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〇〇恐怖症の克服方法について。

今日はコーチングのお話ではなく、〇〇恐怖症についてお話したいと思います。

私は、会食恐怖症の経験者です。

会食恐怖症とは「人前でご飯を食べるときに、吐き気や動機、過呼吸のような身体症状として現れること」です。

以下にとてもわかりやすく、素敵な漫画を見つけたので共有します。

会食恐怖症の原因

会食恐怖症だけでなく、「〇〇恐怖症」という名の症状はたくさんあります。広場恐怖症、嘔吐恐怖症、閉所恐怖症、対人恐怖症…etc

このような恐怖症、原因は個人によりますが、大きく要約すれば過去のトラウマ経験が症状を引き起こすきっかけになっています。

例えば会食恐怖症の方々の多くは(私もそうでした)、食事の際以下のような不安を感じます。

「食べられなかったらどうしよう(食事の際に吐いてしまった記憶)」
「相手に嫌われてしまったらどうしよう(食事に関して人からショックなことを言われた記憶)」

これらは、当事者本人にしか経験のインパクトを理解できません。こうして文字にするとそれくらいのことで…と思うかもしれませんが、人からどのように言われて傷つくかは個人の経験でしか語れませんのでトラウマになるくらいですから、その経験想像以上に苦しいものだったのだと思います。

ちなみに私は祖父母の完食指導が原因でした。元々食が細かった私に吐くまで食べさせ続けた経験がトラウマ記憶となり、数年の年月を経てからストレスが原因となって発症しました。

会食恐怖症が起こるメカニズムはどうなっているのか

私は会食恐怖症という症状があると知ってから、治すことに必死でした。心療内科にかかっても、「自律神経失調症」と診断されるだけで、先生は投薬しかしてくれません。カウンセリングといっても対処法を教えてくれるわけでもなく、症例も少ないために具体的にどのような行動を積み重ねていけば良くなっていくのかを必死に調べました。

まず、会食恐怖症が起こるメカニズムについて解説します。

会食恐怖症は、先述したようにトラウマ経験が原因となり発症します。トラウマ経験があると、何かしらの環境(場所、空間、匂い、人、味、モノなど)がトラウマ経験を呼び起こすトリガーとなり、当時と同じ状況でないのに関わらず、脳が危険だとアラートを出してくる(=身体症状として表出する)という仕組みであることがわかってきました。

このアラートというのが、人間の本能的な機能である「闘争/逃走」機能です。これは原始の時代から私たち自身を守るために備わっている機能であり、けっして悪いものではありません。

昔のように熊やトラに襲われるような状況は現代はあり得ませんが、熊やトラと対峙しているような時の身体症状(動機や呼吸を浅くして闘争/逃走状態に身体を準備する)が、トラウマ経験によって会食時に表れてしまう、というのが会食恐怖症のメカニズムです。

ここで会食恐怖症の方々へお伝えしたことは、この機能は人間であればだれもが持っている生物的本能であり、何もおかしいことではないということです。

むしろ本来、私たちを守るためにある機能。「私はサバンナでは生き残れる可能性が高いのだ、へっへーん」くらいに自分の本能的機能を受け容れてあげましょう。

私が実践した恐怖症の克服法

私が実践した克服法をご紹介します。万人に当てはまるわけではないという前提で参考程度にして頂ければうれしいです。

■自己開示をする 
これが最も大事なステップであり、かつ最も勇気のいることだと思います。
会食恐怖症の方々に共通する捉え方が「ご飯をすべて食べれないことで相手に迷惑をかけるのではないか」という思い込みです。
トラウマ経験が誰かに厳しい言葉を言われた方にとっては恐怖なアクションだとは思いますが、いざ打ちあけてみると周囲はそれほど気にしていないし、むしろ「リハビリ付き合うよ!しんどかったら教えてね」と言ってくれる人が多かったです。
この他者からのフィードバックがとても重要で、「打ち明けても自分が思い込んでいた反応とは違う」経験をすることで、自分自身の捉え方の偏りに気付き、新たな視点で捉えることができるようになります。
これは他者に「周囲は気にしていないよ」と言われてもあまり意味がなく、自分自身で経験をしてはじめて実感するということがポイントです。

私は、会食恐怖症の渦中でマッチングアプリをしていたのですが、相手には初対面で打ち明けてよい意味でのフィルターに活用していました(笑)

