mizushy

15年以上勤めていた会計事務所を辞めて、セカンドライフの生き方を模索中のアラフォーです…

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15年以上勤めていた会計事務所を辞めて、セカンドライフの生き方を模索中のアラフォーです。noteで好きな事を発信していきます。

最近の記事

小説を書き終えて

2ヵ月近くにわたって、人生初めての私小説を書いてみました。僕が思ってた以上に、全然書けなかったです。 稚拙な文章、小説の体を成していないのはもちろんですが、自分が経験した事なのに文字にしようとすると手が止まってしまいます。お遊びの文章なのに、全然筆が進みませんでした。小説家やライターの方など、文章を書くことを職業にされている方は、本当にすごいと思いました。 でも、どんなに下手でも書き続ける事で力は付いていくと思うので、また何かネタを探して書こうと思います。

    • Life is Fishing (終章)

      僕は釣り上げた鯛の針を外そうと、左で魚体を抑えようした。 「痛てっ。」 背鰭の刺が左手小指の付け根に刺さった。指の付け根からは真っ赤な血が滲み出てくる。鯛の背鰭の刺は鋭いな。スーパーでよく鯛が丸ごと一匹売られているけど、背鰭が切られているのは怪我しないようにするためなのかもしれない。 鯛の口も硬い。針は唇の側に掛かっていたが、外すのに時間がかかった。針の外れた鯛を桶に入れる。先ほど釣れたメバルと一緒に、黒と赤の魚体が混じり合う様に桶の中を泳ぎ回っていた。僕は再びエビを付けて、

      • Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑮)

        僕は釣り上げたメバルを針から外して、桶に入れた。お腹を見せて浮かんでいるカサゴの下に潜って、メバルは桶の中を激しく泳ぎ回っていた。 雨は相変わらずシトシトと降り続いている。寒さで凍えるほどではないにしても、着込んだ長袖は十分に雨水を吸って、僕の体温を奪っている。ちょっと身体が固まっているな。僕は首を回して凝りを解した。さてと、鯛を釣り上げるとするか。餌を付けた仕掛けをきもち遠くに竿で送り出して着水させて、海中へ沈めていった。仕掛けはスルスルと沈んでいき、やがて海底に着いて止ま

        • Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑭)

          船釣りは、ただ雨が降った程度では支障がないため続けてもらえる。海が時化たり、雷が鳴ったりしたら危ないので中止になる可能性が高いけど。それでも、もう5時間も釣らせてもらっているので、時間的にここが最後のポイントになるだろう。僕は餌のエビを付けて、仕掛けを海に沈めた。釣り方はいろいろ試してみたけど、鯛が掛かってくれない。僕が「合わせ」られなかった「アタリ」の中には、鯛がいたのだろうか? 不意にウッシーが声を掛けてきた。 「今村さん、鯛釣り本当に楽しいですね。誘ってくれてありがとう

        小説を書き終えて

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑬)

          ここのポイントも魚影が濃い。ウッシーは初めて鯛を釣り上げてから間を置かずに2匹目の鯛を釣り上げた。僕も、「合わせ」の空振りもあったが、フグとカサゴを数匹ずつ釣り上げている。魚がヒットすれば、「引き」の重さでカサゴかフグかが判るくらいに釣り上げている。 「ウッシー、どうやったら鯛が釣れるの?」 今度は僕からウッシーに尋ねた。 「実は僕もよく分からないんですよ。船長や今村さんに教えてもらった通りにやってます。」 ウッシーが意地悪で言ってるのではないことは分かる。鯛釣りは今回が初め

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑬)

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑫)

          おおさと丸が次のポイントに向けて動き出す。船が動く時のエンジンの振動はやっぱり苦手だ。でも、船が海を疾走する風は好きだ。今日は曇りで気温が低いから、ちょっと寒いのが残念だけど。僕は襟元を合わせた。 「今村さん、鯛ってどうやって釣るんですか?」 ウッシーが唐突に聞いてきた。 「どう釣れば良いんだろう?僕が聞きたいくらいだよ。これからポイント移動しちゃうからあまり役に立たないかもしれないけど、釣れた人に直接聞いてみるのが良いと思うよ。」 僕は右舷前方の釣り人風の人に目を遣りながら

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑫)

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑪)

          僕はエビの付いた仕掛けを海に投げ込んだ。また底から丁寧にシャクって魚に誘いをかける。 隣ではウッシーが同じ様に底からシャクリをして誘っている。 ウッシーの竿に大きく反応があった。 「うわっ、アタッた!」 思わず声が漏れたようだ。それだけ大きいという事だろうか。ウッシーの釣竿が左右に大きく動く。 「大物かー?ウッシー、頑張れ!!」 僕の竿にも反応があったので「合わせ」る。大きく後ろに引いた竿に重さはない。僕の方は空振りだった。僕はリールを巻きながら顔をウッシーの方へ向ける。ウッ

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑪)

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑩)

          「次は鯛を釣るぞ!」 僕は仕掛けに餌を付けて、海へ投げ込んだ。底をとって、リールを二巻き、誘いをかける。また直ぐに「アタリ」があった。僕はまたも大きく「合わせ」て、魚を針掛かりさせた。 「ヒット〜!」 僕は調子に乗って声を上げた。リールを素早く巻き上げる。今回も魚の引きは強い。 「今村さん、すごいですね!無双状態ですね!」 僕はウンと頷きながら、左右に動く魚の引きを楽しんだ。リールを巻き上げていると、急に重さが消える。 「しまった!バラした〜。」 僕は大袈裟に肩を落として残り

