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彼女の目をじっと覗くと 黒目の奥に好奇を感じる 好きという感情も嫌いという理性もなく 自分の好奇心を抑えきれずにいる彼女の目 その目付きで俺を見ないでほしい 値踏みされてる気がしてたまらなく不快 でもそれよりもっと不快なのは 彼女をそうやって値踏みする自分の態度 なんでいつのまに 彼女を忌み嫌ってしまったのだろう なんでいつのまに 最初の気持ちは消えてしまったのだろう って、自分勝手に自己嫌悪しちゃってさ 馬鹿みたいだね、ああ笑えてくる そこに確かに潜んでいるのは 互
どこまで行っても私たちは 川岸のように平行線で 海に辿り着くまでひとつになることはない 心をスキャンして気持ちを読み取れたら この世界に恋という字が生まれなかった 言えない気持ちを四苦八苦して 見えない未来に手を伸ばしてく もう遅いって言ったって知らない 誰にも引き留める権利はない 暗がりを彷徨う君を引き連れ ここではない何処かへ導いていきたい 何よりも強くなるために 君の側に居ることの意味を見出すために 例えば僕は桜の木で そんで君は楓の木 互い半周遅れで巡り合うよ
家の窓に萎れた花ひとつ 水のなき瓶に刺さりけり 色の無い薄汚れた花弁一つ はらはら鮮やかに枯れている 輝きを失った生活 振り子のように 馬車馬のように AとBの往復続ける毎日 ときおり人はそれを憂いて どこか遠くへ身を放り出す けれど己に繋がれたる鎖の長さを知り かえって虚しい感情を沸き立たす 瓶を洗う。 ほこり取れて輝き取り戻す。 透き通るその体に映るもの 彩りを少し忘れたひとりの大人。 僕を洗う。 汚れ取れて光取り戻す? 薄肌色のその体に宿すもの 幸福を問う疑問
「君が好きだ」という陳腐な言葉で 僕はこの旅にピリオドを打った ふたりが描いたふたつの線は この空に確かな軌道を描いてきた 褪せたシャツでも外に出れた 夏のふざけあった坂道 埃っぽいコートをびしょ濡れにした まだ誰もいない雪野原 覚えてる 覚えている 昨日のことのように思い出せる 瞳のカメラと頭のメモリーでいつでも呼び出す きょうも、あしたも、そのさきも きっとこの軌道は伸びていく 穏やかな空の下を電車は行きかう 無数のカメラとフィルムを満載にして その一つ一つに無限の
重たいコートを着ないと寒い 藍色の裾を風に揺らす 履きつぶれかけた靴と共に 妙に新しい青のリュックを背負い 探しているものはなんだろう 新しい自分かな 知らない世界かな もしくは君の面影なんだろうな バスは走る 裸の大地を 実りを終えた里を なだらかな坂を越えて 手の届くサイズの未来へ ポケットにしわくちゃの折り紙 渡せなかった過去の想い 薄くなった鉛筆の線と 遠ざかった記憶の面影 手にしたものはなんだろう 確かな知識かな 尊い生涯の友かな 永久に愛すべき人を失ったの
じわっと舌に突き刺すと 鈍い痛みでっかち頭で感じるんだ よっつ鋭く尖った僕の歯 牙ほど威力はない白い歯 いつの間にか失くした闘争心 奮い立たせてくれたのは誰? 遠くで嘲笑う声が聞こえたから 反射で脚が動いてしまったんだ 誰にも届かないぐらい遠いところへ行こうってね 思うままに走ればいいじゃない? 最初は1人で草むらかきむしるけど そのうち誰か着いてきてくれるでしょ 来なきゃ来ないでそれもいいし いつの間にか細くなった僕の脚 血の管浮き立つほど力を込めて 乱暴に大地を蹴
