あの窓からみえたもの(短編)(4005文字)
二月の深夜は、新宿のターミナルでバスを待つには十分堪える寒さだった。北風が吹き、思わず肩をすくめてダウンコートのファーに顔を埋める。早く来すぎてしまった自分が悪いが、家でじっとしているのも落ち着かなかった。刺すような寒さであっても、外の空気に触れている方が気持ちは楽に感じる。真冬の平日に、京都へと向かうバスを待つ人は殆どおらず、停留所には、自分を含めて六人しか人はいなかった。十五分ほど経ってターミナルに到着した夜行バスは、運転手の交代などの引き継ぎを行い、それから更に十五分