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑩)

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑨)

          僕は、カサゴを外したテンヤ仕掛けに、餌のエビを付けながらウッシーに話しかけた。 「みんな調子が良いね!ここのポイントは魚影が濃いみたいだ。」 「そうですね、僕ももっともっと釣りたいです!」 ウッシーの釣竿をシャクる動きが大きくなる。 僕だって、もっと釣りたい!僕は仕掛けを海に沈めて、底まで落とした。リールを少し巻き上げながら、竿をシャクって魚に餌をアピールする。すると、また竿に「アタリ」の反応がピクピクと伝わった。僕は素早く「合わせ」を行った。釣竿にガツンと重さが伝わった。ヒ

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑨)

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑧)

          「水深は16メートルです。釣りを始めてください。」 船長のアナウンスが入る。僕は気持ちが逸り、フライング気味に仕掛けを海に投入した。仕掛けが底に着き、リールを二巻きしてから誘いをかける。すると直ぐに「アタリ」があった。僕はすぐに竿を強く引いて「合わせ」をする。手応えなしだ。 「『アタリ』ですか?」 ウッシーが僕のアクションを見て聞いてきた。 「うん、でも空振りだ。」 僕は仕掛けを巻き上げる。餌のエビの頭と胴体が食われて無くなっていた。「合わせ」が早すぎたのかな。もう少しゆっく

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑧)

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑦)

          エンジンが始動して、船尾の振動が強くなる。船はゆっくりと動き出した。僕はお茶を飲みながら波しぶき混じりの潮風を感じていた。やっぱりまだ少し寒いなあ。 そういえば、一旦雨は止んだみたいだ。 「雨、止んだみたいだね。あとは太陽が恋しいな、結構寒いよね。」 「はい、自分もちょっと上着着ようと思います。」 ウッシーが少しよろけながら立ち上がる。 「そうか、荷物キャビンに置いてあるんだった。僕も長袖着ようっと。ウッシー、ナイスだよ。」 すっかり上着の存在を忘れていた。海上に限らず、釣り

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑦)

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑥)

          いつの間にか、船が大きく揺れるようになっていた。停船している船の向きが変わり、横から波を受けるようになっていた。視界が大きく上下する。ちょっと気持ち悪さを覚えたので、視線をひたすら水平線の方へ向けるようにした。ウッシーがリールを巻き上げ、餌の無くなったテンヤ仕掛けに手を伸ばしていた。 「餌取られているみたいだね、『アタリ』は感じた?」 「そうですね、ピクピクと『アタリ』らしきものはありました。でも確信が持てなくて『合わせ』を入れられませんでした。」 ウッシーが餌のエビの尾っぽ

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑥)

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑤)

          船が停船した。スピーカーを通して船長のアナウンスが入る。 「始めてください。水深は15メートルです。底から50センチくらいのところで誘ってください。」 よし、戦闘開始だ!レクチャーを受けた通りに餌をつけて、仕掛けを海に投入する。竿先から餌をつけたテンヤ仕掛けの重さが伝わってきた。結構重いな。リールからスルスルと糸が出て行く。直ぐにリールが止まり、海底に着いたことがわかる。ここから50センチか、リール二巻くらいかな。糸ふけ(釣り糸のタルミ)をとって、糸がピンと張った状態からリー

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り⑤)

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り④)

          上下に揺れていた景色が、左から右に少しずつ流れ始める。船が動き始めたようだ。船のエンジン音に紛れてウッシーの声が聞こえた。 「波は全然ないですね!これなら船酔いしなさそうです。」 ウッシーの声が楽しそうに弾んでいる。 「まだ港内を出てないからだよ。港を出ると防波堤がなくなるから、結構揺れるはずだ。」 時間は5時近くにになっていた。雲が厚い所為で若干暗いが、辺りは夜が明け朝の明るさとなっている。海水は少し濁っているようだ。最近雨が多かった所為だろうか。船の周りを見ると、同じよう

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り④)

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り③)

          おおさと丸の船内を見回すと、僕らの他に常連客風の中年男性が一人、両親と小学校高学年くらいの女の子の親子連れ三人、若い男性三人のグループが乗り合うようだった。僕ら二人を入れて乗客は九人である。グループで言えば4グループになる。船上の釣り座を左右前後で四分割すると、左舷(進行方向左側)前方が親子連れ、左舷後方が男性三人、右舷(進行方向右側)前方が常連客風の男性、右舷後方が僕とウッシーとなる。ちなみに、右舷後方は釣り人に人気の釣り座だ。よく釣れるらしい。揺れや振動も大きいので船酔い

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り③)

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り②)

          間も無くハイエースがやってきて、僕らの車の近くに停車した。早朝で辺りは車通りが無いため、間違いなくおおさと丸関係者だろう。運転席から肉付きの良い男性が降りて僕らの車に近づいてきた。僕は車のウインドウを下げた。 「おはようございます。おおさと丸の鯛釣りの方ですか?」 近づいて話しかけてきた男性は、日焼けした丸顔とうっすら生えた顎髭が船乗りっぽい精悍さを示していた。 「おはようございます。そうです。」 僕は運転席から少し顔を出すようにして応えた。 「そうですか、船長の木村です。じ

          Life is Fishing (第五章 鯛釣り②)