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衝突に慣れておくことも大事だと思う:『CONFLICTED(コンフリクテッド) 衝突を成果に変える方法』

今のビジネス書の潮流を見ると、心理的安全性ブーム到来中と言えそうです。職場に心理的安全性でそれがいかなる利益をもたらすかという点については全く異論はありませんし、どちらかというとあたり前、大人なんだったら自分の機嫌は自分で取ろうよと思います。
ギスギスとした職場ほど疲弊するものはありません。

が、振り返ってみると、その空気の良さを維持したいが故、「感じよく・仲良く」を優先させ、必要な衝突を諦めているということもありそうです。
いわゆる空気を読むということをしてしまう、忖度してしまう。はたまた面倒だから言わしておこう…みたいな気持ちになってしまうなどなど。
その迷いが、誤った決断に繋がり大事な岐路で間違えた方に繋がったのでは…といった事例に最近いくつかぶつかっています。

この『コンフリクテッド』は衝突や対立の必要性を論じ、その衝突が建設的なものになるための方法を教えている本です。
冒頭が京都のぶぶ漬けの話から始まります。「京都に行ってぶぶ漬けを食べてってとすすめられたら裏にはこういう理由があるんだよ」と教えてくれるところから、いかにコンテクストを読む事が大事かということに話が繋がっていきます。文化や土台が違う人々が交流するためには、対話が必要で、衝突が起こるのは当たり前、それを乗り越えていかなくてはならない…という話になるのです。
今、世の中は多様性を求めるタイミングに突入しています。こうなると対話による理解の必要性が増すわけですよね。
ただ、こうやって対話をすべきときに、適切な議論や理解の方法を知っていないとやってみたところで成果は出ません。場面によっては怒りの表現の方法を知っておく必要もあります。こうし組織は成長を止めてしまいます。この本ではその教育や練習の必要性がエビデンスを元に強く語られていきます。

本の最後に議論の方法がまとまっているので、まずそこだけをめくってもらっても参考になるかと思います。中で面白いなと思ったのが「議論に負ける練習をする」という項目でした。なるほど、たしかに。
議論に勝つ事を優先するために、変な理屈を持ち出したり、論破することばかりに走ったりというのでは意味がありません。議論に負けることは、その時のメンタル状態を強くすることも含めて必要なのだと納得。

いや、これ、マネジメント層は絶対読んでおいた方が良いし、コンフリクトのありかたということ自体も、もっと注目されてもいいテーマだと思います。類書を探してみましたが
20年には『コンフリクト・マネジメントの教科書』ってのも出てますね。


あと、著者のイアン・レズリーは今年『How to Disagree: Lessons on Productive Conflict at Work and Home』という新刊も出していて分断社会を生きるための本として注目されているようなので今後も楽しみです。


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