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サウナ開発物語 -地方に熱源を 第三章-

物語は第三章へ。

限界集落でのサウナ開発劇を描くというとてもマニアックな内容ではあるが、それでもこのnoteを読んでくださった多くの方々から直接・間接に応援の声をいただいた。その全てに心からの感謝を胸に、皆様の期待に応えるべく、その応援を前進のエネルギーの変え、これからも更なる推進に挑む所存である。

日本一のサウナづくりに挑む

約束の地

物語の舞台となる約束の地は、地球上で最も美しいと思えるような、田園と夕陽が見える小高い丘。日本昔ばなしに出てくるような美しい大自然の中に存在する幻想的な空間。後ろを振り返れば、大迫力のスキー場が存在し、冬になればこの大地はまた別の顔に変化する。

赤線が予定地。小さく見えるが800坪。

この特別な土地との再会によりこのサウナ物語はついに動き始めた。この大地は、僕たちの挑戦をまるで待っていたかのように、大自然の中で長い間静かにたたずんでいた。大地がなんとなく僕に「おかえり」と言ってくれているような感覚があった。

さぁ、どうせやるならトコトン面白いサウナ、トコトン本物のサウナをつくろうじゃないか。そうだ、僕たちは日本一のサウナをここでつくるんだ。

いつの時も「挑戦」を選択しよう

挑戦を選ぶことは、いつだって重要だ。方向性が定まれば、後は行動を起こすだけ。

ところで、熊谷建設の匠の技術はありつつも、そもそも僕たちサウナ施設なんてつくったことがなければ当然運営したこともない。圧倒的なサウナをつくるには、機能、デザイン、コンセプト、導線、そして全体の世界観、何一つ欠けてはいけない。そのためにも最高のチームでプロジェクトには臨まなくてはならない。

どんなチームで挑むべきか?覚悟を固め意思もって進めば点と点はつながり始めるものだ。実際、新しい出会い、そして再会もあり、少しずつチーム構想が具体化していった。

新潟の限界集落で至極のサウナをつくりたい。

こんな破天荒な依頼ではあったけれど声をかけたメンバーの全てがプロジェクトへの参加を快諾してくれた。それはサウナづくりに向けたDream Team誕生の瞬間でもあった。そう自信をもっていえる。

さぁ、新潟で集まろう。

夏。東京から車で5時間。東京から各専門領域のプロフェッショナルが新潟の大地へやってきてくれた。そして熊谷建設と融合し初の現地調査が実現した。

早速現地視察。800坪は果てしなく広い。
プロフェッショナルたちはそこでいきなり会議を開始
Dream Team

800坪という広大な土地もさることながら、土地全体が傾斜してるという大きな特徴のある場所。ならば、その土地の斜度をむしろ利用して、独特の建築を実現できないか?議論は瞬時に盛り上がりその場は白熱していった。

集まった皆が口を揃えていった。

きっと本当に面白い物語がこの場所から生まれる。
僕もそう確信した。

小さな流れはやがて大きな潮流へ

そんな中、サウナ事業への準備を始めていた熊谷建設がつくったバレルサウナの試作品が新潟日報に大々的に報じられたのだ。これほどまでに大きく取り上げられるのも驚きだが、それ以上に驚きだったのが、このバレルサウナを販売して欲しいという問い合わせがあちこちから殺到したことだ。更には施策品を見学させてください、と多くの企業が現地へ足を運んでくださった。このことからも地方においてもサウナに対する関心の高さを改めて確認することができた。

新潟日報

そうこうしている間に、この記事を見たからかなのか?「うちの杉の木を譲りたい」というご連絡をいただいた。それも100本もの大木である。原材料高の昨今において、これだけの木が手に入るのであれば、木々をふんだに使い贅沢に木材建築を実現できる。そしてそこから生まれる廃材はサウナのエネルギー源として活用できる。

譲りうける木々たち

時同じくして、今度は「サウナストーンとして使用できないか?」と石を提供してくれる方も現れた。この石は、古寺石と呼ばれ、かつて新発田城の石垣に使われた石と同じものであり由緒ある石そのものだ。

提供された古寺石

設計も建築もまだまだこれからというとても初期の段階にもかかわらず、僕たちの挑戦に対して、様々な応援が集まってきたこの事実に胸が熱くなった。挑戦をすれば必ず困難はつきもの。だけどそれでも諦めない限り必ず新しい景色が見える。そこで見えた景色とは、地域の皆様からの応援であり、地域の声、地域の熱だった。

改めて思う。日本の地方の衰退は紛れもない事実であり、何もしなければ今後さらに加速していく。それでも、日本の地方には、様々な資源が存在していると僕は心底思う。水、空気、食、そして自然と四季の移り変わり。この点と点を繋げていく構想と行動さえあれば、それは大きな価値となり経済循環として生まれ変わる思う。それを実証すべく、サウナ開発物語の挑戦は生まれた。たかがサウナ?されどサウナ。地方の限界集落から生まれるこの小さな流れを必ず大きな潮流へまで育ていきたい。

着工式。 空はいつも以上に青かった。

そしていよいよこの土地での着工式が行われた。
大地に塩と酒をまき、これからの挑戦と安全と成功を祈った。

これは終わりではない。
旅はまだ始まったばかりだ。
その先にはきっと驚きと感動が待っている。

新しい事業を生み、育てるということは決して簡単ではない。今、こうして開発物語の記録を書いているこの瞬間でさえ実際には様々な問題と直面している。挑戦を選択する限り必ず困難に出くわす。むしろ困難と失敗の方が圧倒的に多い。でもその先にある「可能性」に挑まない限り成功は絶対にない。

ともあれ、2年近い歳月をかけて、ようやくプロジェクトは動き始めた。

これを読んでくださった全ての方に、引き続きの応援をお願いしたいと同時に、この物語が完成した暁には是非この場所でお会いできることが今から楽しみでならない。



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