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何度でも読みたいnoteの引き出し

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何度でも読みたいなぁ・・・と思ったnote、トラックバックのように大々的に紹介はしないけれど、誰かにもおすすめしたいなぁ・・・と思ったnoteを、そっとしまう場所です。ときどき、…
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2021年9月の記事一覧

わたしを闇から救いあげてくれたのは、スーパーエクセレント最上級の「恩師」だった

人生を救ってくれた先生がいる。 「人生を救ってくれたなんて大袈裟な・・・」と思うかもしれない。でも事実なのだ。 タラレバを承知で書くと、その先生と出逢っていなければ、今のわたしは間違いなくいない。 ♢ 家庭環境に恵まれなかった。子ども時代は黒歴史だ。 父は日雇い職人。仕事へのプライドは高く腕のいい職人だったが、家では最悪の父親だった。 ギャンブル狂で大酒呑み。おまけにひどい酒乱だった。給料のほとんどをギャンブルに擦ることもたびたびあり、家にはお金がなくていつも困っ

博士の薬の隠し味(1分マガジン)

白いあごひげを揺らしながら、博士は言った。 「本当によかった…本当に…」 博士は泣いていた。 喜びの涙を流しながらそれはそれは盛大に。 実はつい先程、博士は弟子3号を泣かせることに成功したのだ。 3号が飲んだのは綺麗な青い液体の薬。 彼女は最近恋人に振られたのだが、明るく元気に振舞い 無理をしていた。 だから博士は、彼女にある薬を飲ませた。 悲しみさえ無視してしまうほど疲れた現代人が 「泣きたいだけ泣ける薬」を。 成功した嬉しさに大泣きする博士。 「さて、今度はワシも

ショートショート|博士の薬(for「1分マガジン」)

「よし、完成じゃ!」  白いあごひげを揺らして、博士は歓声を上げました。  右手で掲げた試験管の中で、綺麗な青い液体が、きらきら輝きます。  疲れた現代人の心を癒す薬が、やっと完成したのです。  博士は早速、弟子3号を呼びました。  彼女は最近、恋人に振られたのですが、それでも明るく、元気に振舞っています。  泣いた目で出勤することもありません。 「お呼びでしょうか」  すぐに弟子3号が、博士の研究室にやって来ました。 「おお3号、お前にぴったりの薬ができたぞ」 「私に?

ダブルコスモス 【ピリカ文庫(2021) ショートショート】

 納屋を片付けていたら、手金庫が出てきた。  金庫とは、ちと大仰かもしれない。両手で包み込めるほどの箱に、南京錠がちんまりとしている。  おそるおそる、四桁の数字をあわせてみる。  おいそれと、カチリ、とはいわないのであった。  祖母の手にかかると、あっけなく開いた。 「ばあちゃん、じいちゃん、父さん、母さん、私、誕生日は全部やったけど」  ふふふふ、と祖母は声を立てずに笑う。 「宝の地図?」 「まさか」  茶封筒の表には、祖父の字で一言。  保子さま。  中味は大量の種子