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読書

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読んだ本、漫画の記録。読書という行為自体についても。
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記事一覧

世界最大の独立系書店「パウエルズ・ブックス」(アメリカ・ポートランド)で日本マンガの可能性を探る

アメリカのポートランドに訪れたら必ず来ようと思っていた場所の一つが、「世界最大の独立系書店」と銘打つ「Powell's Books」(パウエルズ・ブックス)です。 魅力的な書店は世界中にたくさんありますが、特筆すべきは書店が街のランドマークになっているということです。 この書店のためにこのエリアに訪れる人が絶えず、それによって、周囲にも好影響を及ぼしているという稀有な書店です。 実際、私は店内に一歩踏み入れた瞬間に、「あ、この本屋、好き」と感じました。 金曜日の昼間ながら

2023年のお気に入り作品

今年はなんとか年内に公開できました。「今年、特に堪能させてもらった作品」の発表です。 2022年度は一ヶ月以上経ってようやく公開したのですが、 なにより自分の備忘録としてとても役に立ちました。 https://note.com/mizn/n/n7c2320a19b51 すごく気に入った作品であっても、時が経つと次第に忘れてしまいます。 それらをスマホからすぐに閲覧できる「インデックス」としてとても便利でした。 昨年の作品ですら便利なのですから、今後5年10年と積み重な

2022年のお気に入り作品たち

毎年年末が近づくと、「今年、特に堪能させてもらった作品たちをまとめておこう、まとめておこう」と思うのですが、 毎度、目の前のことに忙殺されて結局、年を越してしまいます。 2023年も1ヶ月以上経ってしまっていますが、今年(2022年)こそは…! ということで、備忘録も兼ねて、深く印象に残った作品たちを、記憶をたどりつつ紹介していきます。 (2023年2月24日:音楽とテレビドラマを追記しました) ■映画 『Coda コーダ あいのうた』 アカデミー賞も受賞した作品です

アート、芸術を知るためのオススメ本 【その2】  8冊を厳選

今年は、さまざまな芸術関連本を読み漁っています。 5月に一度、オススメ本をまとめましたが、その後も、オススメの本がどんどん増えていっているので、第2弾としてまとめていきます。 5月にまとめた記事「アート、芸術を知るためのオススメ本 7冊と、+1」はこちら ■『巨大化する現代アートビジネス』まずは、2名のジャーナリストによって記された『巨大化する現代アートビジネス』です。 約7兆6200億円規模の世界のアート業界が、どのように動いているのか、俯瞰で眺めるには最適の一冊です

「メタバースの答え合わせ」に最適な一冊

メタバース関連の本を何冊か読んでますが、今のところ、一番しっかりとした分析がなされている本だと感じたのが、 加藤直人さんの 『メタバース さよならアトムの時代』 (集英社) です。 メタバースによってもたらされる未来に可能性を感じさせつつも、 過度に舞い上がりも、貶めもせず、 徹頭徹尾、常温を貫く姿勢がとても信頼できます。 私としては「ほぼ想定通り」な内容でしたので、 自身のメタバース考察の「答え合わせ」をする目的が果たせました。 備忘録も兼ねて、気になった箇所をピック

アート、芸術を知るためのオススメ本 7冊と、+1

今年は芸術への理解を深めたいと思い、さまざまな芸術関連本を読み漁っています。 中でもオススメの本をいくつか紹介していきます。 ビジネスパーソンに特にオススメなのは、こちら。 新書という体裁もあり、ビジネス書として読んでも、とても面白いです。 自分の関わる業界と重ね合わせて読めるところが多々あると思います。 私の場合、 第五章 「科学」を武器に職人ギルドを征した王立アカデミー を、昨今の漫画業界の動向と照らし合わせながら読み進めました。 また、 第七章 「ガラクタ」印象

Webtoon(縦スクロール漫画)動向・予測に役立つ記事のまとめ  <1>

2021年の年始に、「Webtoonは日本でブレイクするか?」と題した記事を公開しました。 予想通り、Webtoon(縦スクロール漫画)が日本においてもめざましい発展を続け、状況は日々刻々と変化しています。 それに伴って、Webtoonに関する記事も増えてきました。 良質な記事や気になる記事を、随時、リンクを貼っていくことにします。 上記の記事と合わせてご覧いただければ幸いです。 ■LINEマンガ、ピッコマの圧倒。 日本のマンガはガラパゴス化していくのか?気になる箇