君から見える世界 僕から見える世界 どっちの方が綺麗とかそんなんじゃない どっちの方が鮮やかとかで比べられない それぐらい違って それぐらい面白い 君から見えるあの人と 僕から見えるあの人も どっちが大人とかは決められない どっちが魅力的とかで測れない 君が想ってる未来 僕が想ってる未来 もしかしたら違うかもしれない でも少しずつ話して擦り合わせればいい 君は君のレンズで目の前を見つめて 僕は僕のレンズで同じ景色を見つめて それ以外にはなにもいらない ややこし
「またどこかで」を言おうとして ドアが閉まってしまったんだ 別に言いたくなかったわけじゃない 勇気がなかったわけでもない 君に恐らくもう会えない未来を 心が認めたくなかったんだろうな 2人が選んだ片道切符だから それ以上は何も言わないって決めていた 肌寒い朝のホームに立つ君の手を そっと優しく握るだけにしておくんだ もっと遠くまで彼女を連れて行って いっそ遠くまで彼女を連れて行って 僕が影も形も見えなくなるぐらい遠くまで 彼女の未来よりももっと明るい方へ ねえ、君が幸せ
柔らかい床の上で横になるうちに いつの間にか眠りについていたみたい ボクとキミは不思議な世界の旅人になっていた 地面すれすれを飛んでいく飛行機 どこまでも続く緑色の地平線 不思議な歌声のウサギたち 手にしていたのは扱いきれぬ謎の楽器 出逢ってしまったんだ 最高の仲間たちに ボクらは即席の楽団 ハチャメチャなリズムと楽し気な音程で ダレにも読み取れない曲を奏でようぜ 夢が楽しけりゃ それでいい そこらじゅうのぼろ切れ集めて大きな気球を作ろう それに乗ってもっと遠くへ飛んで
晴れた空を見て泣きそうになる 君の事を思って 晴れた空を見て泣きそうになる 誰かのことを思って 晴れた空を見て泣きそうになる 今までの自分の日々を呪って 分断された金網の向こう 家の瓦が地面に叩きつけられて めちゃくちゃな世界が広がっている こことたった1メートルもないのに地獄みたい 水場のコンクリートに割れ目が入って そこから黄色いタンポポが生えていた いつか彼らも頭から綿を生やし 次の命をこの街に産み落としていく 晴れた空を見て泣きそうになる 弱虫な僕の心を笑い
ねぇ、希望くん いつも君にはとても感謝しているんだよ いつもそばにいてくれて本当にありがとう ねぇ、希望くん 君にどうしても聞きたいことがあるんだ ちょっとおかしいけど笑わないで聞いてほしいんだ 誰かを愛する気持ちはピンク色 覚悟を決めて闘う闘志は赤色 どうにもならない悲しい気持ちは青色で 何かを企む悪い心は真っ黒だよね 僕はいつも思うんだ 希望とはどんな色をしているだろうかと 目に見えなくて、顔にも現れなくて いつもしたたかで優しい顔をしていて いろんな色で僕らの心
天気のいい日には部屋の窓を開ける 外と内を一緒にまぜこぜにして 窓辺に座って考え事をしよう お湯が沸くまで考え事をしよう この間新しい服を買ったんだ 君が気に入ってくれそうな可愛い柄のシャツをね もうすぐ届くから見せてあげるよ 似合ってるってたくさん言ってほしいんだ うれしいときはふたりがいい どんなことでも君が褒めてくれるから 君がもっと僕を嬉しくさせてくれるから たのしいときもふたりがいい 何でもない日々でも楽しくなるから 毎日を君と僕で特別な日に仕立てるから か
子供の笑い声、大人の話し声 軋むレール、街頭広告、車、バス、信号 すべての音が交差していくこの場所で 私はひとり空を見上げる 雨雲の切れ間から差す光明が スポットライトのように街を照らす 差していた水色の傘を誰かが見ていた もう降り注ぐものは何も無かった 誰かのために何かできただろうか これまでの道を振り返るけど もう足跡は掠れて見えなくなっていた 濡れたアスファルトを西日が照らして 水溜りを空に戻してゆく そんな感じで私の心も 綺麗に報われたらいいのに 晴れた空に差