
設計事務所の借金事情
小さい会社が多い業界
設計事務所の約8割は10名以下、約5割が5名以下の組織である。
KURUも私が関わり出した時は、4名からのスタートだった。
少しずつ増えてきて、20名くらいの組織になったが、
「設計事務所で20名!?めちゃ大きいですね」と言われることもある。
20名なんてまだまだ組織というには全然で、全員攻撃全員守備を必死のパッチでやってるのに、
それだけ小さい会社ばかりの業界という印象を一般的には持たれているし、実際そうである。
今回は、そんな小さな設計事務所の借金事情について書きたいと思う。
まず、小さい設計事務所は、ほとんど借金していないケースが多い。
色々な理由はあると思うが、ビジネスモデル的にかかるのはほぼ人件費なので、
何か仕入れる必要もないし、大きなお金が先に出ていくことはあまりない。
必要ないと思っている人も多数いるし、実際なんとかなる場合も多い。
しかし、そもそもよく借入について理解していないのが1番の理由だろう。
過去の借金事情
私がKURUに関わり出した時、起こっていたことは、
借金もさほどないが、ほとんど現金がない状況だった。
だからリアルに給料どうするかが毎月のように起こっていて、
なんとか支払いを工面していた。
個人の財布と会社の財布がごっちゃになっていて、
個人のお金を入れたり出したりが日常茶飯事だった。
問題だったのは、
その時の財務状況が悪く、色々動いたが新規の借入ができなかったことだ。
そうなるとクライアントからの着金があったかどうか、
スケジュールがずれたら何でカバーするのか。
そんなことを毎日のように考えなければいけなかった。
銀行のよく言う「晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げる」状態が起こっていた。
しかし、利益が出ている時にしっかり準備をしてお金を借りておけば、
おそらくある程度は回避できていた。
その時の苦労話をするつもりはないが、
その時起こっていたことを思い返すと
余裕がないがために、KURUにフィットしない仕事を受けてしまったり
値段交渉をされてそれをそのまま受けてしまったり。
そもそも「お金をどうしよう」と考えることに
頭のメモリを持っていかれてちゃんとした意思決定が
できていなかった感覚を今でも鮮明に覚えている。
現在の借金事情
数年経って、今会社として意思決定していることは、
あらゆる手を使って、借入できるMAXを借り続けるということ。
今年も決算が終わったタイミングで新規銀行と既存銀行から追加で
借入できる限度額を借りた。
設計事務所のビジネスモデル(受託)で言うと
通常年商の半年分くらいが借入できる限界だが、
色々交渉したり、新しい銀行を開拓し、年商分くらいを借入している。
理由は大きく二つ
ひとつは、会社として正当な意思決定を常にできる状態にすること。
会社経営は長期戦。良い時もあれば悪い時もある。
悪い時にお金が手元になければ逆回転が起こる。
そうならないようなディフェンス的理由。
もうひとつは、新しいチャレンジをいつでもできる状態にすること。
KURUは今から不動産領域にチャレンジしようとしているので、
先行投資する良い案件などが来た時にチャンスを逃さないため。
また、良い人材と出会った時にすぐに採用できる余裕を持つため。
オフェンス的理由。
いずれにせよ会社を大きくしていくためには
銀行とうまく付き合わないといけないわけで、
長い目で見て、仲間になっていただいた方が良い。
だとしたら銀行のことを理解して、そして銀行にも儲けてもらって、
引き続き取引したいと思ってもらうにはどうしたら良いのか
を考える方がよっぽど良い。
そんなことを続けていると
最近では、我々の取り組みに興味を持っていただき
銀行から案件を紹介されることも増えてきた。とても有難い。
広義でパートナーと思っていただいてお金だけではないサポートをしてもらえるなら、金利なんて安いものだ。
小さい設計事務所が全てうちみたいにたくさんお金を借りた方がいいというつもりはないが、
お金がないことで頭のメモリを持っていかれる感覚をわかる人は少なからずいるだろうと思う。(業界関わらずだが)
本来我々は、良い場づくりに最も集中できる環境をどう作るかが最も重要で
そのためにはお金の戦略は当然ながら切っても切り離せないのだ。
最近では、
設計事務所の経営をサポートする方がいたり、
大学の建築学科でもお金の授業みたいなものもあったり
業界の発展には、とても良い傾向だと思っている。
KURUは、これからもたくさんお金を借りて、たくさんチャレンジします。
同業の方になら我々の経験シェアも全然していきますので、
もしご興味があれば連絡をください。
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