入籍しました。

　

　私、つい最近まで、「誰も信じない」ということで、ひたすら自分を守っていました。ぎゅーっと気持ちを閉じて、それが相手の気持ちを傷つけるなんて、考えもしなかった。

　人を信じるのって、すごくこわい。「結婚して家族をもつ」ってことは家族を失うよりも、ずっとずっとこわいことだと、私は思う。
　
なのになんで、私は夫と結婚したかったんだろう。

　今でもはっきりと理由を言えるわけではないけど、私のしょうもない言葉を拾い集めて「おもしろいよ」って価値をつけてくれたことが、私以上に私に期待をしてくれたことが、私の人生には大きくて。

　いつの間にか、この人のために変わりたいって思ったんです。なんでかわからないけど。こわくても、信じられなくても、この人と一緒にいたいって思うんです。

　あんまりにも夫が楽しそうに世界を語るから、ぎゅーーって閉じていた私のこの世界から、出てみたいって思ったんです。

　しんどくても、こわくても、信じたいのに信じられないって泣いても、変わりたくて、変わりきれなくて、もがくことになっても、それでも、この人と一緒がいいって思ったんです。

　好きなところなんていっぱいあるけれど、それはそっと私だけのものにします。

　こわくても、家族を失ってしまった私だったけど、もう１度、自分で家族を持つならこの人がいいって思ったんです。なんでか理由はわかりません。だめでしょうか。

　理由をはっきりと言葉にできるようになる日が、いつかくるかもしれないけど。

　結局、上手く言葉にできなかったけど、きっと、これからも不安や葛藤があって平穏な毎日じゃないかもしれないけど、何者でもない私を、ダメでめんどくさい私を、選んでくれてありがとう。