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トンニャン#28 夜の女王 ブラックエンジェル

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「ブラックエンジェルの巻」のような意。話の位置は前回の「チェリーの巻」の続きです。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「昔、聞いた気がするんだけど、好きな人がいるって言ってなかったっけ?」
ブラックエンジェルは少し微笑んだ。
「覚えてたのかい?なんだか恥ずかしいよ。
まだ天上界でエンジェルスだった頃の話さ。」

「彼とは親しかったの?」
「まさか!相手は上級天使だよ。ただ、憧れていただけだよ。」
「上級天使・・・。話した事もないの?」
「話したことなんて・・・。」
ブラックエンジェルが、また頭を抱えて苦しみだした。
「どうしたの!大丈夫?」

コーラはどうしていいかわからず、ただその黒髪を撫でた。
すると、ブラックエンジェルの苦しみが、ふと遠のいていった。
「コーラ、そのまま髪をすいておくれ。痛みが遠のいたよ。なんだか、とても心地いいよ。」
コーラは言われたとおりに指で優しく髪をすいた。

「どうしてだろうね。あの人の事も、思い出そうとすると頭痛がする。
話した事があったのか、なかったのか、ちっとも思い出せない。
やはり、エンジェルスの記憶は、失われてしまったのかもしれないね。」
「どうして天使長を誘惑しようとしたのか、それも思い出せないの?」

「それは・・・たぶん、あの人に近づきたかったんだよ。
少しでも天使の位が上がれば、彼と話せると思ったんじゃないか。」
「でも、好きな人がいるのに、その人じゃなくて、別の人を誘惑するなんて。」
「別の人じゃないさ・・・。」

ブラックエンジェルは、今度は胸を押さえて苦しみだした。コーラは急いでその胸をさすった。
「あぁ、コーラ。あんたがふれると楽になるね。」

「今、誘惑したのは別の人じゃないって言ったよね。」
「そんな事言ったかい?」
「えぇ、確かに聞いたわ。という事は、誘惑した相手は、その好きだった人なの?」

次にブラックエンジェルに痙攣がきた。コーラは身体全体を使って彼女を抱きしめた。
「ありがとう。どうしちまったんだろう。こんな事初めてだよ。でも、コーラは天使かフェアリーのようだね。それ、ヒーリングだろう?」
「なんだろう。私も初めてだから、よくわからないわ。」

「コーラ。」
「・・・リオール。」
コーラが呼ばれて、振り返ると月明かりにリオールが立っていた。
「目覚めたらいなかったから、心配したよ。」
「ごめんなさい。」
ブラックエンジェルは身体を起こした。

「おやおや、王子様のお迎えかい?仲がいいね。安心したよ。」
それから立ち上がると、全身真っ黒な肌に吸い付くようなボディスーツを着たブラックエンジェルは、月に照らされて青白く光った。
「リオール、私のかわいいコーラを大事にしてくれているようだね。」

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン#28 夜の女王 ブラックエンジェル

※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。

トンニャン#29へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n59e62d353021

トンニャン#27ブラックエンジェルはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n361a31e192f2

最初からトンニャン#1は
https://note.com/mizukiasuka/n/n2fc47081fc46

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