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白木俊佑超走り幅跳び〜42.195km助走〜

大学の友達が挑んだこの企画。
42キロ以上の助走をすれば、走り幅跳びの世界記録を越せるんじゃないか?というもの。

先に言っておくと、信号で止まるし、こうして休憩ポイントでも止まるし、とにかく助走なんてロクにできるわけがない。

それでも私の

「助走って速度じゃなくて距離だから!」

という謎の発言により、半ば強引に実行された。

こんな阿呆な企画に対して「やるからには本気でやる」というまっすぐなご本人。こいつも阿呆であった。

練習では約2ヶ月で累計100kmを走破。

そしてその練習に心を打たれた?彼の友達が続々と応援に駆けつけてきた。

投げかけられるのは、

「いけると思います!」

「世界記録出してください」

という言葉の数々。

あれ?みんな阿呆だ。

世界記録なんか出るわけない。だとしたら何のために彼はフルマラソン以上の距離を走るのか?

はっきり言おう。

意味はない。

そんでもって、その無意味なことを応援する行為は

まして意味がない。

生産性のカケラもない。

みんながみんな阿呆なのだ。

そして、迎えた当日だ。

本当に現場に応援に来ちゃう彼のお友達。
完全に阿呆の塊だ。

そして、俺の友達も沢山協力してくれた。
かたや丸一日運転で並走。
かたや半分以上の距離を一緒に自転車で並走してくれた。

自転車の並走に関しては、このマラソン以外にも、家までの往復(約40km)が加算されている。
ゆうに総距離100kmは超えている。

もう一度言おう。

これ何のためにやったんだ?

完全に意味はない。

そんなことにガチで挑む本人。そしてそこに半端ない支援をしてくれる仲間たち。
なんだこれ。

みんな阿呆すぎる。

言っとくけど、応援してからといってみんななんの見返りもないからね?

多分みんな阿呆だから、そのことに気づいていないのだろう。

「メリット」「デメリット」という概念すら知らないのではないか?
きっと、「メリット」=「シャンプー&リンスー」としか思っていないくらいの阿呆な連中であるに違いない。

でもでも、そんな阿呆な連中が奇跡を起こす。

スタート地点。こちらのツイキャスの録画を見てもわかるようにまだまだ元気だ。
http://cas.st/122e2eb7

序盤は阿呆すぎる地元の友達の声援を受けて、快調に進んだ。

がしかし、15km地点のこと。

一気に表情が変わった。

さらに続く19.9km地点では、身体が動かなくなっていた。
車の中で一時間休憩せざるを得ない状態に。

この時、私はまじかで見ていたのだが、初めて見る顔をしていた。

実は、スタートが12時だったため、そしてとてつもない快晴、さらには田舎というビルの影も何もない炎天下であったため、暑さに体力が奪われていた。

恐らく、きっと彼の限界はここであった。

それでも。
スタートで応援してくれたみんなの想い、Twitterに寄せられる応援コメント、並走してくれるスタッフ、仲間への感謝、さらにはこのずっと先にある名古屋駅で待つ大学の友達への希望。

そういったもの全てが彼の心と身体をなんとか突き動かした。

なんとか、約半分の21.7km地点に到着。

限界を超えたのか晴れやかな表情をしていた。
限界を超えた彼を突き動かすのは、きっと体力ではなく気力であったはず。そこには絶対にみんなの想いが。

しかし、25kmを超えたあたり。
再び辛そうな表情に。

彼を気持ち悪さが襲う。

二度目の限界がきた瞬間であった。

だましだまし前に進み、なんとか30km目前。
もう、日は暮れていた。

ここで、彼に私はこんなことを告げた。

「あと4.4kmでいよいよ名古屋駅。そこで、ここまで苦楽を共にずっと並走してきた会長(スタッフ)とはお別れです。その代わり、名駅からは、大学のみんながまってます。」

