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シリアのいまと、街の「色」の話

友人の写真家・松本智秋の写真展「散歩とごはんのくり返し」が東京・馬喰町のART+EATで開かれています。1月26日まで、入場無料。

彼女が2018年・2004年に訪れたシリアと、2017年のクルドの写真が展示されています。

先日、お邪魔してきました。
言葉も文化も違う街の中で、飾らない自然な表情の人びとを撮れるのは、相手との間に壁を作らない彼女の人柄ならではだな~って思います。そして何よりごはんの写真……!ほんっとにおいしそう………。

シリアの写真は、2004年から風景が大きく変わってしまったと一目で分かります。アサド氏の旗が大きく垂れ下がった城壁、破壊された建物の前で古いショベルカーを操るお兄さん。人影のないシャッター通りの中、ひとり水タバコをふかして客を待つおじさん。

真っ青な空だけは、14年前もおんなじ。

彼女とおしゃべりしていて一番印象に残っているのが、街の「色」の話でした。

爆撃を受けたシリアの街を歩いていて、「人ってここまで壊せてしまうんだ」とショックを受けたそうです。
がれきの山のぼけた灰色や黒とか、あまりに色が乏しくて乏しくて、悲しくなってしまったんだって。2004年に初めて訪れたときの「派手な色の看板があったなぁ」といった記憶があったから。

そのあと市場で、葉物野菜の緑や果物の色の鮮やかさに目を奪われて、ほっとして思わず泣きそうになったと言ってました。
目にまぶしいカラフルなフルーツが並ぶジュース屋さんに駆け込んで、「これ飲みたい!」って興奮しながら注文して。(それを「よかったねぇ」って見つめるおじさんの、しみじみした表情がとってもいいので、その写真も探してみてください)

街から「色」を感じるというのは、ひとの営みがあるってことなんだなぁ、って思った。

旅のためにいろんなところから情報を集めて、ビザを取るのも一苦労だったそう。念のためにいえば、外務省の渡航情報では最も危険な「退避勧告」にあたる場所です。
どこの国でもそうだけど、安全に旅するには、事前のしっかりした準備と情報収集が欠かせないんだと改めて思います。

自分は行けないからこそ、彼女ならではの目線で切り取った写真で、いろんなことを考えたいと思います。みなさんにもぜひ見てほしい。
19日はドリアン助川さんとのトークイベント(1500円)があって、そのほかは無料です。18、19、25、26日には彼女も会場にいるそうです。

ちなみにART+EATのチャイはスパイシーでとってもおいしかった。みそチーズケーキもくせになる感じ。ぜひぜひ試してみてください。

チャイが置かれたランチョンマットは、シリアやクルドのごはん写真をプリントしたもの。1枚もらって帰ってきました。すっごく美味しそうなフムスと羊肉を選んだ。

ランチョンマットについているキャプションを読んでいるだけでも、おなかがなりそう。地球のあちこちの食卓で、さまざまな国の人たちが、いろんなご飯を食べてるんだなぁ(いや、当たり前なんだけど)。

あ~パリで食べたフムスとファラフェルを思い出す……。また食べたいなー。わたしはこれまで行ったことのない中東。いつかは現地で食べてみたい。

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