クラフトビールを楽しむことと、考えることは続けています。そんな折、こんな記事を読みました。

Amazon Goのような無人のコンビニの実験が日常に溶け込みつつあるアメリカで、今度はシカゴにTapsterという基本無人の(ワンオペの)クラフトビールのTaproomができたという話です。詳しくは下の1分程度の動画を見てください。

パッと見はパブですが、特徴は店員さんが1人しかいないこと。入り口でお客さんからクレジットカードを預かり、変わりに専用のICカードを渡すのが店員さんの役目。ICカードを受け取ったお客さんは、壁についた30種類以上のサーバーから好みのビールを好きなだけ注いで飲みます。ワンオペなので、料理は出ませんが、食べ物の持ち込みは自由です。帰る際にICカードを戻すと、飲んだ分がクレジットカードから引き落とされるというシステムです。

最初は「ふーん」と言う程度だったのですが、考えれば考えるほど、これ、おもしろいです。何かが起こる気がします!

日本でクラフトビールを定着させるための一番のネックは「提供シーン」の変更にあると思ってきました。具体的には、イギリスにいた頃、まず学生間で「ご飯食べにいこう」という誘いはあまりありません。もちろんイギリスの食事がまずいこともあると思いますが、自分の感じたのは「食事に誘う」のはもうちょっと「正式」な行為で、家族や恋人としっかりとした(正装で)ディナーなイメージでした。そして、そこで供されるのは食事に合わせたワインです。

もちろんイギリスでも「飲みにいこう」という誘いは毎週のように大量にありました。日本で(少なくとも自分の身の回りでは)「飲みに行く」と言うと「いっしょに夕飯を食べる」ことを指すことが多いですが、イギリスで「飲みに行く」場合は、夕飯は各自で食べてきた上で集合し本当に「飲み」と会話を楽しむ会でした。

だからこそ、クラフトビールが流行ったのではないか?と思うのです。味が多彩で、それ自体の個性を楽しむことが価値であるクラフトビールは「ご飯向け」じゃない。しかし、日本ではビールも日本酒もワインも焼酎もすべてお酒は「ご飯のおとも」のような位置づけがある。特に日本のビール会社はとにかく食事によく合うビールを素晴らしく研究して作っていると思う。ハイボールなんかもこの影響を受けて日本でのみ流行っている飲み方なんだと思う。

だからこそ、こういう「場」を用意することでクラフトビールは「ご飯のおとも」ではないという価値転換をすることは、正攻法だと思ったのです。映像を見てもらえば分かりますが、良い具合にオシャレなインテリアで落ち着きそうな空間です。ジェンガやオセロなどのゲームが置いてあったり(そう言えばBrewdogにもアーケードゲームの筐体が必ずある!)、Tシャツなどオリジナルグッズが販売されていたり、飲食店というよりも「コミュニティ」に感じました。あの「Napster」を彷彿させる「Tapster」というネーミングにもセンスを感じます。

これ、日本であれば、会員制にするのも良いかも知れません。趣味や仕事や属性は違うけれど、クラフトビールが好きな人たちだけが集まってくるコミュニティ、、、会ったら絶対行きます!

また、ビールを美味しく飲むには「サービングの技術も大事」という話もあるかとは思います。しかし、そこがクラフトビール好きばかりが集まるコミュニティであれば、サービングの技術を教えたり教えられたりというポジティブな関わり合いも生まれるでしょう。

サービスを聞いてゆいいつ気になった、最初にクレジットカードを店員さんに渡すという決済の部分もpaypayでも使えばクリアできそうだし、うまく行きそうな気がするのですが、、、どうでしょ?クラウドファンディングからはじめてみようかなぁ。

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