『かげきしょうじょ!!』五話の視聴メモ

『かげきしょうじょ!!』五話は、『シーズンゼロ』の最後を飾った山田彩子のエピソードでした。
学年主席、祖母も母親も紅華で活躍したサラブレッド、紆余曲折を経て本気で頂点を目指す事を決めた元国民的アイドル、講師陣認定の規格外存在などなどに囲まれた山田彩子が「この世界で生きる事を諦めない」と心に決め、周囲に自分の好きなものと誇りを見せる展開は素晴らしかったですね。

山田彩子には歌があった

アニメの『かげきしょうじょ!!』は、原作のエピソードを組み替えることで一つ一つの話の主題の印象を強めているのですが、山田彩子のエピソードで強化されていたのは「夢」であり「目標」だったと思います。
渡辺さらさは「オスカルになりたい」という具体的な夢を持っていますね。奈良田愛は「負けない」という宣言とともに「頂点に立つ」を出しました。
山田彩子以外の100期生達も「こうなりたい」という夢や目標があるのですが、山田彩子は「紅華への憧れ」だけしか持たず、それ以上の夢もそれ以外の思いも持ち合わせていない。だから落ちこぼれていくし、前話までで講師から「痩せろ」と言われるぐらい自己管理が疎かになってしまう。
でも作中でも描かれているように「紅華に入れた時点で非凡」なんですよ。
「この人には舞台に立つ資格がある」「舞台でスポットライトを浴びても霞まないような輝きの原石がある」と、他ならぬプロ達が思うから入る事ができるわけです。
そうした「山田彩子の輝きを一番理解してくれる人達」の思いと、彼らが信じてくれる「自分の歌声から始まる舞台」が、山田彩子の目指す目標として機能し、彼女を踏み止まらせる。
そういう「皆が持っている『夢』がないことに落ち込む少女が、自分を信じる人達のおかげで夢を見つけることができた」という話に仕立ててきたのはアニメの良かった点かと思いますね。
またアニメ化にあたって私が一番楽しみにしていた「山田彩子の歌」は、その期待に応えるものだったことは何よりうれしい点でした。
原作では星野薫が周囲に愚痴るような形で言っていた「私は知ってた」が内面の台詞に置き換えられた事で、より一層「山田彩子の武器」という要素が立っていたかと思いますが、今回の話を見てある作品を思い出しました。
それは『キラッとプリ☆チャン』の75話と76話です。

虹ノ咲だいあには友達がいた

『キラッとプリ☆チャン』は2018年4月から2021年6月まで放送されたアニメ作品で、75話と76話はそんな『プリ☆チャン』二年目の物語のターニングポイントとなったエピソードです。
このエピソードについては過去に以下の記事で書いているのですが、このエピソードのメインキャラクターだった虹ノ咲だいあが『かげきしょうじょ!!』5話の山田彩子と重なるんですよね。

山田彩子も虹ノ咲だいあも「私は皆みたいになれない」「私は皆みたいに特別じゃない」という思いから夢を諦めそうになるのですが、山田彩子は「貴方は稀代のエトワールになれる才能を持っている。だから入学することが出来た」という先生の言葉に救われ、虹ノ咲だいあは「半歩だけでもいい。残りの半歩は私が何とかする」という一番の親友の言葉で夢への一歩を踏み出す事ができました。
この違いは作品のテーマや舞台設定が異なるためですが、どちらも「自分以外の誰か」がいるからこそ踏み止まる事ができたという点では同じなので、セットで見ておくと面白いかなと思います。
音響監督もキャラクターを演じている役者も同じですしね!


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。