てぃくる 130 捕まえる
捕まって もう逃げられない
捕まえたけど 何もできない
そのまま
共に朽ちるまで
そこにいる
シュロの幹にスギの枯れ葉が引っかかっていました。
シュロが捕まえたかのように見えますが、そこにトラップしたからと言って、何が出来るわけでもありません。愛情があるわけでも、憎悪があるわけでもなく。同じように色褪せながら、どちらも静かに朽ち果てていくのでしょう。
勝手に芽生えて増えるシュロを野棕櫚と言うそうで、一度大きくなってしまうと除去しにくい厄介者と化します。でもシュロを責めたところで始まりません。シュロには、どこに生えるかを自ら選ぶすべがありませんから。
実を鳥が食べ、鳥が落とした糞の中のタネが芽を出すことでシュロは増え広がっていきます。スギの木立に飛来した鳥がシュロをそこに生えさせたわけですから、鳥を呼び寄せたスギがシュロを捕まえたと言う見方もできますよね。
うーん、どっちがどっちを捕まえたの?
答えのない堂々巡りになりました。
寄り添うと側に居るとは違うよと
言いつつ新聞めくる妻笑む
(2015-02-19)