私のこの言葉の登場人物はみんな阿呆である。
走ってきた本人、並走してきた会長、そして何時間も名駅で待ってる大学の仲間。

さらに、スタートやネットで応援してくれてる人々、長時間運転して付き合ってくれてるスタッフ。

全員正真正銘の阿呆だ。

でも、その、阿呆たちの行動や言葉が、彼を突き動かした。

「とりあえず、名駅までなんとか行く。みんなに会いたい」

阿呆のみんなが阿呆の本人を突き動かした奇跡の瞬間だった。


そして、奇跡の名駅到着。
スタートから34.2km。
8時間。

大学のみんなの顔を見た途端、泣き崩れた。
その本人の表情を見て、この場所でずっと待っていた仲間たちも胸にくるものがあった。

阿呆が阿呆を突き動かして、阿呆を感動させてそれを見た阿呆がまた感動してる。

なにこれ。超素敵だよ。

意味や正しいことばかりを求めて、行動する正論バカにはわからないであろうこの感情。

この感情を生み出せただけでも大成功だし、ましてや、この感情を沢山の人と共有できた時点で、もうこの企画は成立していた。

なんだか、うまく言葉にできないけれど、結果として一つの意味と意義が生まれた気がした。


本人は、ここでリタイアを選択。
体力的な面よりも、きっと精神的な面が満たされたのだろう。

ここからはクルマでゴールの直前までエスケープ。

ゴールの直前からゴールまで800m助走して、35kmでリタイアということにしようという魂胆。

ていうか、今思い出したけど、、、


これってマラソンじゃなくて助走やった!

というわけで彼は35km助走したのち、いよいよテイクオフ。

35kmも助走したんだから世界記録でんじゃね?

みんな阿呆になってるから、もうそういう思いで彼のゴールを待ちます。

だって奇跡は起きたし、感動したんだもん。

これくらい阿呆になってもいいでしょ?

まぁ、実質は

助走800mですけどね?

ゴールの模様はこちらのツイキャスの録画にて。

http://cas.st/12302382

結果

助走:35km(実質800m)

時間:9時間半

走り幅跳び記録:1m60cm


結論

やっぱ、これ、なんの意味あってん?

それでも、一人の阿呆が沢山の阿呆を巻き込み、その阿呆の想いが阿呆を突き動かし、さらにその阿呆が振り絞って動いた先には感動があるという、とっても素敵なドラマを真近で見えたのは、本当に最高でした。

まぁ、

完走も世界記録も出来なかったのは事実ですが!

でも、このマラソンに直接関わった人(阿呆)たちは、絶対に、この結果を非難しないと思う。
彼の本気を見たから。彼の限界を超える力を見たから。彼のことが好きだから。

そしてやっぱり、

みんなが阿呆だから。

完走できてないことにも気づいてないんじゃないか?ってレベル。
阿呆だからにつきます。

阿呆最高!阿呆万歳!


ツイキャスの最後。
みんなからのコメント、そして、本人のコメント。そこには涙を流す姿も。

BGMには彼の大好きな玉置浩二の田園のピアノver.を。

超最高の光景である。

しかし、その現場に居合わせた友達が俺に向かって一言。

「近所にマンションあるから音小さくして!」


....それ今いう??こんな感動的なシーンで?


しかも、小声で俺に注意してるつもりかもしれんけど、俺の持ってるスマホでツイキャス配信してるから、ツイキャスにはあなたの注意が大音量で入っちゃってますよ??

さらにさらに、あくまでBGMだし、小型のスピーカーだから、いうても喋り声より小さいですよ?

でたでた!

「外で音楽が流れる=周りに迷惑」

という単細胞正論バカタコ野郎!!!


なにしてくれてんねん!!


この最高な阿呆の集いに紛れ込むんじゃねーよ!!


....この文章を読んでいただいた方にはもうお分かりかと思いますが、阿呆の方がいいんです。最後に笑うの阿呆なんです。
正論ばっかり突き詰めてもそこにはなんの感動も笑いも生まれないんです。

周りの評価だとか、世間の目だとか、誰かに決められた結果とか。
そんなものを追い求めてばっかりじゃなにも生まれない。本当に大切なものはその外にあるんです。一見「無意味なこと」こそ、一生懸命やれば大きな大きな想いが生まれるのです。

常日頃から思っていたそのことがこんなに具体的な形で証明できて私は幸せでした。

白木くん、お疲れ様。
阿呆のみんな、最高でした。

※たとえ正論バカだとしても、阿呆に紛れこめばそれでいいのかもしれません。結果、阿呆になってるし、別角度から物事を見れるというスタンスは素晴らしいと思います。でも、俺はやっぱり正真正銘の阿呆が大好きなのです。最後になりますが、この企画に関わってくれた皆さん。この文章で所々口の悪い書き方をしてしまってすみませんでした。それと、本当に本当にありがとうございました。

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