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何度でも読みたいnoteの引き出し

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何度でも読みたいなぁ・・・と思ったnote、トラックバックのように大々的に紹介はしないけれど、誰かにもおすすめしたいなぁ・・・と思ったnoteを、そっとしまう場所です。ときどき、…
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2020年8月の記事一覧

自分の殻を持ってる人が好きな話

突然だけど、あなたの殻を見せてくださいと言われたら、あなたはどうするだろうか。 殻? コノヒトハ ナニヲイッテルノダロウという困惑が目に浮かぶ。 脱皮ということですか? 親切な人なら少し連想を働かせて、そんなふうに聞いてくれるかもしれない。 もしかしたら、どこからか「これ、ですよね?」と、仕舞ってあった自分の抜け殻を引っ張り出してきて見せてくれる人だっているかもしれない。 だけど、ちょっと違うんだ。殻はあくまで殻だから脱ぎ捨てたりしない。自分の一部としてずっとある。も

君のあの悲しみ。

曲の作り方に、曲を先につくるか、詞を先につくるか、二通りあるらしいです。 僕のnoteにも、二通りあります。 先に書くことが決まっていて、 「みんなのフォトギャラリー」から画像を選ぶ「文先」。 書くことは決まっておらず、 「みんなのフォトギャラリー」から画像を選び文章を書く「絵先」。 そして、今日は「絵先」。 4歳の頃、数か月を小児病棟で過ごしました。 手術をしないと成長するにつれて大変なことになるということで、手術と術後観察で入院していたのです。 入院中は

【小学生リメイク版】全力

※今回の記事は、8/22に投稿した「全力」のリメイク版です。note公式で募集のポプラ社「#こんな学校あったらいいな」用にリメイクしました。私の記事は、事実をただ書いており創作はひとつもありません。鶴木マキさんからのコメントがきっかけで、試しにやってみました。何の経験も知識も力量も構想も時間も無いkojuro初めての、ちょっとした創作。いつもより少し長いです。気の向いた方だけ、その貴重なお時間を頂戴できたらと思います。 ✴︎      ✴︎

【エッセイ】 父と子

米国で育つうちの子どもらは、新型ウィルスが蔓延しだしてから、授業はすべてオンラインになり、たいして勉強らしいことをしないまま、夏休みを迎えた。上の子は、卒業式も何もなく高校を終えた。どうなるのかと思った大学も、新年度からの授業はあるらしく、申し込んだ寮にも入れることになった。あと半月もしないうちに、上の子は、寮に移り住む。 夏休み中に、コロナの声も少しおさまり、住んでいる地域での制限も緩和されてからは、子供らは、特に車に乗れる上の子は、家にいないことも増えてきた。外出制限が

本当に美しい人との夜に

美しくありながら自由に生きている人ほど魅惑的な人はいない。ならば私が知る本当に美しく自由で魅惑的なのは2人だけだ。 1人は「ティファニーで朝食を」でオードリーヘップバーン演じるホリーゴライトリーでもう1人はバームーンリバーのオーナーだ。 彼女は、週末の夜には開業医の旦那と自らが経営するバーに飲みにきていた。 早い時間にはワインボトルと共にディナーをゆっくりと味わいながら静かに飲んでいるが、24時を過ぎてカウンターがなじみの客だけになると彼女は女王として覚醒する。 夜が深

揺らぐ、

足の裏が灼けるように熱い。真夏の太陽に照り付けられたプールサイドは凶器だ。なるべく地面との接触面積を減らすように、跳ねるようにして歩みを進める。 鉄板のような熱を持った緑のコンクリートの上で、『白雪姫』に出てくる魔女を思い出す。熱々に灼かれた鉄の靴を履かされ、死ぬまで踊り続けたという魔女。童話の世界では、勧善懲悪を盾にして無邪気で残酷な仕打ちが行われる。 そんな空想を頭に浮かべながらプールに近づき、眩しいまでに輝く水面と、そこに浮かぶ人の群れに目を凝らす。 「おー、今日

【エッセイ】 Goodbye Baby

新型ウィルスでどうなるかとも思っていたが、高校を終えた上の子は、今月の終わりから大学生になる。週があけたら、家を出て行く。 上の子は、小さい頃は、誰にも、困らせることなんかないんでしょ、と言われるような、おだやかで思慮深い子、つまり、おとなしい子だった。親の言うこともよく聞いたし、ピアノなど何かを教えてくれる人の言うことも、内心どういう気持ちでも、きちんと聞いて、言われたとおりにできる子だった。 米国で生まれ育った上の子だが、第一言語は日本語だった。そのすなおな性格のせい

僕たちは、言葉でできている

言葉は、その人そのものだ。 思想、哲学、無意識、感受性、品性、美意識、人格、その全てが現れる。だから言葉に気を付けなければいけない。美意識は醸されるし、無意識は零れ落ちる。言葉に繊細であれ。 人と付き合うことは、その人の「言葉」と付き合うことと同じである。やさしく、つつましやかで、美しい言葉に心は潤う。気分に翳りが差したならば、その言葉から距離を置いた方が良い。貧しい言葉は、あらゆるものを奪っていく。ここで言う「貧しさ」は金銭的な意味でないことは言うまでもない。同時に、「