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単純繰り返し作業への耐性について考えた

某月某日

Twitterを眺めていたら面白い投稿を見つけた

スレッドを遡ると出てくるが、

Q.どんな人がプログラマに向いてますか?
A.弁当に梅干しを載せる仕事で発狂する人

https://twitter.com/HighWiz/status/1535208866790531073

というQ&Aに端を発したものなのだが、
確かに、どれもいそうだ笑

コロナ前、友達のプログラマーがWeWorkで2ヶ月に1度くらい開催していたモクモク会に参加していた頃、そこには有名アプリの開発者たちが何人かいた。あるとき雑談でGoogle Homeの話になった時、みんなそれぞれの家で自分がどういうものをGoogle Homeとつないで自動化しているか話し始めて、おのおのの自動化のあくなく欲求にびっくりしたことがある。
ユーザーに使いやすい人気のアプリをつくることができる人というのは、普段からわずかにストレスになるところ、届かないかゆいところ、ということに関して感度が高いんだなと思った。
そう考えるとこのツイートの答えは間違っていないかもしれない。

かく言う自分は、、、
「自動化する」ことがテーマのプロジェクトを引き受けたのであればとことん考えられるたちであるが、自動化が目的でなければそのエネルギーは薄れ、身の回りのことや、簡単な単純作業を自動化することに関しては割と無頓着である。

そういえば自分は昔から繰り返し作業や単純作業が苦にならない。
おそらく自分が農家の長男で子供のときからこれでもかという量の単純繰り返し作業をやらされて来たからだろう。

どんな単純作業をやっていたのか、思い出してみたら次から次に出てきたので、ここに列挙してみた。
(農業ってこんな大変なんだ、という参考までにどうぞ!)



絹さやえんどうを1つ1つ手摘みする。

一日に収穫する絹さやえんどうは数千個レベルなので、
1. えんどうを探す
2. 摘む
3. 腰にぶら下げたかごに入れる
という動作を数千回レベルで繰り返す。

絹さやえんどうを入れるダンボール箱をつくる

絹さやえんどうを出荷するときに入れるダンボール箱は組み立て前の薄っぺらい状態で倉庫に山積みになっていて、これを

  1. 20枚ごとのロットになったものを倉庫から出してきて、束ねているロープを切る

  2. ダンボール1枚1枚に父親の名前と日付のハンコウを押す

  3. ダンボールの底の面を組み立てる(両サイドを織り込んで底の部分をつくる)

  4. 底の面を上にして台の上におく

  5. 大型のホチキスで4箇所止める

  6. 上の面は閉じずにその状態のダンボールを10個ずつ重ねる

  7. 数十回に一度ホチキスの針を補充する

という繰り返し作業をしていた。1日のノルマがだいたい100個だったので、この作業を収穫期は毎日100回繰り返す

絹さやえんどうを仕分ける

絹さやえんどうを出荷用のダンボールに詰める際に、ヘタの折れているものや、小さいもの、状態の悪いものをすべて手動で除去する。一日出荷する絹さやえんどうは数万個単位なので、この作業も数千回繰り返す

ビニールハウスのビニールをわずかにずらす

ビニールハウスは昼熱くなりすぎるのを防ぐため2〜3メートルくらいの間隔でビニールをまくりあげ10cmほどの隙間をつくり風が入るようにしておくのだが、夕方にこれを全部閉めなければならない。だいたい長さ50メートルくらいのハウスが数十個あるので、ビニールハウスの両サイドを歩きながらこのビニールを10cmほど下にずらす作業を毎日100回くらい繰り返す

ひたすら穴をほる

ビニールハウスを建てるときに土台となるコンクリートブロックを埋める穴40cm x 40cmx60cmくらいのものを100個くらい掘る。1つ掘るのに子供の力だと速くても30分はかかるので、この作業を数日にわけて繰り返す。


この他にも、コンテナを等間隔で配置したり、いろんなものの数をひたすら数えたり、とにかく大量の単純繰り返し作業を少年のときにしてきた。もちろん学校にも通っていたし友達とも遊んでいたので毎日やっていたわけではないが今考えると泣けるなこれ。。

これに比べるとツイートにあるような梅干しを弁当に配置するくらいは僕にとっては朝飯前といってもいい。

実は単純作業への耐性が役立つときもソフトウェア開発の現場では結構ある。
最近は会社の若いエンジニアに挑戦的な部分、創造的な部分をやって腕を磨いていってほしいので、そういう部分をどんどんまかせている。そうすると自然と自分は地味な部分、同じパターンの繰り返し、のような箇所をやってバックアップすることも多い。こういう作業にストレスを感じることはないので、耐性がこういうとき役立っていると思う。

うちの子供たちの大好きな漫画にDr. Stoneという漫画がある。自分も子供が読み終わった後に呼んでいるが、主人公の千空が
単純・繰り返し作業が科学、技術のブレークスルーにどれだけ大切かを示唆するシーンが何度も出てきて、そこがいつも自分の心を打つ。
仕事のコアのクリエイティブな部分に近づくまえの、単純、繰り返し部分の作業で集中が切れては元も子もない。エンジニアにもある程度の耐性はあっても損ではないかもしれない。農業体験がおすすめです笑

先のツイートに戻ると、スレッドの中に「ドモホルンリンクルを一滴ずつ眺めるお仕事」というのがでてきた。これは自分にとっても新しい、耐性のない仕事かもしれない。。

つづく



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