「サードウェーブ・パブリッシング」という希望

この記事のベースとなる「サードウェーブ・パブリッシングという希望:出版の10年後」というタイトルで記したブログ記事を公開したのは、2016年5月15日でした。 早いもので、あれから5年が経とうとしています。 「サードウェーブ・パブリッシング」と言えるような本や店舗を見かける機会が少しずつ増えてきました。 出版業界を舞台にした映画『騙し絵の牙』で、ヒロインが最後に選択した道は、まさに「サードウェーブ・パブリッシング」でした。 私のライブドアブログはほぼ開店休業状態でもあ

2021年の漫画界 予測 : Webtoonは日本でブレイクするか?

ーーー 2021年6月に追記 ーーー こちらの記事を公開したのが2021年1月8日。 予想通り、Webtoonが日本においてもめざましい発展を続け、状況は日々刻々と変化しています。 それに伴って、Webtoonに関する記事も増えてきました。 良質な記事と思われたものを、随時、こちらに貼っていくことにします。合わせてご覧いただければ幸いです。 ーーー 以下が、2021年1月に記した本文となります。 ーーー ■Webtoonがいよいよ日本でも広がっていく『鬼滅の刃』一

2020年の漫画界を傑作と共に振り返る 第一回(予定)

いろいろな意味で、とんでもなく印象深い一年間となった2020年。 漫画界の話題は鬼滅の刃に全て持っていかれた…、という感じですが、 その影では、たくさんの傑作も続々と生まれました。 特に印象に残っている作品をピックアップしつつ、漫画界全体についても振り返っていけたらと思っています。 ■勇者の「その後の日常」を描く傑作2本2020年の夏に単行本1巻が発売された『そのへんのアクタ』『葬送のフリーレン』、いずれも、「巨大な敵を倒した後の勇者たちの日常」が舞台となっています。

「読書感想文」なんていらない。 →「小論文」を義務教育にしよう

「『読書感想文』って必要なくない?」という国語教師のツイートが話題になっています。 そのツイートを見たことで、数年前の朝日新聞の記事を思い出しました。 私が2006年に立ち上げた小学生限定の新人公募文学賞「12歳の文学賞」受賞者へのインタビューです。 (鈴木るりかさんのデビュー作はこちらです↓) 3年連続・大賞を受賞し、中学生作家として華々しくデビューした鈴木るりかさんですら、 読書感想文は苦手で「書き出しをみんなと同じにするよう直された」そうです。 下手したら、彼

書店はなぜ儲からないのか? 〜「リピーター不在」ビジネスからの脱却

書店は、色々と試行錯誤しているのに、 そもそも儲からないのはなぜなのか? そんな質問を友人から投げかけられました。 非常に興味深いテーマです。 さまざまな理由が浮かぶと思いますが、 私の答えは明確です。 商品にリピーターが存在しないから、 です。 (注:この記事は書店、出版のビジネス構造を分析するために書いています。 「書店は儲かるからやっているのではない。出版社の人間がそんなこともわからんのか」みたいな見当違いな批判はご勘弁くださいませ) ■本には「同一商品複数

気になった記事メモ: 世界最大の映画チェーンamazonへ身売り?、中国の絵本市場

ここ最近で気になった記事をピックアップして、 コメントを記していきます。 ■世界最大の映画館チェーンAMCが、アマゾンへの身売り交渉世界最大の映画館チェーンAMCが、アマゾンへの身売り交渉をしている、とのこと。 まだ憶測の域を出ないようですが、 <クリエーターにとっては、制作した映画をクラウドに乗せると同時に、 自動的に欧州の映画館244カ所2200スクリーンと米国の映画館661カ所8200スクリーンで上映できる>可能性が出てくる、 というのは大きい。 AMCの時価総額

【テーマ別おすすめ本】 アメリカのアニメ業界を学べる8冊

コンテンツビジネスを考えていくうえで、「王者」アメリカのアニメ業界を知ることは欠かせません。 近年何が起こっているのか、どこに向かおうとしてるのか、ということはもちろん、 これまでの歴史も把握しておくことも肝心だと考えています。 そんな時に大いに役立つ、おすすめの本を紹介していきます。 ■昨今のディズニーの動向が一冊で把握できるまずお薦めなのは、 2020年2月にウォルト・ディズニー・カンパニーのCEOを辞任して世界中を驚かせたロバート・アイガーさんの自伝書『ディズニー