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Kendrick Lamar、『GNX』に登場する"LA発"注目ラッパー8名【翻訳記事(出典:Complex)】

掲載: Complex
公開日: 2024年11月23日
※本記事は、原文をできる限り忠実に翻訳しつつ、わかりやすさを重視して一部再構成しています。

https://www.complex.com/music/a/steven-louis/kendrick-lamar-gnx-features-rappers


Kendrick Lamarが予告なしに6枚目のスタジオアルバム『GNX』をリリースした。この作品はスリリングでダイナミック、そして抜群にノれる仕上がりで、何よりも"LAそのもの"だ。

「10号線(LAを横断する主要高速道路)を越えたこともないくせにLAを嫌いだなんて言うなよ」と、Kendrickは「dodger blue」で挑発する。

「reincarnated」では2Pacのサンプルの上を軽やかにフロウし、「wacced out murals」ではWattsのNickerson Gardensプロジェクトへとリスナーを誘う。

特に注目すべきは、この作品がLAを代表するラップ集団、Top Dawg EntertainmentとそのBlack Hippyクルーの伝説を語っている点だ。

「heart pt. 6」では、Ab-Soulが自分のペンゲームの初期のインスピレーションだったこと、Jay Rockが最初に道を切り開いたこと、そしてScHoolboy Qが自分のエナジーを守ってくれたことをKendrickが認める場面がある。

現時点で『GNX』には公式なフィーチャリングのクレジットはないものの、アルバム全体にゲストアーティストたちが彩りを加えている。

新進気鋭のラッパーから、すでにアンダーグラウンドで確固たる地位を築いている猛者たちまで、多彩な面々が参加している点も見逃せない。

ここでは、Kendrick Lamarの『GNX』に登場する注目のラッパーたちを紹介していく。


1. Dody 6

Rollin 40sを誇りに掲げるサウスLA西部出身のこのラッパーは、7年間の服役によってキャリアのスタートが大きく遅れたものの、獄中ではiPhoneを使って録音し、釈放後にはその勢いを取り戻すかのように楽曲を次々と発表。

「Section」でR3 Da Chillimanと共演し、この転機を音楽で反映している。

曲は獄中の録音からスタートし、フルスタジオミックスへと進化する。Dodyのラップは、まるで塹壕の中にいるかのような緊張感と、胸を張った正確なスピットで攻めてくる。

「hey now」ではKendrick Lamarと一進一退のスリリングな掛け合いを披露。

「俺が誰みたいだって?ジョーカーだよ/隠れ家(cut)でハーレークインと銃(blower)を構えてるぜ」というパンチラインは特に印象的だ。

まるでポイントガードが速攻を仕掛けるかのように、DodyはKendrickを完璧なフィニッシュの位置に導く。

また、後半の「peekaboo」でも重要な役割を果たし、トラックを締めくくる力強いパフォーマンスを見せている。


2. Wallie The Sensei

コンプトン出身のWallie the Senseiは、その響き渡るフックでLA全域から愛されている存在だ。

2020年に「Scandalous」で街を席巻。ズシンと響くベースとアンセムのようなコーラスは、COVID-19パンデミックの最中でもLAのどこに行っても耳にするほどだった。

その後も「03 Flow」で地元のヒットを記録。この曲は当時服役中だった03 Greedoへのトリビュートだ。「dodger blue」ではフックを担当し、LAの夏を懐かしむトラックに温かみを加えている。

そのメロディセンスと力強く心地よいボーカルは、現代版Nate Doggを彷彿とさせる。


3. Siete7x

「dodger blue」に参加したもう一人のコンプトンの注目株、Sieteはオートチューンを効かせた甘い歌声とポップ寄りのブルースラップを武器にしている。

彼の表現は軽やかでネオンのように鮮やかだ。同世代のRJ Mr. LAやKalan.FrFrと同じく、Sieteは黄金期のDeath Rowのボコーダーサウンドと現代のクラブサウンドを繋ぐ存在だ。

先月リリースされた「Tell Me What You Know」はグルーヴィーでありながらソウルフルな仕上がりを見せ、2023年の『Long Live My Therapy』は彼のキャリアで最も完成度の高いミックステープとなっている。


