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フランス人がイギリス人をちゃかした小説が映画化された。


小学4年生の時にぼくが書いた感想文だ。

映画「八十日間世界一周」を見て。
四の五 磯田秀人。

きょう、ぼくは、「カンテン、フラス」という人のでた、「八十日間世界一周」という映画を見ました。映画かんは新しくて、エスカレーターがあって、中には、冷ぼうそうちがあってすずしかった。ぼくが、その映画で一番おもしろいと思ったのは、フランスでききゅうのようなものにのって、空の旅をした時、アルプスの山の中で、氷を取っておさけを冷やしていた所だ。それから、インドでは、牛は神様のおつかいで、牛がなにをしてもおこらないのにはおどろいた。
映画に日本がでた時は、大仏さまがうつっていた。アメリカ大陸で、インデアンにおそわれたり、スペインでは、とうぎゅうしになったりして、とてもおもしろかったので、はじめからおわりまでわらった。

【きっかけ屋☆映画・音楽・本ときどき猫も 第6回】


ジュール・ヴェルヌが1873年に発表した同名の冒険小説を1956年にアメリカで制作した70ミリ作品(トッドA0方式)が『八十日間世界一周』だ。

大富豪の英国紳士につかえる執事がひげそりに使うお湯の温度を1°C間違えたために解雇され、後釜として派遣されたフランス人の若者が意気揚々と自転車で新しい職場に向かう朝から物語は始まる。

19世紀に流行ったペニー・ファージングという、前輪が大きい自転車を嬉しそうに漕ぐ執事。70ミリ大画面の立体的効果をねらったニクイ演出だ。

*これがペニー・ファージング。

それにしてもたった1℃温度を間違えただけでクビに?

テレビドラマ『ダウントン・アビー』のタイトルバックでも執事が定規で食器の位置をそろえていた。イギリス貴族は毎日きっちり決まった暮らし方が好きなんだね。


『八十日間世界一周』の舞台は1872年10月2日のロンドン。

毎日社交クラブに出入りしてトランプで暇をつぶししている大富豪フォッグ。

その日社交クラブでは80日間で世界一周ができるかどうかという賭けが行われていた。

規則正しく緻密な生活を好むフォッグは細部までこまかく計算して、可能だと言い張り、友人たちは出来るはずがないとせせら笑う。

賭けが始まった。

全財産の半分20,000ポンドを旅費にあて残り20,000ポンドを賭け金にした大富豪と執事との世界一周の旅が始まる。

主演の大富豪フィリアス・フォッグ役をデヴィッド・ニーヴン、執事パスパルトゥー役をカンティンフラスのニックネームで知られた世界的コメディアンのマリオ・モレノ、旅の途中から加わるインド人アウダ役をシャーリー・マクレーンが演じる。

シャーリー・マクレーンは前年にヒッチコックの『ハリーの災難』でデビューした、コケティッシュという表現がお似合いの新進女優。

ジャック・レモンと共演したビリー・ワイルダー監督の『アパートの鍵貸します』や『あなただけ今晩は』での可愛らしさが印象的だったマクレーンは大女優となり、その後、1983年に発表した書籍『アウト・オン・ア・リム』は世界的なベストセラーとなって脚光を浴びる。

体外離脱などの自らの神秘体験を告白した衝撃的なこの本は今や精神世界のバイブルとまで言われている。

マクレーンの話から横道に逸れたが、巨大なスクリーンに映し出される上質な観光映画とも言える『八十日間世界一周』には数多くのスターがちらっと顔を見せる。

フランク・シナトラマレーネ・ディートリッヒピーター・ローレバスター・キートンレッド・スケルトントレバー・ハワードジョージ・ラフトシャルル・ボワイエジョー・E・ブラウンなどなど。

以降、このような出演をカメオ出演と呼ぶようになった。

カメオとは大理石や貝殻に彫刻した装飾品のことだが、遠目で見てもカメオと分かるのがこの装飾品の特徴。

それと同じようにワンカット出ただけでもスタ一は一目でわかることからカメオ出演という名前がついたというわけ。


この続きはまた明日。

『八十日間世界一周』の話しがつづきます。

明日もお寄り頂ければ嬉しいです。



連載第一回目はこちらです。
ここからご笑覧頂ければ嬉しいです。
第1回 亀は意外と速く泳ぐ町に住むことになった件。


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