現代語訳「閑吟集」(140)

【 原文 】
今憂《う》きに 思ひくらべて古《いにしへ》の せめては秋の暮《くれ》もがな 恋しの昔や たちも返らぬ老いの波 いただく雪の真白髪《ましろが》の 長き命ぞ恨みなる 長き命ぞ恨みなる (140)

【 現代語訳 】
今のつらさと思い比べると、昔のことが懐かしい。せめて秋の暮れに戻りたい。恋しき昔よ。立ち返らぬ老いの波が押し寄せ、山頂にいただく雪のような白髪頭となった自分の長い命が恨めしい。


※Amazonで現代語訳版「とりかへばや物語」を発売中です。