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会社員×NPOで「小さく社会を変える」キャリアのすすめ

日本企業で副業解禁が進んでいます。改めて、今後のキャリアを考えている会社員の方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は私の経験をもとに、『会社員NPO』というキャリアをご紹介します。


大企業で働きながら、インドネシアの農村に水道を通した話はこちら。


■なぜ、会社員NPOがオススメなのか

NPOは国内外問わず、困難な社会課題に直接リーチしています。
しかし、活動分野の特性上、資本主義のスキームが機能しにくく、人・モノ・金のリソースが不足しがちというジレンマがあります。

一方で、企業は巨大なリソースを武器に、様々な仕事を通じて経験を積めます。
ただし、細分化された業務に従事していると、

もっと社会貢献を実感したい。
でも、会社を離れる程のリスクは取れない。。

と悩む方も多いと思います。

自身のキャリアに悶々としている会社員と、リソース不足に悩むNPO。
両者の相性は、非常に良いと思うのです。

そこでおススメなのが、『企業で働きながら既存のNPOに参画する』というキャリアです。

別に、企業で働くことを批判したい訳ではありません。

会社員+αとして、NPO活動に携わることで、『人生の幸福度の総量』が増えると思うのです。

ここからは、私の経験を交えて、会社員NPOのメリットをご紹介します。

■どーやって既存NPOに参与したの?

いわゆる、持ち込み企画です。
大学院時代、インドネシア留学中に出会った友人と『インドネシア農村の給水設備改善』を構想し、水分野のNPO数件に売り込みました。

そして、私たちの想いに共感いただいた国際協力NPOと、プロジェクトベースで一緒に活動させていただきました。

最初は、自分たちでNPOを立ち上げようとしました。しかし、NPOの助成金応募要件には『活動分野における数年以上の実績』が含まれる場合が多いのです。

資金調達のハードルに加え、国際協力の知見も不足していた為、既存NPOへの参画という形を取りました。

■NPOでの資金調達で、個人の想いを実現

社会貢献活動には、資金が必要です。
NPOのスキームであれば、個人よりも大きな資金調達が可能です。

近年、社会課題分野への資金流入が活発です。多くの企業や財団で、NPO活動を支援する助成金が設立されています。

私たちが助成金を申請する際、企業でのビジネス経験が非常に役立ちました。

活動目的、課題設定、具体施策、KPI設定、持続性、財団側のメリットなどについて、ビジネス視点でプロポーザルを作成しました。

結果として、私たちのインドネシア農村給水事業では、合計で約1000万の資金を調達し、対象地域の給水状況を改善しました。

会社員経験×既存NPOのスキームで、資金の課題は乗り越えられます。

■会社員NPOのメリット

実際に、会社員NPOをやってみて感じたメリットを挙げます。

①ビジネス経験を社会貢献に活かせる

NPO活動には、『持続性』に課題を抱えるものも少なくありません。私自身、途上国に導入された設備が使われていない現場をたくさん見てきました。

ビジネスでは、人・モノ・金の視点で事業の持続性を考えなければなりません。そうした視点は、NPO活動との親和性が非常に高く、本業の経験を活かすチャンスがあります。

本業で得た知見の社会実装。とてもやりがいがあります。

②NPOならではの幅広い経験を積める

NPO活動では、対象地域をトコトン見つめながら、企画から提案、資金調達、ステークホルダーとの提携、現地実装まで幅広く関われます。
(むしろ、そうしないと進みません)

私たちのインドネシア給水事業では、『住民自ら給水事業を回せる仕組みづくり』が本当の支援だと定義しました。
給水設備を整備して終わりではなく、水道組合の設立、村・大学・水道公社との連携など、村の将来を見据えて泥臭く活動しました。

NPO活動は、自らの手で、社会課題に関わる責任感と面白さがあります。そして、自分の興味の強い分野で、幅広い経験ができます。

③”手触り感のある社会貢献”ができる

企業では、担当業務とエンドユーザーの距離が遠い場合も多く、面と向かって『ありがとう』と言われる機会は意外と少ない気がします。

NPO活動では『本当に』その対象地域を良くする活動に注力し、人々の人生を変えるインパクトを直接的に創出できます。そのため、現地の「ありがとう」をいただく機会も多く、社会貢献の実感を得ることができます。

完成した貯水槽の前でパシャリ

④会社員NPOという希少なキャリアが得られる

企業とNPOそれぞれの経験を通じて、グローバルとローカル、具体と抽象、理想と現実を行き来しながら、物事を多面的に捉える力が身に付きます。会社員NPOならではのスキル、人材価値が得られます。

実際、会社員NPOというキャリアに興味を持っていただき、本業で新たなチャンスが巡ってくることもあります。

■最後に

興味がある分野でNPO団体を探し、企画を持ち込んでみると、意外と話が進むと思います。

「持ち込み企画はハードルが高いなあ」という場合、既存NPO活動の一部に参加する形でも、自身のキャリアに大きなプラスになると思います。

手が届きにくい社会課題に対して、国としても産官学民連携の機運が高まる中、これから『会社員×NPO』がトレンドになる気がします。(そんなプラットホームをつくりたい。。)

会社員×NPOで、小さく社会を変える。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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