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ため息俳句 カーテンの役割

梅雨晴れがつづいて、連日の各地の猛暑が夕刻のニュースのヘッドラインとなっている。
自分住む街は、この国の屈指の酷暑の街で、この頃は旅先でどちらからと尋ねられてK市からですと答えると、大抵の人は「ああ、あそこですか」とにんまり笑う。
実際はK市がと云うより、北関東の中央部の利根川、渡良瀬川、荒川といった河の流域周辺にある市町村は、みんな似たり寄ったりのホットゾーンであるのだが。
さて、そういう土地柄であるので、いかに涼しく暮らせるかと工夫する人もいて、窓辺に苦瓜を繁らせたりして、遮光する家もある。我が家はなす術もなく、和室は障子、それ以外の部屋にはカーテンで直射日光を遮るのみだ。
そうであるが、そのカーテンが閉ざされるのは実は夜間が主で、焦げつくほどに暑い日中は、たいてい明け放れている。つまり遮光による断熱効果を期待してつけもののはずなのに、肝心の暑い昼間は閉じられることがない。というのは、風が欲しいからである。カーテンと窓を開け放ち、風さえ通り抜ける家であれば、多少の酷暑高温にだって我慢できる。そういう人達なのだから。それは、この国の伝統的な住居の形であるのだが。

もうひとつ、カーテンが閉じられるのは、人目から逃れたい場合であるのは言うまでもない。カーテンの主たる任務はこちらの方かも知れない。


蝙蝠の鳴く夕なればカーテンを

カーテン閉ず裸体は昏しあんなにも

カーテンを開け窓開く銀河見ゆ