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転職を経て、仕事の軸が「キャリアの追求」から「推し世界への貢献」に変わった

2月5日、PRパーソンがあつまる「広報勉強会@イフラボ」に登壇しました。広報をはじめたばかりで右も左もわからなかったころ、たくさんお世話になった勉強会。

この勉強会に登壇するのは2度目で、前回は書籍PRの事例を紹介させていただきました。ただ、今回のオファーは「広報パーソンの転職事情」。たった1社に恋に落ちての転職で、いわゆる転職活動をしたわけではない私に、なんのお話ができるかなと考えました。

今回は、登壇の準備のために自分を振り返った中で見えた、仕事の軸(何をもとに自分の仕事を決めるのか)の変化を書き残したいと思います。

キャリアを追求してきた前職まで

結論から言えば、私の仕事の軸は「キャリアの追求」から「推し世界への貢献」に変化しました。変化のきっかけは現職であるピースオブケイクとの出会いです。

前職で私は広報の仕事をはじめ、自分のこれまで重ねてきた無形商材の法人営業経験や文章を書いてきた経験を活かしつつ新しいスキルを積めるこの仕事に夢中になりました。幸運にも裁量大きく自由に任せてくれる上に、広報の知識を身につけるためのコストもフォローしてくれる会社で、たくさん学びたくさん経験させてもらうことができました。今でも感謝しています。

一時期、採用業務やオウンドメディアの編集長業務も兼任したために、幅広い視点を身につけることもできました。

もっと経験を積んで、もっと成長して、広報のプロフェッショナルになるんだ!と、めちゃくちゃ気合いの入った日々を過ごしていたつもりです。新しい仕事をするときには、「この経験は自分をこんなふうに成長させてくれる」と考えるくせがありました。

一方、今ではこの感覚はありません。

自分のこれまで積み上げてきた経験やキャリアで、自分が愛するなにか(以降、推し世界と呼びます)に貢献すること。これが今の仕事の軸です。もちろん、結果として自分の成長につながるはずですが、意識としては大きな変化だなと思います。

私の推し世界は創作のあふれる世界

ヒトは認知革命で想像力とそれを語る力を手に入れて大きく進化した。『サピエンス全史』にはそんな言及がありますが、私はこの話が好きです。創作はひとをひとたらしめるものだと信じています。

想像力と語る力は人類繁栄のために必要だっただけでなく、たのしく豊かに生きるために、今もまさに必要とされ続けていることだと思っています。

大和和紀さんが『あさきゆめみし』を描いていなかったら、授業中に机の下でマンガを広げて読みふける夢中な時間を過ごすことはなかったでしょう。そもそも、紫式部が『源氏物語』を書いていなかったら、『あさきゆめみし』も爆誕していないし、1000年以上にわたり愛された物語が存在しない世界線になります。寂しい。

原田マハさんが『たゆたえども沈まず』を書いていなかったら、私はあの小説を読む豊かな時間を手に入れられなかったし、ゴッホの絵や印象派、浮世絵に興味を持って美術展に行くこともなかったでしょう。そもそも、ゴッホが絵を描かなかったら、絵だけでなく『たゆたえども沈まず』も生まれなかったわけで。寂しい。

世界中でいろんな創作が生まれて、それに刺激を受けたひとがさらに創作を生んで、さらにそれに触れたひとが豊かな時間を享受する。豊かな時間を過ごしたあとには、また新たな創作活動がなされる。レビューを書くことだって、ゴッホの絵をイメージしながら明るい色味の料理をすることだって創作だから。

みんな一人ひとりが大小構わず、毎日創作をたのしむ世界であってほしい。それが私の推し世界。夢じゃ食えないとか、アーティストは稼げないとか、忙しくて創作なんて……とか、嫌だな。

なぜ仕事の軸が変わったのか

仕事の軸が「推し世界への貢献」に変わったのは、ピースオブケイクの選考を受けていく過程でのこと。ピースオブケイクに入社したい理由、そこで自分に何ができるかを棚卸ししている中で起こった変化でした。

だれもが創作をする。創作をすることも、ひとの創作をたのしむことも、世の中にもっとあふれてほしい。そんな私の推し世界を、夢物語ではなく、現実につくろうとしているのがnoteでした。

自分がnoteをつうじて推し世界の実現に貢献する。それを思ったときワクワクして、自分のキャリア形成は二の次になりました。仕事とプライベートの関心領域がぴったりと重なったから、こんな気持ちが生まれたのかもしれません。

好きなことを仕事にする、という話とは少し違います。好きなことを仕事にしたいと思っていたころが私にもあって、そのときたどり着いたのは前々職の出版社でした。

本が好きだから出版社で働く。自分のどんなスキルが活かせるのかも、本をどうしたいのかも言語化できていなかった。単純に好きなものに囲まれて働くしあわせを求めていたのかもしれません。

推し世界への貢献に、働いている間の自分の心地よさはあまり関係がありません。自分が世界に奉仕した結果を求めているから。

ピースオブケイクCEOの加藤さんは創業のきっかけを話すとき、インターネット上にクリエイティブのエコシステムをつくる「必要があった」という言い方をします。やりたかったのではなく、やる必要があった。

また、CXOの深津さんは「インターネットが1mmでもよくなるように発信をする」「インターネットに奉仕する」と言います。

ふたりの言葉からは、自己実現よりも貢献・奉仕の想いを感じます。

仕事の軸の変化は「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」というピースオブケイクのミッションへの共鳴だけでなく、まわりの方々の言葉にも多分に影響を受けてのことでしょう。

自分が世界に対してできることを考える

推し世界への貢献が仕事のエネルギーになることは、とても健全だと思います。目的がはっきりしているから。ゴリゴリ働いて、ふと「なんでこんなに頑張っているんだ」なんて虚無の顔をすることもないです。けれど、どんな場所でも貢献軸で働けるわけではないのは確か。

自分にできることと、そのスキルでなにに貢献したいのかを、自分と向き合ってちゃんと考えてみる。私の場合は、これまで完全にわけて考えていた仕事とプライベートのできること、得意なこと、好きなことを、一緒くたに机に並べてみることからはじめました。

大好きな会社だったからこそ、ただの憧れではない、ただの好きを仕事にではない、根拠が必要でした。自分の仕事で推し世界に貢献できることはなんなのか、それは本当にピースオブケイクで実現できることなのか、真剣に考えました。

さて、そうして転職してからもうすぐ3ヶ月。実際に推し世界に貢献できているのかどうかは、また別の記事で。


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