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キャリア的視点204 -プロティアンな働き方:ジョブ型雇用-


毎日ブログ 204日目(2020/9/19)

ジョブ型雇用

今日は最近よく聞くジョブ型雇用制度に関して、考えてみたいと思います。

アフターコロナの働き方として注目を浴びている【ジョブ型雇用】ですが、果たしてそれって今までとどう違うのでしょうか?

まずはいつも通り、ネットでの解説から。

ジョブ型とは、そのポストに必要な能力を記載した「職務定義書」(ジョブディスクリプション)を示して、労働時間ではなく成果で評価を行うもの。

後述する【メンバーシップ型雇用】と異なり、仕事の成果に対しての評価になります。アメリカやヨーロッパ各国では浸透している制度なのです。

とある仕事に対して、その専門家を雇用し、集中して業務にあたる為、精度の高い仕事が可能になります。
言うなればプロ野球選手やプロサッカー選手の様な「チームを勝利に導く為に集められた精鋭集団」であって、仕事の成否が直接評価に繋がるのです。仕事の成果に対する給与なので、短時間で終わっても、時間外に突入しても給与額が変わる事は基本的にありません。

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たまに聞くことですが、勘違いしてはいけないのが、
「ジョブ型雇用にすれば解雇し易くなる」
と思っている企業さん。勘違いですよ。

既にジョブ型雇用が浸透しているアメリカの労働法のEmployment at will雇用(随意雇用)では、

期間の定めのない雇用契約は雇用者・被用者のどちらからでも・いつでも・いかなる理由でも・理由がなくても自由に解約できるという原則のことである。

として解雇しやすい法的環境がある様ですが、それはアメリカの話です。日本の労働基準法が改正されている訳ではありませんので、「解雇し易くなる」は誤認です。ご注意下さいね^^;


メンバーシップ型雇用

ジョブ型雇用に対し、これまでの日本企業で汎用化されていた精度を【メンバーシップ型雇用】と言います。こちらはこれまで日本の多くの企業で行われていた為に理解もしやすいのではないでしょうか?

例えば「経理」という仕事に対して、新入社員からベテランまでが集まって、OJTなどの先輩研修なども含めて業務を行う制度です。
給与は働いている時間に対して支払われます。時間外労働に対しても、その増額も含めて支払われます。仕事に対する成果はの賞与などに反映されることが多い様です。

仕事を客観的にみて「出来る」からその部署に配属されるのではなく、適正的にとか、人手が足りないからなどの理由で配属されるケースもあります。
そこで本人の「やりたい」「できる」が発揮できれば良いのですが、必ずそうとも限らないのがメンバーシップ型の問題点と言えるでしょう。

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ジョブ型雇用の最大のメリット

言うまでもなく、自分がプロとしてやっていける仕事を選べる所にあるのではないでしょうか。
自分の将来を見つめ、必要なスキルなどを見極め、ジョブを達成する毎に必要な企業を渡り歩く。

これまでの日本では転職は「一つの会社で仕事を続けられない不適合者」の烙印を押されることが多かったのですが、ジョブ型雇用の場合はそうではありません。自らのスキルアップ、キャリアアップのために「会社を選ぶ」のです。企業側も「この仕事が完了するまでの仲間」というスタンスのために成り立つ制度です。
つまり転職が基本スタンスになる場合も多く、法律も含めて社会風土そのものが変革する方が、ジョブ型雇用への移行は容易になるともいえるのではないでしょうか。

自分自身でキャリア開発を行いながら、自分に必要なキャリアを築いていくことが容易な制度です。メンバーシップ型の様に「やりたくもない仕事」に終始する必要もありません。
キャリアは組織に預けるのではなく、自身で管理するものです。キャリアオーナーシップと言います。

それは人生100年時代を生きるためのプロティアン・キャリアで謳われている事です。ジョブ型雇用に適応できる方は、プロティアンな生き方ができるのではないでしょうか。

ジョブ型雇用への移行には時間が必要

ウィズコロナ、アフターコロナでテレワークが爆発的に増え、ジョブ型雇用制度も急激に注目を浴びています。
しかし私には、それは単純に直接的なマネジメントが出来なくなった事の悪影響に見えて仕方がありません。努力している姿とか忘れて、「成果」に絞って評価できる、と思っているのではないでしょうか? 表面上はその通りなのかも知れませんが、その考えでは大切な従業員一人ひとりに寄り添った評価にならず、非常に危険な賭けにも思えます。
それには従業員自体が自律してキャリアを形成できる精神的土壌が必要だと思うのです。
時代の変化に合わせて…と言えば聞こえは良いのですが…

例えば日立製作所はコロナとは無関係に、国際的な競争力の増強の為にジョブ型雇用への移行を行なっていると聞きます。既に従業員の半数が在宅勤務となり、これからも順次切り替えていくとの話です。

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メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への移行は、ある程度の時間をかける必要があります。特に日本の場合、日本型雇用制度の悪癖でキャリアを会社に任せてしまってある人が多い為、まず「キャリアの自律=キャリアオーナーシップ」を一人ひとりが確立する必要があります。

私個人はジョブ型雇用はプロティアン人材へのステップとしてお勧めなのですが、その意向には注意が必要なのだと考えています。


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