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舞台装置のすべてにドキドキできる『檜垣澤家の炎上』

エビデンスが難しそうなNo1が惹句だのオビだのに並んでいるので、大丈夫?不当表示って言われない?ってちょっと心配しながら手に取りました。
永嶋恵美ってことはミステリなんだろうし、ミステリと書いてはあるけれど、まず目に飛び込んでくるのはある富豪の一族の家に住むことになった妾の子の姿です。
これが主人公のかな子ちゃん。
富豪の妾の子なんていったら、悪役令嬢ものシリーズでもしょっちゅう出てきそうな設定だけど、この主人公がふるっていて、弱くない。弱くないどころか類い希なる好奇心と向上心と野心を兼ね備えているんです。
(なので、当初はあんまりかわいいとかかわいそうとかって気持ちにならない)

この富豪の家もこれまた強烈な女系家族で、辣腕の刀自のもと富と権力を集中させていきます。男性陣のインパクトが薄い薄い。
しかしこの薄さが後半戦に効いてきた気がします。
割と早めに人の死が訪れるのだけれど、その謎解きをしていくという内容でもないので、ミステリ色は薄めです。どちらかというと、松本清張とかを好きな人(あと、シスターフッドものを好きな人)にオススメしたいかな。

厚さで腰が引ける人が多そうだけど、コスパ考えても夏休みのお供には最高の1冊でした。
タイトルに「炎上」とあるだけあって、至る所に「炎上」に行きそうなシーンが出てきます。これで燃えるのか!? あ、無事だった。
という行ったり来たりを繰り返します。どんなラストを迎えるのか、ぜひその目でお楽しみください!

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