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読書メモ2020年1月~2月:クールジャパンやキャッシュレスや社内起業など

今年始めの二ヶ月に読んだ本から、いくつか挙げていきます。

海外ではジャーナリスト出身の投資家がよく見られる
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なぜ日本ではあまり見られないのか、が気になります。
そのあたりの詳しい分析も読みたかったです。

本書に出てきた「にしなかバレー」「五反田バレー」が気になります。このウェブ記事が参考になります。

でも、下記にすごく納得。

CVCは自社の事業との相乗効果を重視するため採算は度外視しがちだ。
しかも新設されたCVCの多くが急ごしらえの素人集団で、その結果、
起業家の「言い値」となることが多く、高値づかみをしやすい
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ウェブ記事 「ゲーム・アニメ産業が海外展開で必要なものとは」…ブシロード中山氏と文化人類学者三原氏が語る日系コンテンツの未来 がとても興味深い内容だったので、ここに登場する
中山淳雄さんの著書『オタク経済圏創世記 GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件』と、上記の本を読んでみました。

「コンテンツが生きている状態」を作ろう:必読の一冊『オタク経済圏創世記』 でも記したように、前者がとてつもなく面白かった一方で、こちらは、残念な一冊でした。

かつてクールジャパン政策の最前線に立ち、現在は英国オックスフォード大学で研究を続ける方が、この認識なのか…
これでは、クールジャパンはうまくいかないはずだ…
と感じてしまいました。

(海外現地において)「広義の流通インフラができていない」という問題点
216ページ
中小企業の多い日本のクリエイティブ産業ではその費用を負担しきれないので、ファンドを作り、大きな額の資金を流通部分に投入する
217ページ

この認識はその通りだと思います。

けれども、その問題点をクールジャパン政策は改善できていない、
解決方法として的外れ、だから批判されているのであって、
政策の意図が正しく伝えられてないから<食わず嫌い>されている、のではありません。

その状況を、政策のど真ん中にいて、かつ、今は外に軸足を置いている方が把握できていないということに、
クールジャパン政策の多大なる欠陥が示されているように感じました。


「中国ではQRコードが普及している」というが、そもそも中国は、紙幣に対する信頼がない。
しかも、多くの店舗がNFC決済を購入する経済的余裕がない。
中国のデジタル大国は虚像であり、その実態は「デジタル途上国」
28
日本がなぜ、そのデジタル途上国のマネをするのか
誰がどう考えても「タッチ、ピッ(決済完了)」が便利に決まっている
28

LINE Payとかすごく使いづらい、Suicaが圧倒的に便利なんだから、
キャッシュレス還元とかやってるなら、NFC/FeliCa端末を普及支援に予算を使ったほうがいいのでは…
と思っていたので、成毛さんの考えにはすこぶる賛同。


ゲーム発キャラクターに疎いので、お勉強のために読んでみました。

刀剣乱舞ファンには満足な内容なのかな? お勉強には向いてませんでした。


私も「外向型人間になろうとする内向型人間」の一人だったので、
こういう本が増えている昨今の風潮はうれしいです。

でも、<マルチタスクは(略)外向型の脳を前提にしたものです。内向型人間には向いていません。>と断言するのはどうかなあ・・・

内向型人間にもいろんなタイプがありますよ、と言いたい。


面白かった。
なんて書くのははばかれれますが、やっぱり逸脱してる人たちの話は面白い。

・タピオカの原価はめちゃくちゃ安いので、「増量無料」にしても、その分紅茶を減らせるから、店としてはかえって儲かる

・「自分たちの有用性に着目してもらいたい」という気持ちと、
「我々は反社会的勢力ではない」という美意識がある

・半グレたちが詐欺で稼いだ金が上納金として暴力団の資金源になると言うけど、そんなことが組織的に行われているなんて聞いたことがない

・ヤクザは抗争をして初めてシノギができる。
「こいつら残酷だな」「頭おかしいんじゃないか」という恐怖感を世間に振りまいて、初めて暴力団は成立する。(205)

・ヤクザは人気商売
「本当は恐ろしい人だけど、カタギには優しい」という幻想があるから、愛されていく(206)

・ヤクザの2人に1人は山口組。頭抜けすぎた一強ゆえに、仲裁できる団体がなくなってしまった。(208)

・現実には本物の武闘派なんて組織のなかに何人もいない。(211)

・暴力団はみんな行き詰まっている。
普通なら、行き詰まって犯罪に特化した組織になりそうなものだけど、そうはならない。
すごく日本的なメンタリティ。(213)

・これからのヤクザは地域に根ざし、地域に密着した小団体でなければ、生き残りは難しい。


一般的な新規事業の作り方についての分量が多いと思う。
もっと「社内起業」に特化した内容を期待してたので残念。

・社外からの持ち込み案件には気をつけろ。
残念ながら外から持ち込まれた話がうまくいく可能性はかなり低い。
顧客視点が見落とされている事業案であることが多い。
「持ち込んできた会社のメリット」を中心に設定されている。
(112)

↑ アクセラレータやCVCがうまくいかない理由は、これだと思う。

・経営者は実は「決めたくない」と思っている
経営において何かを決めるということは、何かを捨てることであり、勇気のいること。
できれば判断は先延ばしにしたい、と思うのが人情
(216)

↑ なるほど! そういうメンタリティか!と膝を打ちました。

…が、そんな重要なことに対して、どう対処すればいいのかが、1ページもないって… 
<なにより、経営者より熱い情熱を持つことです>って…


読みやすかったです。

が、個人出版ビジネス書マーケット『ビズケット』を主催してみたり、「文学フリマ」に出展してみたりした身としては、
新しい情報はほぼなかったです。


3月はすごく面白い本に続々出会えているので、
また改めてしっかりとまとめていこうと思っています。

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