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水の空の物語 第2章 第18話

「オレだけにしか、できないんだぜ」

 飛雨はなぜか、背筋を伸ばす。

「水をかけるだけなのよ。誰にでもできるんじゃないかな?」
 スーフィアが困ったようにわらった。

「そんなことねーよっ。だって、スーフィアできないじゃねーか」

「できないんじゃなくて、やらないの。分かってないわね。夏澄の体力を癒やす役目をもらっているから、心のほうは飛雨に譲ってるのよ」

「んなことねーよ。オレにしかできない」

「できるわよ」
「できない」
「できるわよ。……風花、やってみて」

 スーフィアは風花を振りかえる。

「え?」

 急にいわれて、風花は口ごもる。飛雨の鋭い視線が飛んできて、風花をとらえた。

 風花は青ざめた。

「あ、の……。えっと。わたしには難しくてできないかな」

「よし、よくいった、風花。それでいいんだよっ」

 飛雨は語気を強める。

 彼はまた霊泉の水を掬うと、いくつもいくつも粒を宙に舞わせた。

 宙できらきら輝く粒は、本当にきれいだった。

 風花やスーフィアにも落ちてくる。
 夏澄は瞳をきらきらさせて、あははとわらう。

 飛雨は夏澄の服が濡れすぎない程度まで、水を撒き続けた。




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