見出し画像

テニス部入部のホントの理由は?

本当は美術部に入りたかったんだよな。写生会では賞をもらったりして、取り柄のない自分だけど絵だけは人よりちょっぴりうまいんだという自負もあったんだ。(そりゃあれだけ描いてりゃな、という気もする)

だけどテニス部に入ったのは、正直スクールカーストを意識してのことだ。
我が校は市内でも悪名高い不良中学。荒っぽい環境で安全かつ快適に生きていくにはそれなりの身分が必要だ、存在を軽んじられてはまずい、と当時の自分は考えた。
この中学は、テニス部は上位層にいるぞ、美術部は恐らく最下層だ、これは危険だ。
と、部活見学で先輩の雰囲気を見て悟った。
予想通り、部活とカーストはある程度リンクしており、カースト上位は我が校の場合、バスケ部、バレー部、そしてテニス部だった。
見た目も華やかで気が強い性格の子が多くクラスでも影響力がある。
一方美術部は総じて地味で風変わり、コミュ力も低い事からいじめに遭いがちだった。
前者は溌剌としており、後者はどこかおろおろしているように思えた。(※うちの中学の場合です)
それでも挨拶を怠ると呼び出しするやんちゃな先輩の取り扱いや、バスケ部、バレー部との覇権争いなどテニス部ゆえの骨の折れる事もあったが、まあ明るい中学生活を送れたのはなんとなくテニス部のブランド力がある程度身を助けてくれていた気がする。
しかし肝心のテニスはというと、他中との試合はいつもいつも負けていた。
だいたいヤンキーテニス部だったし、私自身テニスじゃなくて「カースト上位のテニス部な自分が重要」だったからいいのだけれど、と涼しい顔を作っていた。

これ、書く仕事をしたいと言いながらうだつが上がらないながらも安定の会社員の身分を捨てない今の自分になんだか繋がるものがある。

美術部に入り、なりふり構わず大好きな絵をつきつめていたら私の人生どうだったんだろう。

何故か一人称が「ボク」だったり、不思議な喋り方だったり、異様に暗かったり、思春期なのに身嗜みがアレだったり…なクセ強めな美術部員に未熟な私が馴染めたかというと微妙だが、少なくとも自分軸で生きている彼女らは、わたしなんかよりよっぽど強くてかっこよかったんだよな。クセ強めだと思っていた同級生が、自分を貫いていて恰好良かったんだな、周りばっかり気にしてた自分、小さかったなってようやくわかったのは結構大人になってからの事でした。

編集:彩音

ジャンルも切り口もなんでもアリ、10名以上のライターが平日(ほぼ)毎日更新しているマガジンはこちら。



この記事が参加している募集

部活の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?