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くだらねえと呟いて 醒めたつらして逆王手

家族だからって、お互いのことをどれだけ知っているというのだろう。知らないことの方が多いのじゃないか。これは私の家族も知り得ない話なのだが、将棋を指すこと自体にはまったく興味のない将棋ファンとは、私のことである。

昨日、毎週末のお楽しみ、ABEMA TVトーナメントにおいて最大の好カード、羽生善治九段と藤井聡太七段の対戦が放送された。

どちらか一方のファンにとっては、どちらか一方が勝てと。また、両者のファンにとってはどっちも勝てばいいのに!という複雑な気持ちで見守っていたのじゃないだろうか。
自分は完全に後者だが、それでもこの両者が向き合って盤を挟む、あの景色を見られるだけでも十分に眼福である。新たな日本百景としてぜひご提案したい。

結果はもう、いくつも記事が上がっているので今さらではあるが、3番勝負のうち藤井七段が2連勝してストレート勝ちである。
過去の戦歴から考えるに、藤井七段が勝つんじゃないかしら、とは踏んでいた。正直なところ。とはいえ、相手が相手だけに、フルセットや叩き合いにもつれ込むかと思っていたが、そこまで見た目に分かりやすい激戦とは残念ながらならなかった。藤井七段の圧倒的な強さを見せつけられた格好で、羽生九段が1勝も返せなかったのは、見ていてなかなかに辛かった。

それでも、内容は2局ともハイレベルだったようだ。ようだ、というのは、ひとえに私が将棋を指せないから、解説を聞いてそう感じたっていうボカシである。以下、勝手な想像でさも分かっているかのようにこのテキストは進む。

1局め、2局めともに戦型は角換わり。これは藤井七段の得意とする戦法だから、あえてそれを選んだ羽生九段らしい矜恃である。一瞬、おふざけで藤井システムをぶつけてくるかとも期待したが、そのネタは別企画で披露したので今回はなし。そんなところにも羽生九段の真剣さが滲んでいた。

また、両局とも終盤は詰むや詰まざるやの展開となったものの、藤井七段はギリギリのところで羽生九段の技をかわし、着実に勝ちを掴んだ。先日の棋聖戦5番勝負の第一局もそうだったが、相手が強いほど、藤井七段の将棋はこうした展開になりがちである。詰んでいそうで詰んでいない。捕まっていそうで、捕まっていない。本当にハラハラするんだ。

まぁ、とはいえこっちがハラハラしているだけで、藤井七段はしっかり読み切った上で指しているんだろう。でなければ勝てない。天才という凡庸な言葉では収まりきらない、何かチート的な才能があるんだろうなぁと私は睨んでいる。そうなると藤井七段にわりとあっさりめに勝った広瀬章人八段ってなんなの、って話になるんだけれど。

それ以外でいうと、三枚堂達也七段は負けてしまったもののよく頑張っていたように見えた。昨日の放送では、永瀬二冠を相手にチームで唯一の1勝を上げいたし、何より、控室でも常にハツラツとした様子で笑顔を振りまいている様子がとても良かった。

Wikipediaさんの話では、三枚堂七段は26歳らしい。その若さで、大御所2人を抱えたチームに選抜である。どう考えてもはしゃいでいる場合ではない。だからといって萎縮している場合でもないのが辛い立場である。
そんな状況下においても、臆することなくこの企画に取り組んでいる姿に、思わず「良い子なぁ、この子!」(ババァ感)と、好感度が爆上がりしてしまった。前々から良い子そうだとは思っていたが、ここへ来て好感度の上乗せである。解説も上手いし、コメント力もあるし、若い頃の羽生九段に似た爽やかな見た目も相まって、もっとワーキャー言われていてもいいようなものだがなぁ。私が知らないだけで、すでに言われていたなら申し訳ない。都成竜馬六段くらい早く世間に見つかってほしい人材である。

チーム永瀬は優勝候補と目されているようだが、正直、特にそんな気はしていない(※個人の見解です)。じゃあどこが、と言われても分からないが、これまで見てきた中ではチーム渡辺とチーム久保が強そうな気がしている。なんせ悪人顔が揃っているよね(※個人の見解です)。

来週は引き続きアベマドリームチームと、チーム広瀬による決勝トーナメント進出をかけた一戦が放送される。ぜひ、羽生無双が見たい。

#日記 #将棋 #羽生善治 #藤井聡太





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