4. AzChike

サウス・セントラル出身のラッパーで、Too $hortを彷彿とさせるバイブスを持つAzは、2022年のアルバム『Chike Different』で広く知られるようになった。

今年初めにはScHoolboy Qの『Blue Lips』にも登場し、サウス・セントラルのチームメイトRucciとの絶妙なコンビネーションでも注目されている。

2024年だけで既に3つのフルアルバムをリリースしており、その中にはWest Coastの名プロデューサーLow the Greatとのコラボアルバムも含まれる。

「peekaboo」では自らを“Chike E. Cheese”と名乗り、アルバムの中で最も挑戦的なビートに乗せて力強いラップを披露している。


5. Lefty Gunplay

ここで最も注目を集めるアーティストかもしれないLefty Gunplayは、サンガブリエル・バレーに位置するボールドウィン・パーク出身のタトゥーだらけの破天荒なラッパーだ。

2023年に「Blvd Babies」で突如として頭角を現し、以降はJeremih、Shordie Shordie、Shoreline MafiaのOHGEEZY、Stinc TeamのRalfy the Plugといった面々とコラボしている。

彼の作品は、機知と毒舌、攻撃的でありながらもカリスマ性を兼ね備えたスタイルが光る。

サンガブリエル・バレー出身のラッパーがLAのヒップホップシーンで成功することは珍しいが、Leftyは途切れることのないリリースと、飾らないどころか狂気じみたインタビューで多くのファンを獲得している。

彼こそが「tv off」のエンディングで“クレイジーで怖く、不気味だけど笑える”エネルギーを注ぎ込んでいる張本人だ。


6. Peysoh

メイウッド出身、20歳のメキシコ系アメリカ人ラッパーPeysohは、昨年のこの時期に収監されていた。「gnx」の冒頭で披露される最初のヴァースは、彼のキャリアにおける全国的なブレイクの瞬間だ。

「俺のダンスを見てくれ、敵を見つけたらすぐチョップ(銃)を撃つ」と鋭く吐き捨てる。

Peysohは、彼自身と故MoneySign Suedeが率いるParkside Recordsからシーンに登場した。「Life I Live」というシングルは荒々しさを極限まで凝縮した一曲だ。

2022年リリースのデビューアルバム『Ghetto Journal』は、ヒット曲「Chosen」の勢いでシーンに衝撃を与えた。

そして『GNX』への参加は、長年追い求められてきたブラックとヒスパニックの音楽シーンの融合において、意義深い一歩となっている。


7. Hitta J3

タイトル曲「gnx」で第2ヴァースを務めるのは、同じコンプトン出身のHitta J3。彼は既にキャリアを積んできたベテランだ。

10年前にリリースした「Do Yo Gutta」は、Kendrick、Problem、YGをフィーチャーした公式リミックスで注目を集めた。

その後、クラブヒットの「All off a Brick」をドロップ。迫力ある低音でスピーカーを震わせる一曲だ。

Hittaのラップスタイルは鋭いかすれ声が特徴で、ビートのわずかに後ろでリズムを掴む独特のグルーヴを持つ。

2024年には「Not Like Us」を大胆にフリースタイルでアレンジしたビデオを含め、12本以上のMVをリリース。

また、𝕏(旧Twitter)やインタビューでKendrickを支持し続けるなど、オンラインでも熱心な支援者として知られている。

今後の予定としては、Mozzyとのコラボアルバムが控えている。


8. YoungThreat

YoungThreatは「gnx」の3番目で最後のヴァースを担当している。

「Shady 80s」に属することを誇らしげに掲げるサウス・セントラル出身の彼は、2019年の「Who Gon Slide」で一躍注目を集めた。

この曲では、忍び寄るピアノループをバックにまるでジョン・ウィックのような存在感を見せつけた。

2021年に刑務所から出所して以来、彼は勢いを止めることなく活動を続けている。

中でも、今年リリースされた「Astro H Hat」は、LAラップシーンで最も過小評価されている楽曲の一つだ。

「gnx」では、Threatは控えめで低くしゃがれた声でバーを刻み、熱量の高いポッセカットを冷静に締めくくる存在感を見せている。

そのフロウは空気を急速に冷やし、場をダークに染め上げる。

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