■「会食練習」を焦らず、定期的にする
ここでのポイントは「焦らないこと」です。練習を急ぎすぎるがあまり、食べられなかった体験を積み重ねていくと、「また今日も食べられなかった」という悲しい記憶が、トラウマ経験をより強化してしまう危険性があります。
じゃあどれくらいの頻度で練習したらよいかについては正直個人差があると思っています。焦らず、ゆっくりとマイペースに。けれど希望を捨てずに定期的に練習を積み重ねていくことが重要です。
この練習の際は、自分が心地よい環境を設定しましょう。同じ会食恐怖症の人同士で食べにいく、信頼している友人やパートナーに付き合ってもらう、定食ではなく居酒屋やカフェ、テイクアウトで公園ピクニックにしてもらう、自宅の近くのお店にする、など最大限自分が安心できる環境を用意した上で練習をしてください。これには、自己開示が必要な場合もありますので、会食恐怖症であることを打ち明けられる方と練習するのがベストです。
■深呼吸の練習(マインドフルネス)を習慣化しておく
予期不安がやってきたとき、呼吸が浅いと自覚したときにすぐできる効果的な方法が深呼吸。とくに、無理やりにでも息を吐く時間を長くすることがポイントです。
気持ち悪くなってしまったときや、過呼吸気味になってしまってからだとできないことが多いので、予期不安を感じたタイミングで実践してみてください。何回か繰り返せば副交感神経系が優位になって落ち着きを取り戻してきます。
呼吸は慣れでもありますので、普段から朝晩瞑想やマインドフルネスを通じて呼吸法を練習しておくこともおすすめです。
私は今でも寝る前にマインドフルネスの時間を設けています。


■ポジティブ日記を習慣化する
良くあるワークですが、「その日あったよかったこと」を寝る前に最低3つノートに書いて寝るという習慣をしていました。
ここでのポイントは2つ。
毎日必ずやろうと思いすぎないこと。
1日忘れたって1週間に1回だってよいです。ベットの近くにノートとペンを置いておきましょう。眠い時はそのまま寝てしまっても構いません。
・寝る前にやること
睡眠時は記憶の定着をしている時間です。脳によかったことに意識を向けることを習慣化させてしまえば、「〇〇だったらどうしよう」の捉え方から「ま、会話を楽しめばいっか」「つらくなったら変えればいっか」に徐々に変化していきます。
■自分を自分で傷つけない
会食恐怖症の方に共通しているのは、「なんで私はこんな身体、心なんだろう、だめだなあ」「ご飯が食べられないなんて自分には価値がない」などといった自分への攻撃です。
誰も会食恐怖症であるあなたを傷つけてはいません。あなたが思う考え方やあなたへの認識は、すべて自分自身で創り出しているものです。(私はこのことに気が付いてから症状が改善していきました。)
だからこそ、どう捉えるかは自分次第ですし、自分にかける言葉は、自分で選ぶことができます。
「ご飯が食べられなくても私は私。むしろそれが今の最善の私だし他の部分で最大限楽しもう、一緒にいてくれるひとのためにも。」
「この経験のおかげで当たり前にあるものに感謝ができるし、食べられたときのありがたみや美味しさは人の2倍。むしろ得してない?」
このように自分自身の状況をリフレーミングする練習をしていき、並行して症状も改善していきました。
■お守りを決める
私は緊張や不安を感じたときに飴を舐めるようにしています。不安なときに、これをすれば大丈夫というお守りを準備しておくのです。
会食恐怖症の方々とお話をすると、よく「ミンティア」「ラムネ」などがこのお守り機能を果たしていると聞きます。
もちろん、頓服などのお薬もそのひとつですね。自分らしいお守りを用意しておくと、安心材料になってくれます。
ちなみにお菓子などいつ食べても大丈夫な場合は、会食が上手くいったタイミングで口に含むこともおすすめします。主観ですが、成功の記憶と結びつけをすることで、不安なときにも、「大丈夫」と思いやすくなっていると感じました。

これをしたからと言って、必ず克服できるわけではありません。もしひとつでも参考になるものや、やってみようと思えるものがあればうれしいです。ただし、個人差があると思いますので、自分に合わないなと感じた場合は無理して続けないでくださいね。

私は、ほぼ会食恐怖症の症状が出なくなりました。ごくたまにひゅっと予期不安がやってくることがあります。(ヒュっくんがきた!と名付けています。)

でも、それはそれでいいかな、と思います。無理になくそう、追い払おうとするわけじゃなく、これも自分のリソースのひとつと思って、共に歩んでいく。そのためにヒュっくんとのよい付き合い方を学んできましたし、これからもそうやっていっしょにいることを受け容れていくんだと思っています。

ご自愛ラジオで「〇〇恐怖症さんへのご自愛方法」を配信しました。
苦しんでいる渦中の方へ、なにかしらのきっかけになればうれしいです。

コーチングやカウンセリングもしています。お気軽にお問い合わせください。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

あなたが自然体で、心地よく過ごせるのが一番のサポートです💐