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THE MOST OF 大阪チープグルメ『金龍ラーメン』を紹介する試み #ラーメン

大阪のチープグルメといえばもちろん
粉もんというイメージがあるかと思うが
実に奥行き深いグルメが「金龍ラーメン」である。

金龍ラーメンは大阪の中でも難波エリアに局地的に展開されているラーメン店だ。チェーン、と言いたいところではあるがわずか5店舗だけなのでなかなか微妙な線である。笑い飯の漫才の中でも「健康に気を遣って朝も金龍、昼も金龍、夜はチャーシューの金龍」とボケられるぐらい、大阪の有名人(と言うかお笑い芸人さん)には馴染みのある店かと思う。


正直、あまり多くの回数食べたことはなかった。そもそも道頓堀自体今や観光客のための街みたいになっているので、飲みに行く時も買い物に行く時も外すようにしてる。そもそも、道頓堀あたりにあるご飯屋さんって観光地価格というイメージしかなかったので7年大阪に住んでてかなり敬遠してはいた。

しかし、この金龍ラーメン。
なぜか無性に食べたくなる時がある

先日ちょうど千日前のサウナ(某アムザ)に行った時、汗をかきまくった後でどうしても何かパンチの効いたしょっぱいもんが食べたくなった。館内のレストランでももちろん良かったんだが、どうせなら普段食べない場所で飯を食べたくなった。

着替えを済ませて外へ出る。アムザからアーケードの中を5分も歩けば、笑いの殿堂・なんばグランド花月がありそのちょうど真横に金龍ラーメンもある。日曜の夜だったこともあってか意外と混んでおらず、スッと店の中に入れた。


メニューは非常にシンプル。ラーメン(880円)かチャーシューメン(1100円)の2択。チャーシューをしこたま食べたかったのでチャーシューメンに課金。カウンターに食券を渡してしばし待つ。

金龍のいいところはラーメン頼んだらライスと取り放題のキムチやニラ漬けが付いてくるところだ。ラーメンが出てくる間にご飯をよそって、漬物を取っておく。ご飯無料って異次元やな。ようこの物価高の時代にご飯無料でやっていけるわとしみじみビックリする。

外人のおねーちゃんが
ちゃっちゃと作ってくれて出してくれた。

「オマチドーサマ、チャーシューメンデス」

金龍のチャーシューメン1100円。

『…あれ、金龍ってこんな美味かったっけ?』

実は昔、大学受験で初めて大阪に来た時どうしても一度食べてみたくてわざわざ道頓堀に行って食したことがある。でもその時は正直なところなんかパッとしない味で、麺が伸び気味だったりぼやけたラーメンだなぁという印象しかなかった。

ところが、その頃の印象と違って
今回は結構美味しく箸が進んだ。

もしかしたらサウナ上がりで塩分が欲しかったのかもしれない、あるいはこの店が味的に当たりだったというだけかも分からない。ただ、意外と今の私の味覚にはしっかりハマってくれた。塩気と脂が程よいバランスとなった豚骨鶏ガラに、少しちぢれた麺。まるで飲み物のようにするすると空っぽの腹のなかに入っていく。

博多の本格派なとんこつラーメンとは違い、鶏ガラがブレンドされているため臭みはそこまで強くない。マイルドな味わいだ。近しいところでいえば、九州人心の味「うまかっちゃん」にも似たような風味である。家で作るインスタントラーメン以上、意識高い系ラーメン屋未満の、至って庶民的な味だ。だが、こういうのがいい。

金龍のラーメンというのは、完成度の高いラーメンを求める人にはあまり勧められない。それとは真逆の、例えば立ち食いそばやスタンドカレー屋のような『チープな中にある美学』を楽しめる人なら金龍はいいと思う。しこたま飲んだあとのシメとかにはうってつけだし。

若かりし頃のMおじ(スーマラ武智氏)のサインがあった

ビニールの暖簾で仕切られた微妙に暑いのか涼しいのか分からない店の中で、畳敷にあぐらをかいて行儀悪くラーメンを啜ってるのはなかなか悪い気分ではない。むしろ大阪という雑多で乱暴な街に今も自分の体がちゃんと付いていけていることを自覚する。

こういうチープな味に適応して行くことを「大人になった」と言うのかな〜と言いながら、にんにくとキムチが溶けたスープを心ゆくまで飲み干した。どんなテイストであれ、やはりとんこつラーメンは心の味。頑張るための馬力が付くような気がする。

皆さんもぜひ粉もんに飽きたら金龍へ行ってみて。
まあ、中華麺も結局粉から出来てるから
広い意味では「粉もん」なんですけど。



おしまい。



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