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ひとがひとを呼ぶ 【つぶやき】

〜伊香保の古びた旅館の話〜

ひとがひとを呼ぶ
なんとなく、そう思って生きてきたがそれが現実だった。

コロナウイルスでなかなか外出もできない中、テレワークも当たり前になり、ストレスを溜め込んでいた。

妻もコロナで仕事が大変になり、ストレスを溜め込んでいて、
妻の誕生日はしっかりお祝いしたかったので、コロナ渦ではあったが思い切って伊香保温泉に行くことにした。

特に行きたい旅館があったわけではないので、旅行サイトを見て「口コミ」がよい旅館にしようと決めていた。

そして、面白そうな旅館を見つけた。

その旅館は、とくかく「口コミ」がよく、コメントのほとんどが女将さんに関するコメントである。

そのコメントを読んでいて、実際に女将さんに会ってみたくなったのだ。

それだけの理由でそこの旅館を予約した。

伊香保に行く途中、雪が降りスタットレスも履いてなかったので後悔しながら旅館に着いた。

旅館に到着すると、駐車場も狭く、建物も古く寒そうで立派な旅館とは言えないものだった。

車を停めて中に入ると、女将さんが迎えてくれた。

第一声は「雪で大変な中、こんな古い旅館に来てくださりありがとうございます」

その後、お茶を出されついたテーブルの向かえに女将さんが座り込んで、延々と話し始める。

「夫婦?」「コロナでたいへんよね?」「このバックかわいいね!」「なんていうキャラクター?」「どこからきたの?」等々

その話は僕らの持ち物にまで及んだ。

ちょっと厚かましいなと思いつつ、これは女将さんの歓迎の仕方なんだと理解し、女将さんとしばらく話し込んだ。

予想以上の時間を費やし女将さんとの談話を終えた後、部屋につき妻とその話題でしばらく盛り上がった。

その後、入浴しようと部屋を出た時、そのドアの開閉の音を聞いて女将さんがまた駆けつけてきた。

僕らが必要と呼んだわけではないのに、「お部屋は寒くないですか?」「お風呂はこちらです」「お腹すきましたか?」等々、また話しかけてくる。

最初は、あまり関わらないでゆっくりさせ欲しいといった気持ちが強かったが、これが女将さんの気遣いとおもてなしだと理解し、一生懸命に私たちと仲良くなろうとする姿をみて、優しさに包み込まれている幸福感を味わえた。

夕食も美味しく、僕と妻は最後までそんな幸福感に満たせれた1泊2日の旅行を満喫できた。

コロナも落ち着き、また女将さんに会いたくなり旅行サイトをみているが、予約が埋まっており、なかなか予約が取れない。

きっと私と同じ幸福感に満たされたリピーターの客で人気の宿なんだろう。

ひとがひとを呼び、ひとが集まるところにお金も集まり名誉も集まると聞く。

やはり、人気の宿にも人気のひとがおり、最終的にはひとがひとを集めると思った出来事であった。

建物は古くお風呂も他の伊香保温泉と比べて良いわけではないが、きっとここを訪れる人は女将さんに会いにくるんだろう。

女将さんの温かいおもてなしとを受けて、元気をもらうのだろう。

私も仕事で長くIT業界で働いている。

売上をあげるためのテクニックはあるにしても、最終的にはひとです。

あなたが担当だから契約をしていると言られた時には嬉しい。

人間性に勝るものなし。

あの宿には、またいつか行ってみたい。

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