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異性と手を繋ぐ授業があった話 みずのーとvol.21

もう10年以上の前のことだから記憶が曖昧なんだけど

小学6年生の理科の授業で、心拍数を習ってた時だろうか。先生が心拍数を測ることができる機会を持ってきてくれた。

立候補者が黒板の前に出て、通常時の心拍数を測る。そして、少し運動してるもらって心拍数が上がるのを確認した。ここまでは何の変わりもない普通の授業だったんだけど、クラスの誰かが言った。

「先生!!手を繋いだ時のドキドキするやつみたい!!」

えー!!とクラス中は大盛り上がり。やろうやろう!とはしゃぐ奴等。今思い返せばそういう年頃。

先生もノリが良かったので「それやるとみんなの好きな人がバレちゃうけどいいの!?」とは言いながらやってくれた。

最初の測定者は美和と優斗。

まず通常時の心拍数を測って、それから二人は少し間を空けながら手を繋いだ。

ほんの少しだが上がった優斗の心拍数は、クラス中を盛り上げた。

ここまでは僕も、ふーんと思いながら面白がって見てただけだったんだ。

でも、ここからが問題だった。次に測定者として立候補したのは、密かに想いを寄せていた秋華だったんだ。

「誰か秋華と手を繋ぎたい人〜!」先生が募集をかける。でもそんな募集の仕方じゃ、手を上げたくても上げられない。

手は繋ぎたい。でもクラスのみんなに秋華と手を繋ぎたいと思っていることがバレるなんて無理だ。だから手を上げられずにいた。

その時、クラスのお調子者が手を上げて前の方へと進んでいった。

秋華と手を繋ぐお調子者。上がる心拍数に、僕は黙って見ているしかなかった。

でも一番ショックだったのが、秋華の心拍数も上がっていたということだ。子どもながら、自分の好きな人が他の人と手を繋いでドキドキしているという事実に耐えられないでいた。

別に秋華は僕のものではないし、お調子者のものでもないけど。そういうのはわかってるんだけど。

そんななんともいえない気持ちを過ごした、理科の授業だった。



このお話はフィクションでした。



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